「ネットでの儀礼的無関心」かコミュニケーション優先か
「ネットでの儀礼的無関心の可能性」(はてなダイアリー - recent events@TRiCK FiSH)という記事で、松谷創一郎さんが他サイトへのリンクに関して「ネットにおいて儀礼的無関心は可能なのだろうか、必要なんじゃないか」と問題提起し、反響を呼んでいる。一方、skywardさんの「著作権(今度は文章)」という記事で、「ディープリンクは別に著作権法で禁止されていない」というようなことをコメントに書いた。リンクの仕方についての話。
★「ウォッチャー」の権利など守る必要はない。儀礼的無関心2もご覧ください。
※羊堂本舗 ちょき - 儀礼的無関心反応リンク集でこの件についての反響が読める。
松谷さんの論旨を簡単にまとめると、「他のサイトに対してリンクすることで、そのサイトを潰してしまう結果になることもある。だから、あえてリンクしないという『儀礼的無関心』が必要ではないか」ということになると思う。簡単に言えば「そっとしておいてやれよ」ということだろう。ここで挙げられているのは、もともと多くの人に見られることを想定していなかったが、リンクされて目立ってしまったがゆえに閉鎖してしまうサイトである。
その辺の意図はよく理解できる。だが、この間のクリエイティブ・コモンズのときの感想と似ていて、「それはそっと心に思うもので、規定みたいにはしてほしくないなあ」というのも正直なところである。
例えば、自分自身は完全リンクフリー派である。それは、skyawardさんの記事につけたコメントを参照していただければいいが、まず、WWWそのものがリンクによって成り立っているのだから、リンクを拒否するくらいならネットに存在させるな、という(ある意味原理主義的な)考えがある。また、著作権的に言えば、リンクとは本来「参照元/参照先」にすぎないため、何ら規制を受けるものではない。したがって、新聞社が個別記事へのディープリンクを拒絶するのは参照元の明記を拒むという意味で現行著作権法に逆行する主張である、と考える。総合するに、リンクを拒否する根拠は、システム的・法的には一切存在しないと言うことだ。
じゃあどこにでもバカスカリンクを張るのか、というとそんなことはなくて、自分の出入りしているごく一部のメンバー主体の掲示板にはリンクしないとか、まあそのときそのときに応じて「遠慮」をすることがあるのも事実である。「ここはこっそりやってるだろうから、派手にしないほうがいいかな」という配慮が働くこともある。
一方、巨大サイトの場合はリンク先を図らずも潰してしまうことがあるだろう。当サイト内の「土佐日記ブログ」もその一例にほかならない。これは「やじうまウオッチ」と「カトゆー家断絶」と「Yahoo!Japan」からのリンクでアクセスが集中し、その結果、レンタルしていたCsideNetのサーバーが耐えられず、アカウント停止という事態に追い込まれた。その後、こちらに移転してきたわけだ。
そして、この巨大サイトからリンクされることは以前から話題になっていた。「ちゆ効果」「変人窟効果」なんて言葉があったくらいだ。そういった巨大サイトからリンクされた瞬間、一日万単位のアクセスが舞い込んできたりする。アクセス数制限のあるサーバーなどだと、それでいきなり閉鎖になる可能性だって充分存在する。海外でも「Instapundited【インスタパンディットされる】 」や「slashdotted【スラッシュドットされる】 」という言葉があるようで、同じような現象は存在するようだ。(ブログ用語集(政治的) : はじめてのウェブログ [weblog for beginners]参照)
しかし、自分としては「だからリンクしないでくれ」と主張するつもりはない。そこでリンクを拒絶するのは本末転倒と思えるからだ。もしリンク制限の方向に向かうなら、個人ニュースサイトは軒並み「悪の枢軸」なのか?ということにもなってしまう。
もっとも、松谷さんの趣旨は想定している条件が違っていて、あまり多くの人目にさらされることを想定せずにひっそりと身内のみでやっているようなサイトを、わざわざ(お節介にも)日の目にさらし、その結果、サイトを閉鎖してしまう、という話である。そして、松谷さんもリンクそのものを規制しするシステムや法律やルールは存在しない、とわかっているからこそ、各人のモラルに訴える「儀礼的無関心」にその救いを求めるのだろうと思う。この論旨は理解できる。
だが、実際のところはどうだろうか。そもそも「このサイトはリンクしてもいいサイト、リンクを遠慮すべきサイト」という判断は可能なのか。あるいはそもそも「見て見ぬふり」というのがネットにふさわしい態度なのか。逆に、無防備に「ひっそりサイト」をいつまでも維持できると思っていた開設者側に問題はないのか、という疑問が出てくる。ついでに言っておくと、2ちゃんねるの一部のバカどものように、他人のサイトをさらし、潰すための行動をあえてするような自称ウォッチャー連中(連中がよく使う言葉を流用して「ネット珍走団」と呼んでもいいだろう。「珍書団」という言葉も一部では流通しているようだ)の動きはまた別の問題だ。
自分としては、ネット珍走団みたいな連中を除けば、多くの場合、むしろリンクを遠慮しすぎだ、と感じているくらいである。たとえばトラックバックもいちいち遠慮するくらいの控えめな国民性にあって、実は「儀礼的無関心」は過剰に働いているのではないか、という気もするほどだ。
むしろ、ネットワークの流れは、リンクによるコミュニケーションを増やそうとしているように思う。別にブログ至上主義ではないのだが、MTなどのブログツールはそもそも「パブリッシング(公開)を手軽にする」ことに加えて「相互コミュニケーションを強化する」という理念のもとに作られている。つまり、リンクによる流量の増大を目指しているわけだ。その中でリンクすることを自粛するムードを持ち出すのはどうだろうか。いや、だからこそあえて必要なのかもしれないけれど、少なくとも「ネチケット」化してほしくはないような気がしてならないのである(あくまでも感覚的な問題)。
つまり、別に自己主張の場ではない現実社会のコミュニティでは「儀礼的無関心」は有用だが、表現の場であるネットワーク上では「儀礼的無関心」を強調しすぎることはあまりよろしくないように思うのである。
そもそもウェブ上で日記なり何なりを公開するというのは、本来「見てもらう」ためであろう。どの程度の人に見てもらうかを自分の希望どおりにしたいといっても、会員制にしないのであれば、事実上無制限ということになる。実際、わざわざリンクする人がいなくても、巨大なリンク野郎が存在する。グーグルさんだ(もちろんグーグルさんの来訪を防ぐことも可能だが)。一般的なひっそりサイトの多くは、一日数十人のアクセスに満足していたい、という「微妙」な、非常にあやういボーダー上に立っているだろう。会員制にするほど閉鎖的でもなく、しかしメジャーに躍り出ることを想定していない。もともとが不安定な存在なのである。
だからといってここで「リンクは許可を求めよう」とか「無断リンクはやめよう」などという方向に行くのであれば勘弁してほしい。むしろ、各サイトの柔軟な対応を支援した方がよほど現実的だし、建設的だと思う。かつて「酒鬼薔薇聖斗」情報サイトが潰されても潰されてもあちこち点々としながら生き延びたようなしたたかさを身につけてほしい、と思うのは楽観的すぎるだろうか。
今回の松谷さんの問題提起は、できるだけコミュニケーション・リンクを増大させようというネットワーク本来の性質と、限定されたコミュニティを構築したいという人間的な要望の間でいかに折り合いをつけるか、ということになると思う。これは今後も折に触れて話題になるだろう。ネットワークの将来を考える上で重要になってくると思う。
ちなみに、当サイトに限っていえば、極力リンク推奨という立場である。別にアクセスどうこうではない。悪口だろうと批判だろうと何だろうと、いや、むしろそういうときこそあえて、リンクせよという立場である。「直リンクを避ける」とかいってhttp://のhをわざと外して書くとかいうのは論外だ。直リンクすべきである。どこから参照しているかを隠してコソコソしゃべるような奴はそもそもモノを言うな。あと、2ちゃんねるに苦情を言いたいのは、ime.nuみたいな「リンク元隠し」をやめろということだ。これはひろゆき氏の責任だろう。これのおかげで「言及元が見つかることなく、陰でコソコソウオッチすることが可能」という悪習が流布していると思う。
で、リンクした場合は、できたらそこにトラックバックしてもらえるとありがたい。いちいちリファラを参照するのは面倒なので。堂々と意見の交換をできれば、と思うのでよろしく。
関連リンク
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俺は儀礼的無関心を使われた。笑い
俺は秘密リンク漏らした。わらい
いや~っ!思っていた事を的確に書いていただいて頭の中がスッキリしました。整理がつきましたですよっ!
私の意見としては、もしLinkやTrackBackを避けたいのなら開設者がLinkやTrackBackを制限しても貰いたいなら登録制にするか、簡単にするならURL・Mail Address・Nameなどを記入しないと出来ないなどすればある程度の規制なはなると思いますねっ!
(^^)/デハデハッ!
私は、あえてリンクしないサイトの基準を持っています。
それは、(自分の意思ではないとはっきりと分かるぐらいの年齢の)子供さんの写真が載っているサイトと、勝手にリンクしないで下さいと明記しているサイトです。
そっとしておきたいからリンクしないと言うのは、相手に対して失礼なんじゃないかと思います。
ブログ、とくにトラックバックをはじめる上で、いちばんの悩みどころが
ネチケット(死語ですか?)との関係性を自分の中でどこにつけていくかでした。
ブロガーの中でもいろんなと考えられたり、議論がなされたりしているようですね?
ブログはこれからのツールですので、楽しみながらも考えつづけていこうと思ってます。