文字入力あれこれ[もの書きのソフト談義(2)]

 昔は一般にFEPと言っていたが今はIMEという、いわゆる「文字入力システム」。日本語入力・かな漢字変換のシステムにも人それぞれこだわりがあるだろう。というより、手に馴染んだエディタとIMEの組み合わせ以外だと途端に作業効率が落ちてしまう。

2003年11月21日00:24| 記事内容分類:執筆・書き方・文章| by 松永英明
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 自分の場合は、MS-DOS時代以来のATOK使用者なので、キー操作なども含めてATOK式でないと使いづらい。つまり、WindowsデフォルトのMS-IMEだと次候補を出すのも区切り変更もキーが違っていてめちゃくちゃになってしまう。特に全角半角切替が面倒なので嫌い。
 でも、ATOKは本来ワープロ「一太郎」の一部分みたいなものだったが、一太郎は重いので使わず、エディタを使ってきた、というのは前回のエディタ話のところで触れたとおり。

 ATOKは常にMS-IMEより機能が上だったように思う。変換効率は格段にATOKの方が上だ。
 最近は「もーにんぐむすめ」で「モーニング娘。」が変換されたり(ってのはどうでもいいのだが)、「痔」を「ぢ」で入力しようとすると「痔《「じ」の誤り》」とか、「的を得る《「当を得る/的を射る」の誤用》」とか表示されるところまできた。同音異義語の説明が表示されるのも、以前なら辞典で確認しなければならなかった分の手間が省けて便利である。

 ATOK15では「話し言葉関西」モードが搭載されて目を見張ったが、今は「話し言葉」「話し言葉関西」「話し言葉北海道東北」「話し言葉九州」をサポート。

 そして、ついにATOK16では「文語」にも対応した。今までは文語用の辞書を作って配布している方々のデータを使わせていただいていたが、システムそのものが対応しているのは非常にありがたい。いわゆる旧漢字ではないが充分実用的である。

 もっとも、ATOKをインターネット接続で辞書と連携させる機能などは特に使っていない。辞書は辞書で使うからである。


 ところで、変換効率に満足がいくと、今度は入力のキータッチの無駄が気になってくる。キーボードの配置そのものが非効率的という説もあるくらいで、キータッチが少なくならないかというのは非常に気になるところだ。

 もちろん、かな入力の方が入力数が少ないのは知っているが、もう手はアルファベット入力に馴染みすぎているし、親指シフトやドヴォルザーク配列だとキーボードそのものが違うので自分以外のパソコンを使わざるを得ないときにギャップがありすぎる。
 できるだけ一般的なQWERTY配列キーボードでアルファベット入力しつつ、移行しやすい方法がないものか、と思って発見したのが「AZIK」だった。
 ⇒拡張ローマ字入力『AZIK』/『ACT』  ⇒ATOK12~15用AZIK設定ファイル(16でも使えてます)
 ⇒AZIK総合解説書

 これが優れているのは、非常によく使うごく一部の機能さえ覚えれば、あとは今までの普通の入力のままでもいけるし、キータッチ回数を減らした入力方法もいける、という「慣れない間の移行期間が短くて済む」というところだ。

 最初に覚えるのは、「っ」が「;」、「シャ行」が「xa」、「チャ行」が「ca」、「ん」が「q」というパターンだ。これだけでも「シャッター」が「shattaー」→「xa;taー」となり、入力が早くなる。
 あとは、日本語に多い二重母音と「ん」で終わる2音節を1回で入力する方法を少しずつ覚えれば、意外とキータッチ回数を減らすことができる。「日本勧業銀行」は「nihonkangyouginkou」(18キー)→「nihlkzgypgkkp」(13キー)と激減。この例を見ていると複雑そうだが、実はルールは覚えやすいので、興味のある方は試してみるといい。

 また、これはおまけに近いが、頻出の文字列の簡易入力も用意されている。「こと」→「kt」、「ます」→「ms」、「ため」→「tm」といった具合だ。「我々」は「wrwr」でOK。
 ブラインドタッチに慣れている人がさらにスピードアップしたければ、一度試してみることをおすすめする。もし馴染まなければやめればいいだけのことだし。


 以下、ATOKへの単語登録の小技(MS-IMEその他のIMEでも使えるかもしれないが、未検証なのでご容赦)

●単語登録は、短縮しすぎるとよくない  例えば、「こ」に「ことのは編集室」、「ま」に「松永英明」、「すが」に「東京都豊島区巣鴨」というように、1~2文字の短い登録語で単語登録をしている人は案外多いようである。しかし、下手すると「これは文章変換のときに変なことになりますが」が「ことのは編集室れは文章変換のときに変なことになり松永英明東京都豊島区巣鴨」となりかねない。効率のよい変換のためには、変な変換にならないように、もう少し長めにするか(「ことへん」で「ことのは編集室」とか)、あるいはアルファベット子音のみを使うという手がある。
 ちなみに自分は画面上に表示される文字列と、頭の中の言葉の音が対応しているので、変な短縮語はかえって脳内言語のリズムを狂わせてしまう。キー入力そのものには抵抗がないので、単語の短縮登録は特にやっていない。

●記号はアルファベット子音一文字で変換するようにする。  たとえば「s」を変換すると「★」「☆」「※」が候補に現われるようにしている。sはstar(星)のsである。同様に、「t」→「▲▼△▽」(triangle)「h」→「■□◆◇」(菱)、「r」→「●◎○」(round)、「y」→「→←↑↓⇒⇔」(矢印)といった具合だ。
 ちなみに品詞は「単漢字」がよさそうである。

●厄介なタグも登録する  自分の場合は「るび」で「<ruby><rb></rb><rp>(</rp><rt></rt><rp>)</rp></ruby>」が出てくるようになっている。スクリプトを改造したり、HTMLエディタを使ったり、エディタの補助機能を使っても当然かまわないのだが、それと併用して「いmg」で「<img src="" alt="" width="" height="" />」、「hれf」で「<a href="" target="_blank"></a>」、「<」で「&lt;」、「&」で「&amp;」が出てくるのは、タグ手打ちのときに案外便利だったりする。

●できるだけ長い部分を一気に入力する  よく文節ごと・単語ごとに区切って入力している人を見かけるが、現在のIMEの性能を考えると、できるだけ長い部分を一気に入力した方が効率がいい。同音異義語の使い分けなども、細かく区切るとうまくいかないときがある。最近のATOKはかなり賢くなっているが、文全体の意味がとりやすくなるよう入力するほうが効率がいいことは間違いない。


 なお、中日・日中翻訳ソフトを入れたときに一緒に入ってきたので、中国語入力にはChineseWriterLTを使っている。もっともまだあまり使いこなしていない。

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2003年11月21日00:24| 記事内容分類:執筆・書き方・文章| by 松永英明
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ウェブログ@ことのはさんで拡張ローマ字入力『AZIK』っていうのが紹介されている. AZIKは、一般のローマ字入力のキー配列をそのままに、日本語によく出てくる文字列(読み)... 続きを読む

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ドヴォルザーク配列はドヴォラック配列かと。

ドヴォラックは英語読みですね。そっちが一般的なのかな。
チェコ語だとドヴォルザークとドヴォジャークの中間くらいの発音なんですが。

今英和辞書を引いてみたら、「ドボラックキーボード 《よく使う文字を中心に, 母音を左側に配したタイプライター[コンピューター]のキーボード; 1930 年代に米国の教育学者 August Dvorak (1894-1975) が開発》」とありました。アメリカ人だから米語読みしたほうがいいのか。どうもご指摘ありがとうございました。

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