アンパーサンド(&)の由来:語源と起源
「人力検索サイトはてな」で「&の書き順を教えて下さい。正確に知りたいので、それを証明するサイトも添えて紹介して下さい。ただ単に個人的な意見はご遠慮下さい。」という質問があった。続けて「あなたの“&”の書き順を教えて下さい。」というアンケートもあり、ここでは私は多数派とまるで違う書き方をするということをコメントした。
自分の場合、εを書いて、筆記体のエルを上下縮めたような形を書く。
リンク先(※下の図)の、右から二列目の一番下とかその上の形です。
これについて、いくつかのコメントがついた。
strange『おれは下の三角ぽい部分を書いてから、上の丸っぽい部分を書きます』
buttw『私は、逆S字カーブ→右下がり直線…かな。』
darts『「&」これそのものですね。最初は右下から左上へ。』
matsunaga『&は人が座っている様子をかたどった象形文字、とか言いたくなるな(´ー`)y-~~』
doumoto『書き順的には、下からニュルニュルって書くと思うけど、8を書いて、チョンチョンってつける馬鹿も居ると思う( ̄ー ̄)。』
matsunaga『いや、それはさすがにおらんやろ。わらい』
さらに、極東ブログさんでも"&"(アンパサンド)の正しい書き順という記事がアップされた。これは非常に詳細な検討であり、必見である。しかし、アンパサンド(ampersand)という言葉の意味については少々ニュアンスが違っているようである。
アンパサンド(ampersand)の語源"and per se and"は、「andといってもつまりandそれ自体」ということ。含みとしては、AとNとDの略語とかじゃないということ。「"&"はだからぁANDなんだよぉ」ということでもある。
と書かれているが、実際には「Aという字はアー、Bという字はブー……Zという字はゼッド、&という字はアンド」というアルファベットの暗唱法に由来するものであり、「略語じゃないよ」というニュアンスは特に含まれないのではないか。
以下、ネットで見つけた文献の日本語訳をひたすら並べてみる。
■アンパーサンド(フリー・オンライン百科より)
Ampersand - by the Free Online Encyclopedia.
アンパーサンド(&)は「and」を意味する表語文字である。表語文字(logogramまたはlogograph)は、文法的にいって一つの完全な単語を表わすために一文字で書かれる文字である。たいていの漢字は表語文字ということになる。西洋の表語文字のよい例としては数字がある。1はoneを表わし、2はtwoを表わす。
アンパーサンド&は「and」として使われる。@が「at」として使われることがあるのも同様。これは「et」という文字の合字であり、これはラテン語で「and」を意味する。この記号の起源は右側の字形を見れば明らかだ。左側の方が現在一般的だが、これは後に発達したものである。この名前は「and per se and」というフレーズから生まれた。これは「この記号はそれ自体がandを意味する」という意味である。このスコットランドでの呼び方は「epershand」つまり「et per se and」である。この名称はラテン語の「et」に起源があることが明らかだ。
■歴史
このアンパーサンド記号は紀元1世紀の古代ローマの文献に見られる。この時期、この記号は大文字のETを組み合わせた角張った合字だった。長い間に、この文字は丸まって流れ、ついには右側の「イタリック」アンパーサンドと呼ばれるような形になっていった。左側の「ローマン」アンパーサンドは形式化されているが、右側の「イタリック」アンパーサンドは見るからに「et」と似ている。
8世紀には西洋のカリグラフィーが発展し、特に「カロリング小文字体」という形にまで至った。一語を一文字に圧縮することによって仕事が少し楽になるため、書家たちはアンパーサンドを大々的に使うようになった。この期間にアンパーサンドはさらに圧縮され、左に見られるような形となった。これは「ローマン」アンパーサンドと呼ばれることがある。
1455年にヨーロッパに印刷術が登場した後、印刷屋はイタリックとローマンの奏法のアンパーサンドを大いに使うようになった。すべての新しい活字書体やフォントは独自の&書体を含むようになった。アンパーサンドの起源は古代ローマにさかのぼるため、ラテン語アルファベットの変形を用いる多くの言語で使われている。
歴史的には、&は英語のアルファベットの27番目の文字とみなされていた。近年まで、子供たちの使っていたアルファベットはZで終わらず、&で終わっていた。
■使用法
普通の用法では、&記号はandと交換可能である。その区別は美的なものでしかない。しかし、映画のクレジット、映画シナリオなどでは、&はandよりも近い関係を示す。正式に書かれた文書では、テキスト本文でこの記号を書くことは避けた方がいいということになっている。多くの作家はandと書く。
日々の筆記では、アンパーサンドは単純化されてεに垂直のラインを重ねたような形で書かれることもある。ちょうど$記号のように。これは「+」に輪をつけたものになってしまうこともある。この輪は小文字のeの名残だ。
「et cetera」(エトセトラ、「~など」)は「&c」と略すことができる。というのも、アンパーサンドはもともとラテン語の「et」を表わしたからだ。
アンパーサンドは、マーシャル諸島語の正書法では母音を表わす。
■アンパーサンド(Adobeによる解説の一部)
新しい書体を作るとき、デザイナーはアンパーサンドの文字に最も芸術的なセンスを注ぎ込むものである。アンパーサンドという呼び方は、ジェフリー・グライスターが『本の用語集』で書いたとおり、「and (&) per se and」の転化であり、それは文字通りには「&(という文字)はそれ自体がand(という単語)」という意味である。&記号はETまたはetの合字であり、これはラテン語の「and」に由来する。
アンパーサンドの最初の例は、西暦45年のパピルス上に見られる。ローマ字の大文字で書かれているので(というのも当時はそれで書くのが普通だった)、これはETの合字となっている。西暦79年からのポンペイの彫り文字の例(図1)でも、大文字のEとTの組み合わせとなっており、それは初期のローマの文献にも出てくる。
その後の文書では文字は流れ、あまり正式ではないローマの小文字体がイタリックに変化し、etという形がよく見られるようになった(図2=4世紀ごろ)。
大文字のEとTの間のつながりは最初すばやく書かれていたが、後のカリグラフィー的な文書では、半円形となっているEの中心部がTと交わって、故意に水平の線となっている。やがて、この密接な組み合わせは一つの記号のように見えるようになった(図3=9世紀スコットランド)。
西暦775年ごろにカロリング小文字体が発達するころまでには、この合字は文字目録に普通に組み込まれていた(図4=カロリング小文字体、810年)。
書く速さや書家が完璧を目指したことから、8世紀以来、EとTの組み合わせは、15世紀初めの印刷の発見で採用された合字と似たような形になっていった(図5=人文主義者の小文字、1453年)。
アンパーサンドの左側の部分は小文字のeまたは二つの半円でできた大文字のEである。斜めに下から上へ伸びるラインは、ときに終端がくるりと回っているが(図6=ウィリアム・カズロン体、ロンドン、1728年)、Eまたはeの水平線からの名残かもしれない。あるいは、これは次の文字とつながったものかもしれない。それは、書き方の流れを増やそうとする書家が好んだ技法である。
イタリック形と比べると、アンパーサンドのローマン形はtの線が少しだけ残っているようである(図7=イタリア人文主義者小文字、1500年)。
現在、&記号はすべての新しいフォントのデザインに取り入れられており、それはローマ字アルファベットの中に組み込まれている。(以下略)
■言葉の由来について詳しいTake Our Worldより
■第10号
Steve Coughlanの質問
アンパーサンドという単語は「and, per se and」に由来すると読んだ覚えがあります。詳細を教えてください。
はい、per seの詳細を述べましょう。アンパーサンドは「and, per se and」の合成であるというのは正しいのです。しかし、「and, per se and」とは一体何ぞや? Per seは「それ自体」を意味します。ですから、この句は「&、それ自体がandを意味する」と訳せます。英国の生徒はアルファベット(に加えて、アンパーサンドという追加文字)を暗唱するよう教えられました。多くの記述にあるように、暗唱する人たちはその意味を忘れてしまいました。そこで、彼らは&記号が「and per se and」なのだと考えるようになり、そして「ampersand」となったのです(nはpの前ではmに変わる)。今日の綴りは1837年以降見られます。
興味深いことに、&はラテン語のet(andを意味する)の省略記法として、マルクス・ティロが紀元前63年に発明したものです。また、et ceteraという単語が&cと略されるのに出くわすことがあるかもしれません。
■142号
Take Our Word For It - Issue 142
もう一つの有名な省略としてはアンパーサンド(&)があります。この名称は、英国の生徒がアルファベットを暗唱するやり方に由来しています。「A, per se, ah; B, per se, buh...」(すなわち「Aそのものがアー、Bそのものがブー」)。それがX、Y、Z and &と続いたのです。そう、当時、&はすべてのアルファベットの最後に置かれていました。そして、子供たちはそれを発音するように言われたとき、「And, per se, and」と言ったのです。この4語がアンパーサンドとなっていきました。
&は紀元前63年、マルクス・トゥリウス・ティロ(Marcus Tullius Tiro)によって発明されたもので、これは「ティロ書法」と呼ばれた速記法の一部でした。これはラテン語et(=and)をペンを持ち上げずに続けて書く方法に由来しています。
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