ライブドアは「松下電器型」か。ブログニュースに見るサービス展開スタイル

 いくつかの場所ですでに話題になっているが、ライブドア・ニュースの1コーナーとして6月初めにBlogニュースが開始されるという。すでにエキサイトで展開されているブログニュースと同じようなものになるとのこと。

 当ブログにもメールが届いたので、このライブドアブログニュースでヘッドラインを取得されることになるようである。で、ちょっと思ったことがあるので書いてみる。

2005年5月21日17:27| 記事内容分類:ウェブ社会, 経済・ビジネス| by 松永英明
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 いろいろな反応があるが、自分としては採用されるならそれでいいという考え。

 というのも、このブログニュースというのはどういう仕組みかといえば、このブログで公開しているRSSデータを自動的に取得してヘッドラインニュース的に表示するだけのものである。つまり、一般の人が「はてなRSSリーダー」にうちのブログを登録するのとまったく違いはない。ただそれがポータルサイトによるものであり、何らかの選考基準があるというだけの話である。はっきり言って、こちらで断るとか何とかいうような筋合いではない。

 もし、それがいやなら、自分のRSSの利用基準について制約を加えるような規約を明記するなり、そもそもRSSを配信しないといった対策を取る必要があるだろう。たとえそれが自分と対立するようなものであったとしても。

 ライブドアPJともめている団藤さんが「おぞまし過ぎる」と拒絶の構えであるが、自分だったら「面白いことになった」とむしろ敵地にガンガン乗り込んでいくことだろう。いや、むしろ大歓迎だ。同じポータルサイト内で論戦を繰り広げられるという点では、同じ土俵に立てるわけだし、それでいて個人サイトという立ち位置は変えなくていいわけだし。いや、むしろ美味しい話だと思うのだが、そう思ってしまうのは書き手の性格の違いだろうか。

 まあそれはともかく、ブログ更新時に更新したよということをお知らせする更新通知PINGを飛ばしているこのブログでは、RSS取得されることについて、当然のように「来る者は拒まず」でなければ筋が通らない。

 ライブドアからのメールも、まあ目くじらを立てるものとは感じなかった。これについてはたださんの意見に近い。そこで例示されたYahoo!からのメールは理想的という点についても同感である。この点については特に何も補足はない。

 そうそう、団藤さんのコメントで、これは気になった。

何十かのブログを対象に声をかけたそうですから、見物です。どなたが応じるのか。広告のためにアクセス数を稼ぐのならともかく、これは決して「洛陽の紙価を高める」ことにはなりませんよ。

 広告のためのアクセス稼ぎとかそういう発想が出てくること自体に逆に驚いた((23:30追記。そもそも、エキサイト・ブログニュースによるアクセス数はそれほど多くない。当方のアクセス解析でエキサイトから1日150アクセスあれば上位10位に入る、というのが大体の統計的目安。タイミングや内容によっては、二桁前半ということも多い。それだったらむしろ、確実に4桁単位のアクセスが見込める「カトゆー家断絶」対策をした方が(あるいは5桁単位のアクセスが見込める「動画ファイルナビゲーター」対策をした方が)アクセス獲得という観点からははるかにオイシイわけである。たまにアメーバブログトップの注目ブログ記事にこっそり選ばれてリンクされることがあるが、そちらの方がエキサイトブログニュースの数倍のアクセスを集めている。というわけで、ブログニュースを気にして書くよりは、毎日メイド喫茶に通ってレポートを書いた方がはるかに「洛陽の紙価(アクセスと評価)を高める」ことになるだろう(笑)。まあ何が言いたいかというと、ライブドアブログニュースでのRSS取得対象となって「わーい、アクセスが増える!」とか思って喜んでいる人はあまりいないのではないかということ。多少は増えるだろうが、取得対象となっているレベルのブログであれば、その増加率は微々たるものと推測できるからだ。))。ライブドアブログニュースにデータを取得されることは、別に「洛陽の紙価」を高めもしないだろうが、低めるものでもない。「あのサイトは、あのひどいサイトからリンクされることを許容している。だから評価できない」と考えるのがおかしいと思うのとまったく同じ理由で、団藤さんのこの一段についてはうなずけない。リンクする行為について、リンクされる側は一切の責任を有さない、という考え方はネット内で共有されていないのだろうか((もちろん、企業サイトを作ろうと考えているネット素人さんは、往々にして「変なサイトからリンクされること」に対して潔癖性ともいえるほどの嫌悪感を示すことがある。その結果として「リンクするときは事前に許可を求めよ」などと書いてしまうわけである。しかし、どこからリンクされているかということは閲覧者は気にしないものだ。どこへリンクしているかということでいろいろ評価されることはあるとしても。団藤さんはネット歴がそこそこ長いとおもわれるのだが、その辺の感覚は違うのだろうか。))。

まったく同じものをやるライブドアは松下電器的だなあと

 それよりも思ったのは「おお、ライブドアは、先発のサービスをそのままそっくり転写してくるというパターンをまたまた繰り広げているな」ということだ。R30さんはこう書いている。

エキサイトの方とどういう違いを打ち出すのか、興味あるところ。

 むしろ追求すべきは、「エキサイトブログニュース」との違いでしょ。「うちはもっと協力ブログの幅が広い」とか、「小ネタ、論壇、ギーク、海外、芸能などのカテゴリ別に分けて提供するぞ」とか、そういうのがあればちょっとは「へぇ」とか思うんだろうけど、おんなじものを今さらやってもねえ。

 いや、「おんなじものを今さら」やるというのが、ライブドアなのだと思う。そして、そのやり方の先駆者として、日本を代表する家電メーカー松下電器があると思うのである。

 ここで「松下電器」を取り上げるのは、経済の専門家でないわたしの個人的なイメージであって、不適切かもしれないが、まあ意図を酌んでいただければと思う。また、以下に書くことはマイナスイメージ的に受け取られるかもしれないが、決して否定的にではなく、そういうやり方もあるという「個性」について述べているつもりであるのでご了解いただきたい。

 松下電器は(繰り返すがわたし個人の印象として)独創性はあまりない。創業者の二股ソケットなどは別にして、現在の松下電器というブランドのイメージとしては、新しいものを市場に問うというベンチャー的な性質はあまり感じられない。製品を出してくるのは二番手、三番手、あるいはそれより後かもしれない。だが、かならず松下電器は先発の製品をよく研究し、そのよいところ、悪いところを見て、消費者になじみやすい「合格点」の、あるいは「無難」な製品を出してくる。こだわりがあるとか、プロならばもっと別の専門的なメーカー、個性的なメーカーの製品を選ぶのだろうが、普通に使いたい一般のユーザーにとって、パナソニックなら「外れはない」というところを突いてくるし、そして大体の家電品については商品ラインナップが揃っていて「安心」できる。

 ひるがえってポータルサイトとしてのライブドアを見てみれば、そのサービスは見事に二番手、三番手以降、あるいは買収したサービスであって、ライブドアが独自に始めた企画はみごとに転んだライブドアPJを筆頭に、未来検索Livedoorなど、あまりパッとしない。そもそもポータルサイトのスタイルそのものがYahoo!をまねたものであるし、買い物、情報、実用、趣味、生活、出会い系等々、楽天やYahoo!やエキサイトと「おんなじものを今さら」やっているわけである。ブログも含めて。だが、何となくネットのポータルサイトとして必要そうなサービスは大体揃っているし、それなりに使えるものになっている。

 で、特色がなくてオール60点の合格点というのがむしろ松下電器の特徴だとすれば、ネットサービスにもそういうものがあっていいのではないかとも思う。個人的にそれが好きかどうかは別として。で、それがライブドアだと思うわけだ。わたしの著書『ウェブログ超入門!』では、ブログの使い方としてLivedoorブログを例に挙げたわけだが、あれは一番癖がなかったので例に挙げやすかったのだ。つまり、一番オーソドックス、最も一般的であって、言い換えればこれといった独自性も目立った特徴もないわけである。

 特に面白みがあるわけではないが、とりあえずみんな平均的に合格点を取っていく。それは広い支持を受ける可能性があると思う。広く浅くのゼネラリストを狙うならば、そういう戦略があってもいいだろう。そして、それを実践しているのが松下電器であり、ライブドアではないか、という気がする。むしろ、独創性を発揮しようとすると、コケるだろうから、先にどこか別のところにやらせておいて、しばらく様子を見てから、そのいいとこ取りをするというパターンがライブドア的には一番うまくいくのではないか(´ー`)y-~~

 もっとも、個人的には、独創性バリバリ、「シーンの先端を突っ走る」ところ(たとえば、はてな)の方が面白いと思うのだけどね。そもそも、企業に就職する気がないフリーライターやってる時点で、松下電器/ライブドア的な生き方ではないわけで(´ー`)y-~~

23:50追記。

 「[R30]: ネット時代の「マネ下デンキ」戦略の成否」からトラックバックがあった。「ライブドア=マネシタ電器」論を書くときには共通項に着目していたわけだが、ライブドアと松下電器の違いについて、ぼんやりと思っていたが言語化できなかったポイントが見事に指摘されていたので、さすがマーケティングの人は違うなと思った。以下、特にポイントと思ったところを引用。

  • 本来はシェアで劣る二番手、三番手企業の取るべき戦略ではない。
  • これまでライブドアが競合のマネをして始めたサービスが、競合より「ちょっと良かった」試しなどあるだろうか。
  • ネット業界の「マネ下」の称号を冠するなら、ヤフーこそそれにふさわしい
  • 「マネ下」的な同質化戦略の効果というのはほとんどなくなっているのかも知れない

 示唆に富む分析だと思うので、マーケティングに興味のある方はぜひR30さんの記事を参照のこと。

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正直、何が言いたいのかさっぱりわからないっす。
ブログニュースサービスの話なのか、松下やライブドアは
姑息だという話なのか、ライブドア批評なのか、ブログ
サービスについて話なのか。

それともフリーライター(笑)っていう話ですか?

タイトル見たらわかるじゃん。
それに批評や姑息というのは否定されてるし。
読解力のなさを棚に上げてるな。

ことのはさんのこの記事を読んで、まったく同感だ、いいこというなーなんて思っていたらば、
なんかうちのサイトも記事配信になっていたみたいで、メール届いてなくてびっくらこいたしだいなのです。
というか、うちのサイト、実はエキサイトニュースでも配信されていたのですがエログロがすごすぎて(多分だけど)、一ヶ月もしないうちにいつのまにか記事提供リストからも消え去りなかったことのようになっている過去を知っていての犯行だとしたら、それはそれですごいと思います。
でもって一ヶ月もたたないうちにまた闇に葬られるとしたらそれもエキサイトニュースと一緒なのでアリなのかもしれないけど、上げられたり降ろされたりとか本人は結構切なかったりします。

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