イラクのブロガーたちは人質事件をどう見たか
今回の人質事件については、「自作自演」「自己責任」「自己負担」をめぐって右と左の陣営に分かれて罵り合っているような構図になっているが、そういうものとはまるで無関係に、「イラクのブロガーたちはこの事件についてどう書いているか」を集めてみた。イラク人またはイラク在住のブロガーの記事から単純に「japan」で検索し、ある程度まとまった見解を述べているものを訳したものである。
で、いつものごとく念押ししておくと、私自身は単にこういう見解があるということを紹介しているだけであり、いずれの陣営にも与しない。
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(旧: )
Raed 日本語版
赤の週末2004年4月9日
日本の人々への公開書簡2004年4月10日
Healing Iraq
2004年4月9日 午前05:31:53(前後略)
アル・ジャジーラは、目隠しをされて手錠をかけられた3人の日本人ジャーナリスト(女性一人と男性二人)が、サラヤ・アルムジャヒディーンと名乗るグループによって拘束されている短いテープを放映した。このグループは「わが友人なる日本人」に宛てられた手紙の中で、日本がイラクから撤退しないなら生きたまま焼くと脅している。サマワの日本人基地も迫撃砲で狙われた。私が特に興味深いと思ったのは、アル・ジャジーラはテープのほとんどを公開したのに、「アッラー・アクバル!」と叫んでいる間、泣き叫ぶ日本人女性の首にナイフを当てる覆面の男の場面を公開しなかったことだ。何? アラブ人の感情にはきつすぎる?
2004年4月11日 午前02:50:35(前後略)
アル・イラキーヤTVによると、ある匿名のグループが30人の外国人人質を拘束したと発表した。2人のドイツ人も最近誘拐され、1人のイタリア人も誘拐された。3人の日本人人質は、日本政府に部隊を撤退させる圧力をかけようとして、2日前に公開されたビデオをイラク人たちの助けを借りて偽造したのだというインターネット上の噂があった。3人は全員反戦活動家である。今井紀明はイラク人に対する劣化ウランの影響を研究するためにイラクにいた。高遠菜穂子はNGOとともにイラクの戦争孤児を助ける活動をしていた。そして郡山総一郎はフリー・ジャーナリストで、パレスチナ占領地に最近までいた。私は、彼らがそこまでやったとは信じがたい。彼らの目の恐怖はビデオでははっきりしていた。もしそれがでっち上げなら、彼らは絶対にハリウッドでの将来を約束されている。私は日本の国民や組織から信じがたいほどの電子メールやアピールを受け取った。それは、日本人人質の生命を助けてほしいと頼んできたり(彼らは私が誘拐に関与したとでも思っているのだろうか?)、「ムジャヒディーン」に対して、人質はみんな戦争に反対していたことを伝えて欲しいと頼んでくるものだった(あたかもそれで誘拐犯が区別してくれるとでもいうかのように)。
Abbas Kadhim *Calling It Like It Is*
2004年4月10日土曜日
午前12時36分
ある日本の新聞が3人の日本人人質の解放を呼びかけている。「彼らは軍や政府と何の関係もない」
私はこの根拠に自分の言葉を付け加えよう。このような行動をとることは、倫理的(道徳的)でもなければ、高尚なことでもない。それはイスラームの教えにも確かに合致していない。
どうか3人を解放してください!
午後8時01分
日本人解放についてのニュースは本当のように思われる。間違いなく、3人は傷つけられることがないだろうと思う。これらの脅迫はすべて圧力をかけるためだけだ。最後には3人は解放されるだろう。
とにかく、日本政府はこの人たちをイラクから出て行かせるべきだと思う。結局のところ、この人たちは戦闘部隊ではないし、軍事行動に参加するためにいるわけではない。再建のための努力をしている人たちの一部だと言われている。しかし、今、どこにも再建はないし、どんな再建の条件もない。この人たちが役目を果たすのにふさわしい状況になったとき、帰ってきてもらえればいい。
これは、すべての再建のための人々に当てはまると私は思う。彼らは非常に不安定な状況におり、ここ数日間、多くの人たちがさらわれたり、射殺されたりした。
2004年4月15日木曜日
午後11時21分
以下は私が4月10日に言ったことだ。
「日本人解放についてのニュースは本当のように思われる。間違いなく、3人は傷つけられることがないだろうと思う。これらの脅迫はすべて圧力をかけるためだけだ。最後には3人は解放されるだろう」
私は正しかった。そして、この日本人ジャーナリストたちの家族や日本の善良な人々のために、これは非常に嬉しいことだと思う。彼らはこれまでイラクのよき友であったし、もしこの3人の日本人が傷つけられていたならばひどいことになっただろう。この人たちが今回の苦難の後、いい休みをとれますように。
Hammorabi テロリストを支援する不快なメディア
テロリスト・メディアのアル・ジャジーラとアル・アラビア・テレビは、罪のない日本人にナイフを押しつけ、イスラームの名のもとに殺害すると脅迫する凶悪犯の2本のテープを放送している。イスラームは、自分の目的のためにその名前を使うような犯罪とは無関係だ。イスラームとは平和を意味するものであり、この犯罪者テロリストが使った方法は何の関係もなく、この地域や世界におけるワッハーブ派その他のテロリストの悪魔的なやり方だ。尊敬できないテロリスト支援者であるアラブメディアとBBCアラブ・サービスのすべてに厳格な手段が適用されるべきである。
すぐに日本人人質を解放せよ
日本人人質は直ちに解放されるべきである。とらえた者は、連合ではなくイラク人によってすぐに罰せられるべきである。他の人質たちも同様に解放されるべきだ。そして、とらえた者には最大の罰を与えるべきだ。
2004年4月10日午後01:38:38、サム
Baghdad Burning(バグダッドは燃えている)
Baghdad Burning
2004年4月11日日曜日
あの国々の一つに……
(前略)
人質の状態はひどい。私はテレビを見ると、別の国を見ているような気になる。私が考えられるのはこれだけだ。「我々は“あの”国々の一つになってしまった……」 日ごとに人質事件が起こり、各国政府はわが国を訪問したり入国したりする国民に警告していることをご存知だろう。それは特別に悲しいことだ。というのも、封鎖されてきた長い年月のあいだにも、戦争と爆撃のあいだにも、外国人に対する攻撃は決してなかったからだ。イラク人はいつも丁寧に外国人を扱い、客扱いがよく、友好的な国民だ……それなのに、今や、だれもが潜在的な敵として扱われている。
日本人人質事件は特に悲しい――その家族や友人たち、そして日本の人たちに済まなく思う。我々は、人質の状況について矛盾する報告ばかり聞いている。今朝、私は誘拐犯たちが解放することに同意したと聞いたが、他の人からそれは噂にすぎないと聞いた……ほとんどわからない。テレビで人質を見るのは痛ましいことだ。何かできることがあれば、と願っている。日本政府は部隊を撤退させるだろうか? ありそうにない……3人は政府にとって重要ではないだろう。人質が元気に帰ってきますように。そして、人質たちがイラク人に対して悪く思いませんように。日本に対しては、軍人を派遣してきたという事実のために敵対心がある……。日本は部隊を派遣することを決定したときに「奴ら」の一つになってしまったのだ。そして、これはその結果だ。私は本当に済まないと思う……毎日何十人というイラク人が誘拐されて殺害されているという事実もあるが、私は本当に済まないと思っている。(後略)
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