マンガさえも読まない子供たち
学校読書調査:小中高生に雑誌離れ 人気マンガ減少を反映(毎日)(Mainichi INTERACTIVE)
小・中・高校生の雑誌離れが進んでいることが、毎日新聞が全国学校図書館協議会の協力を得て26日まとめた「第49回学校読書調査」で分かった。今までは「読書習慣が減り、読解力が落ちて、活字の本が読めなくなり、ライトノベルやマンガでないと理解できない人が増えた」と思っていた。10年ほど前「マンガは絵だけしか見ない。字は読まない」という人がいることを知って驚いたことがある。それは極端な例としても、それ以来、「今の人は図解とか絵を中心にするか、よほど娯楽的なものでないと、本を読まない」ということを前提にして出版企画を立てたりしていた。自分自身、マンガは嫌いではないから、マンガが活字本より劣っているとは一概には思わない。
マンガのヒット作が減って、マンガ誌を読まなくなっていることが要因とみられる。大人向けの雑誌、特にマンガ誌の販売不振はこのところ顕著で、同じ傾向が子供たちにも出ているようだ。[毎日新聞10月27日]
しかし、現状はもっとひどくなりつつあるのだろうか。おそらく、ゲームやDVDに流れているのだろうと思う。インターネットで読んでいるから雑誌は読みません、ということではないだろう。ネット内では掲示板などかろうじて文字文化が残っているが、これは特殊な環境だし、読書とはいえない。
活字中毒のような「読む子供」は一定の層には残っているのだろうが、「活字をまるで読まない子供」だけでなく「マンガすら読まない子供」が増えているのだとしたら残念なことである。
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>マンガのヒット作が減って、マンガ誌を読まなくなっていることが要因とみられる・・・
というように出版社としては信じたいのでしょうが、実は「マンガ誌を(買って)読まなくなっているから、マンガのヒット作が減った・・・」かもしれないわけで、そうなるとことは重大、看過できないことになる。
出版大手御三家と威張ったところで、運良くマンガ週刊誌をもっていたので大きくなったわけですから、別に一般書籍の編集が優れているわけではないですからね。
マンガの的は、ブックオフでも、マンガ喫茶でもない。ましてケータイでお小遣いが減ったから、でもないだろう。じゃ、真犯人は誰だ?!
たぶんそれは全国津々浦々に増殖したコンビニなのだ。子供たちにとってコンビには何かを買いに行く以上に、生活の一部というか、それ以上にコンビニは家の空間の延長としての場所なのだと思う。
コンビニでおにぎりやスナックを買って、入口の横で家にいるようにすっかり寛いで、地べたに座っているのをみればそれは一目瞭然。
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この辺は「ケータイを持ったサル」に詳しく観察され、レポートがある。
http://blog.readymade.jp/tiao/archives/000369.html
「マンガすら読まない子供」ではなくて、買ってマンガを読まなくなった、ということだと思う。
マンガというものが買う対象から、立ち読みでタダで読むものへと移ってしまったために、週刊誌の連載から読者の反応をマーケッティングして、新人を育てるという循環も上手く機能しなくなってきたのだろう。
それと、子供たちも週刊誌連載の新しいマンガよりも、マンガの古典にもっと面白いモノがあることを発見したのかも知れない。古典回帰である。
マンガ喫茶ではそうした優れた古典作品を心置きなく楽しむことができるのだから、豊かな世界になったものだ。
ぼくが小さかった頃は、そういった豊かな古典としてのマンガ文化のストックはまだなかったから、新しいマンガを読むしかなかった。
パブリッシング~コンテンツ流通に起こっている静かな、しかし確実な変化にはもっと注意した方がいいだろう。現在の出版業界を支えているのは、高尚な出版文化ではなく、商業化されたサブカルなんだから、意外と大人が気がつかないところでの変化が、屋台骨の基礎を揺るがすことになるのかも知れない。
今後が楽しみだ。
>「マンガすら読まない子供」ではなくて、買ってマンガを読まなくなった、ということだと思う。
そういう可能性もあるかもしれませんね。そして、古書店やマンガ喫茶で古典マンガが人気を得ているのだとしたら、読まなくなったわけではない、と。
ただ、逆に言えば、面白いマンガを新しく生み出せなくなっている、とか、安易にリバイバルに走るとかいう傾向もあると思います。ここは大きな問題点でしょうね。
松永さん、どうも!
このマンガ雑誌の不振は結構きついボディブローになっている。電子出版に消極的だった出版業業界が、Σブックなど新しい電子読書デバイスへ急に関心を寄せているのもこの辺が原因でしょう。最初のコンテンツはマンガになりそうですから。
>面白いマンガを新しく生み出せなくなっている
これは日本社会のイマジネーション能力の減退かな。外人部隊というか、外からの血をいれて活性化するなどが必要では。アジア、ヨーロッパでマンガが急成長していますからね。ドイツ人までが「ランマ1/2」を知っている時代です。
>安易にリバイバルに走るとかいう傾向もある
マンガ出版社には思想はないです。売れるということが最大の目的であるわけで、売れるものならリバイバルでもなんでもOK。ここへ倫理観を期待しても無理でしょうね(笑)。
>買ってマンガを読まなくなった
最近のマンガの多くが出版社のマーケティングの上で展開するようなものが増えて、作品としての厚みに欠けるために、お金を払おうという気にならないのではないでしょうか?
これは、音楽業界にも言えると思うのですが、マーケティングが幅を利かすようないなってしまうと、作品の厚みはなくなり、商品価値は下がると思います。マーケティングは基本的に「ただでサービスするから、こっち向いて、好きになってよ」というコミュニケーションです。これを、マンガなどの作品制作に持ち込むと、商品価値が下がり、売れなくなるのでしょう。
マーケティングはソフト業界全体の資産を食いつぶしていることに気づくべきと思います。