テキストエディタ[もの書きのソフト談義(1)]
ふだん編集関係とかで使っているソフトについて書いていこうと思う。
まずはエディター。「編集者」じゃなくてテキストエディタ=文書作成ソフトだ。
初めての「キーボード入力」による文書作成は、親が仕事用に買ってきたシャープのワープロ専用機「書院」だった。型番は確かWD-595だったと思う。この型番末尾5の系統はキーボードがちょっと変わっていて、ひらがなの割り当てが五十音順に並んでいた。今の普通のキーボードでランダムに並んでいるのとは違う。
そのころ、パソコンのプリンタで出力される文字のドット密度は24ドットが主流だったが、これは32ドットだったので文字が(比較的)きれいだった。だが、フォントは第1水準約3000文字しか搭載されておらず、第2水準文字は別売りファイルから外字として登録しなければならなかった。しかも登録できる字数は限定。そこだけ空白にしてあとで手書きしたほうが早かったりするが、それでもかなり使い込んだ。
その後、文書作成もパソコンに移行することになる。となると、誰もが通る道「一太郎」の登場である。パソコン自体はその前から使っていたが、文書印刷にはまだまだ弱いと感じていたので、「パソコンは理系作業、ワープロは文系作業」とでもいうような使い分けがあったのだが、やがてプリンターの機能も向上し、すべてパソコンに統合されていった。
しかし、通常の文章作成においては、パソコンのワープロソフトは重すぎる。いらない機能が多すぎるのだ。別に文書整形などを必要とせず、ただ単に文字列をひたすら入力したいときに、フォントサイズとかいじる必要は全然ない。しかも、文字整形データファイルが勝手についてくるとか、特殊形式・拡張子のファイルを作って他のソフトからは参照できないというレベルになると、邪魔にすら思えてくる(昔作ったファイルを見ると.jswとかの拡張子のファイルが多い)。
そこで、文書整形機能はないが、テキスト入力に最適化されたソフト、すなわちエディターを使うことにした。MS-DOS時代に選んだのがVZ Editor(Village Center製)である。これは非常に軽快で、しかもコピー・ペーストなど文書作成に必要な機能は揃っており、さらにマクロによっていろいろな機能を追加できる。また、配色などもガンガンにカスタマイズできるのも魅力だった。このVZに馴染んだというのがその後の流れを決める。ソフトというのは、最初に馴染んだものに非常に大きく左右されるところがあるからだ。
VZにはWGREPという「複数のファイルの中身の文字を検索する」ツールが付属していた。今ならWindowsの検索でも「ファイルやフォルダに含まれる文字列を検索」できるが、当時はそれにも特別なソフトが必要だったのだ。
やがて時代はMS-DOSからWindowsの時代へと入っていった。しばらくはDOS窓でVZを使うという「Windows化への抵抗勢力」だったのだが、それも厳しくなってきた。何かWindowsソフトでいいのはないか……。しかし、VZに馴染みすぎてしまった自分には、秀丸エディタはつらかった。悪いソフトではないのだが、キー操作などで「水が合わない」という奴である。周囲には秀丸に移行する人も多かったが、どうも乗り切れなかった。
そこに登場したのが、VZのWindows版であるWZ Editorである。もう喜んで移行したことは言うまでもない。WZGrepも強力で、GREPについては今でもWZを起動しているほどである。
WZもVer.3から4へと発展し、メモやアウトラインやメーラーまで付いてくるようになったが、そんなものは別に使わず、ただ単に「文字書き用ソフト」として使い続けた。
それに印刷するときにも、レイアウトなしで単に文字だけ読めればいいなら、WZで十分である。
だが、その栄光あるWZが松永PCのメインの座から転落する日がやってきた。Unicodeとインターネットの普及だ。Unicodeは(フォントさえあれば)世界中の文字を表示できるm文字コードで、Windowsも2000以降は標準対応している。外国語(たとえば中国語)のページなどをコピーしてきたとき、Unicodeに対応していないWZ4ではちゃんと表示できない。しかし、ネット上ではUnicodeが扱えたほうが何かと便利である。
そこでUnicode対応のエディタを探した結果、見つけたのがEmEditor(Emurasoft)だった。操作性もWZと似ているところがあり、すんなり移行できたので、現在はメインでこのエディタを使っている。プラグインなども多く提供されており、非常に快適だ。
ただ、GREPだけはWZ GREPを使い続けている。また、書籍や雑誌では1ページ当たり何字・何行という指定があったりするが、それはWZのほうがわかりやすいので、今後の改善を期待したいところである。(つまり、画面上での字数・行数と、印刷時の字数・行数を別々に設定できる点では、WZの方が便利ということだ)
なお、WZも最新のVer.5が出てUnicodeにも対応しているようだが、少し試用してみた感触ではあくまでも「にも対応」にすぎないため、Unicodeに自動対応してくれるEmEditorの方が使いやすいような気がする。当面EmEditorの優位は変わらなそうだ。
(新しいファイルを開く。そして、ブラウザ上のUnicode文字列をコピー・ペーストする。EmEditorならこれだけでちゃんとUnicodeとして認識してくれるが、WZ5では文書の文字コードを選択するコマンドを使わないとUnicodeにならないみたいだ。つまり、Unicodeがデフォルトかオプションかという、ソフトの根幹にも関わる大きな違いである。そして、このブログを見ていただければわかるとおり、多国語混在は私の環境には必須なのだ)
他にもエディタはいろいろある。いずれにしても、Windowsに付属の「メモ帳」や「ワードパッド」はまるで使い物にならないし、Wordや一太郎のような整形機能は普通の文書作成には邪魔でしかない。操作性のことを考えると、これからも軽快かつ文書作成に必要な機能の装備されたテキストエディタにはこだわることになると思う。
ちなみに、整形して印刷したいときは、ワープロソフトを使わずにいきなりDTPソフトを使ってしまうのだった(笑)。
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http://sakura-editor.sourceforge.net/ こちらのサクラエディタというのはいかがですか?
Grep 使えるし多様な文字コードにも対応しているようです.
サクラエディタはunicodeが使えると言うだけで,ネイティブに多言語に対応していないので,たとえば,ロケールを中国語にすると,メニューが文字化けするので使えません。やはり,Emeditorのように各言語のコードページが設定できないと,使えないです。フリーなのでしょうがないのかな。
サクラエディタの情報ありがとうございます。でも内部処理がShift-JISらしいのがつらいですね。EmEditorはUnicodeで内部処理しているのが強味だと思います。
GREPについては、検索結果リストだけ表示してあとは実際にファイルを開く必要があるのが普通ですが(EmEditorも)、WZGrepにはプレビュー機能があり、カーソルを移動させるだけで該当ファイルの中身まで見れます。これが便利なんですよね。