中国民族主義者と日本民族主義者の「舌戦」お流れに
文藝春秋誌の企画で、3月18日、東京で、中国の民族主義者代表の「中国民間保釣連合会」会長・童増氏ら3名と、日本の民族主義者代表(当初の予定は石原慎太郎氏、後に桜井良子・秦郁彦両氏に変更)が論争を戦わせることになっていたが、条件が合わず、今回は流会となった。日本側が提示した条件が中国側には不公平・非公開的なものと映ったのが原因。
以下、中国での報道をできるだけ客観的に翻訳してお届けする。
なお、私自身は「どの国の人であっても」民族主義者には好感を抱けない。しかし、そう言うとどういうわけか民族主義憤青日本人からは反日売国アサヒのように思われ、一方で民族主義憤青中国人からは日本軍国主義右翼のように思われ、ブログのコメント欄に南京大虐殺について賛否両論の議論が書き込まれ、「日本が嫌いなら日本から出て行け」とか「日本人は侵略を認めて謝罪せよ」とか書かれて鬱陶しい状態になることは経験上明らかなので、今回は最初からコメント欄を閉じておく。他のブログ等でご自分の見解を述べ、トラックバックされる分にはかまわないが、人を勝手にレッテル貼りすることだけはご容赦願いたい。
一つだけ意見を述べておくならば、殴り合いではなく舌戦であれば大いにやればいいと思う。たとえ物別れに終わろうとも。
■中国民間人が東京に赴き日本右翼と舌戦
- 中国民间人士将赴东京舌战日本右翼 中国青年報
- 2005年03月07日02:47:34
- 記者:陳為民
本紙北京3月6日報道
本紙記者が聞いたところによると、今月中旬、童増ら3人が日本東京に赴き、日本右翼代表と現在の中日関係などの一連の問題について対話と論争を行なうという。童増と同行するのは、かつて日本の有名大学にいた史学科教授である。もう一人は著名人であるが、童増はこの人物を「秘密兵器」と見なしている。
ことのはじめは今年1月初めで、このとき日本の『文藝春秋』誌が人を派遣して童増と接触、以下の要望を伝えた。中日両国の政治関係は次第に冷たくなっていることをかんがみ、両国民の民意を最もよく繁栄している民間人の対話・弁論形式を通して、中日両国に存在・蓄積して久しい問題を十分に提出し、両国政府がこれらの問題を解決するよう積極的に働きかけたい、と。
日本側はこれを非常に重視しており、当初は日本の右翼を代表する人物・東京都知事石原慎太郎に日本側弁論代表となるよう要請し、中国側は中国民間対日賠償運動発起人で中国民間保釣連合会会長・童増を代表とすると決めていた。論争時期はもともと2月末となっていたが、理由あって3月中旬となり、場所は日本東京と指定された。
童増によれば、今回は必ずやじっくりと日本右翼と勝負するという。そして、日本政府が中国侵略戦争史を改竄し、我が領土たる釣魚島を侵略占領し、靖国神社に参拝するということに対して中国の民衆が厳格公正な態度で怒っているという心情を彼らによくよく理解させる。中国人は決して負けないようがんばる、という。
しかし、日本側は様々な理由で、石原が今回の弁論を目前にしてなお参加が確定しないと伝えてきた。ただし、日本側はその他2名の傑出した人材を出してくることを決定した。彼らは日本でも影響が非常に大きい右翼人物である。一人は日本の有名なテレビ司会者兼評論家の桜井良子で、この人はずっと積極的に「台湾独立」を主張している。もう一人は日本大学教授・秦郁彦で、日本軍がかつて行なった南京大虐殺を否定し、「七七事変(盧溝橋事件)」では中国人が最初に攻撃を仕掛けたと述べ、「田中上奏文」の存在を否定している。
まもなく開かれる今回の弁論は、北京社会各界の注目を集め、童増たちが今回東京に赴いて日本右翼と弁論するにあたって、多くの人が作戦を謀り、協力を申し出ている。童増は、現在も日本側に石原慎太郎が今回の弁論に参加することをできるだけ早く確定するよう要求しているという。童増は言う。「私の背後には13億人の中国人がいる。今回はじっくりと日本右翼の頑固者たちに教え諭してやるつもりだ」
■他の訳
■日本側主催者は苛酷な条件を提示 中国民間人の訪日弁論団は実現せず
- 日方主办者提出苛刻条件 中国民间赴日辩论团未能成行
- 2005年03月17日01:20:10
- 記者:陳為民
本紙北京3月16日報道
記者の聞いたところによると、もともと3月18日に日本東京で開かれる予定だった中国民間人と日本右翼代表の弁論は理由あって取り消されることとなった。中国民間保釣連合会会長・童増が本紙記者に告げたところによると、日本側が今回の弁論について中国側に様々な厳しい条件をつけ、多くの障害を儲けてきたので、童増その他二人の訪日弁論を準備していた民間人は16日午後、緊急協議を行なって、今回の日本訪問を取り消すこととした。他の二名の民間人は北京大学史学部教授・徐勇と、中国政法大学客員教授で中国民間保釣連合会顧問の司馬南である。
今回の弁論が確定しなかったことについて、童増は非常に遺憾の意を示している。しかし、弁論会の「流産」の責任は日本側にある、と彼は強調する。というのも、今回の弁論に彼らは「我々が受け入れることのない多くの過酷な条件を設けてきた」からだ。16日午後、童増は彼らの日本行き航空券をキャンセルした。
司馬南が本紙記者に伝えたところによると、16日午後、日本側はFAXで、中国側の弁論参加人数を6~7人に限定し(ここには翻訳と書記も含む)、一方で日本側参加者は9人とすると伝えてきた。そのほか、もともと相談して決まっていたメディアの同席を取消し、弁論現場で撮影することを認めないという。司馬南によれば、最も容認できないのは日本側がさらに今回の弁論の内容をすべて日本側主催者『文藝春秋』誌が独占使用し、中国側発表のないようはすべて彼らの認定を経なければならない、と要求してきたことだという。
司馬南はこう語る。「明らかにこの条件のもとでの弁論は不平等・非公開であり、双方の共通認識は成立し得ない。日本側は、我々を招いたものの、我々が歴史の真相を多数の大衆の前で語ることをおそれ、誠意を欠いて考えを変えたのだとわたしは認識している。
このような情況の下で、私たちが行く意義はすでに大きくはないと思う」
童増はこう述べる。「我々が日本に行くのは中国民間を代表し、侵略の歴史を否認する日本右翼と論争をかわすためである。日本側が我々を自分たちの道具と見なすことは、決して許さない」。おもしろいことに、童増と司馬南のパスポートによれば、彼らの訪日ビザは8日にすでに取得されていたが、日本側は一度取消し、15日に再度日本行きのビザを与えたことである。司馬南によれば、これは日本側がこのことについて非常に矛盾していることを示すという。「日本側は我々の安全を口実にして、日本で我々が外界と接触しないようにし、メディアと会うことを許しませんでした。わたしたちは日本にいる間に日本の左翼と中国留学生と面会したいと言いましたが、これも許されませんでした。これは、彼らが寛容ではなく、口にできない苦悩を抱えているということです」
童増はこう述べる。「我々はやはり日本右翼と議論することを期待しています。日本側が誠意を示し、人為的な障害を設けさえしなければ、我々はそう遠くない将来、日本右翼と論戦を交えることを望んでいます」
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