政治的ブログも主流メディアへの誘導がメイン――アメリカの調査結果より
FujiSankei Business i. 国際/ブログの影響力は限定的、米で調査結果(2005/5/23)について、極東ブログ: 政治とブログとその公共的な性格についてがツッコミを入れている。「情報や影響という点で新聞やテレビなどの既存メディアに成り代わる存在ではない」というBusiness iのまとめ方に対し、「この調査の主眼は、ブログが市民の政治意識・活動にどのような影響を与えるかということであって、新聞やテレビなどの既存メディアと対立の枠組みではない」と極東ブログ。
というわけで、こういうときは双方の議論を眺めるだけでなく、原典に当たれ、が当ブログのスタンス。で、原文(プレスリリース)を全訳してみた。
訳してみたところ、少々荒削りな表現ではあるものの、Business iの書き方も一応はアリかな、と。というか、プレスリリース全文を読んだ上でのまとめではあると思う。ただ、確かにメディアとブログの対立項を意識しすぎ。
自分なりにまとめてみると「ブログはそれなりに影響力を持ってるけど、独自の意見を提出するというよりは、主流メディアの報道を紹介する役目に留まってる。ただ、議論の場を提供するという意味では大活躍したよ」という感じかな、と。確かに、世論を新たに生み出すというよりは、世論を特定の話題に注目させるテーマ設定機能や、その増幅の部分にブログが活躍しているかな、という印象がある。つまり、議題そのものを生み出すパワーはまだない、というところ。
以下、全訳。そのうち時間ができたら調査結果全文も訳してみたい気がする。ざっと見たところ、何となく面白そうだった。
■ブログは国内政治のどこにフィットするかについての革新的な研究
- 2005年5月16日リリース
- Pew Internet & American Life Project Release: Innovative Study Suggests Where Blogs Fit into National Politicsより(5/24翻訳)
- http://www.pewinternet.org/press_release.asp?r=105
ニューヨーク、2005年5月16日――Pew Internet & American Life Project(ピュー・インターネット&アメリカの生活プロジェクト)とBuzzMetrics(ブズメトリックス)は、「政治的ブロガーは政治に影響力を与えることができるが、政治家やジャーナリストの誘導に従うことも多い」と考える。
本日発表された予備報告は、「ざわめき、ブログ、そしてその先:2004年のインターネットと国家論議(Buzz, Blogs and Beyond: The Internet and the National Discourse in the Fall of 2004)」という題名である。新しい口頭追跡tメディア間交流技術を使って、2004年大統領選最後の2カ月間における国家的な議題についてオンラインでのひそひそ話の影響力を調べた。PIPとBuzzMetricsは、ブログ、ニューズグループでのオンライン市民チャット、主流ニュースメディア、民主党・共和党の選挙陣営からの公式な政治的見解の相互作用を調べた。また、CBSニュースが、ジョージ・W・ブッシュの州兵時代の記録についての疑わしいメモについて報じたことから始まった「ラザーゲート(Rathergate)」スキャンダルのケーススタディも行なった。
Pew Internet & American Life Projectの上級研究コンサルタントのマイケル・コーンフィールド博士(Dr. Michael Cornfield)はこう述べる。
「ブロゴスフィアは、国家論議に大きく関わっていることがはっきりしている。しかし、特定の政治的ブロガーの影響力については、注意深くあらねばならない。その力は、利用できる情報の種類、他の世論の動き、非常に短期間に展開するという傾向のあるインターネットの形態・形式によって、強まったり衰えたりする」
BuzzMetricsの社長・CEOのジョナサン・カーソン(Jonathan Carson)はこう語る。
「この注目に値する期間におけるPewとBuzzMetricsの多岐にわたる研究は、この種のものとしては初めてのものであり、ざわめきと社会に対するその潜在的な影響力を理解するための新しい枠組みをうちたてる助けとなる。社会とメディアの分裂、デジタル・ネットワークの急速な勃興にともない、政治、メディア、国家的議題といった社会制度に対してどのような影響力があるかを自問自答せねばならない。我々の調査結果が討論を焚きつけ、これらの新しく観察される現象をよりよく理解するためのさらなる分析が生まれることを期待する」
■政治的ブロガーは、ざわめきの作り手であると同じくらい追従者でもある
研究者は、秋の選挙期間にざわめきのネタとなった特定の話題の人気度を図表化した。それは4つのコミュニケーション法、すなわちブログ、市民チャットルーム、主要メディア、国家のキャンペーンにまたがるものである。ブログと市民チャットルームという経路は、保守・一般・リベラルのグループに細分化された。
ブロガーの影響力を示す周期的なパターンは見つからなかった。研究者は、議論の話題をコード化して、ある経路またはその下位グループが他のものとどの程度好みが一致するかを調べた。議論を通じて、強い対応が存在した。しかし、ブロガーたちは2004年秋には、インターネットの他の人々に対して主流メディアへ誘導するものとして位置づけた方がいいかもしれない、ということをこの分析は示している。
■政治的ブロガーの最も重要な貢献:「ラザーゲート」スキャンダルにおける公開フォーラムを提供
ケーススタディとして、PIPとBuzzMetricsは「ラザーゲート」スキャンダルについての経路をまたがる人気度と、396の政治的ブログ投稿を調査した。この研究では、要素の組み合わせ――いくつかのインターネット関連とブログ関連、そしてそうではないものがいくつか――がざわめきを作り出し、メモは本物であったという主張を取り消し、ジャーナリズム的な独自の再調査を依頼させるようにCBSニュースを駆り立てることとなった、ということがわかった。この事件において、政治的ブロガーからの主要な貢献とは、全インターネットユーザーがメモの複写を検証・議論できるフォーラムを提供したことであった。
■報告と研究方法について
「ざわめき、ブログ、そしてその先:2004年のインターネットと国家論議」と題するPew / BuzzMetrics報告は、ブログだけではなく、オンラインの市民チャットフォーラム、主流ニュースメディア、民主党・共和党選挙陣営からの公式の政治的見解を横断して分析したものである。PewとBuzzMetricsは、2004年9月27日から2004年10月31日までの間に最もよく議論された政治的な話題を調査した。
この研究は、BuzzMetricsの有する論議掘削(Discussion Miner)技術を分析のために用いた。約2万投稿近くに及ぶトップ40の政治的権威ブログの議論、リベラル・保守・中道の掲示板にける市民チャットの200万以上の投稿。さらに加えて、PewとBuzzMetricsは、ブッシュとケリーの選挙戦、民主党全国委員会と共和党からの発表、主流メディアの代表としての16のメジャー放送局をサンプルとした。
報告の完全版はここにある。ブログ、メディア、政治的コミュニティの構成員で、この予備報告について研究者にフィードバックしたい方は、ELECTION-BLOGS (at) PEWINTERNET.ORGにメールでどうぞ。
■Pew Internet & American Life Project について
Pew Internet & American Life Projectは、Pewリサーチセンターの中の、インターネットの社会的影響力を調べるための無所属・非営利の部門である。これは政治的立場を有さない。
■BuzzMetrics について
口頭の研究と計画におけるリーダー、BuzzMetricsは、フォーチュン500社が自社ビジネスを取り巻くざわめきに戦略的にてこ入れするのを援助している。BuzzMetrics のクライアントリストは、トップ15製薬会社のうち14社など、ほとんどすべての産業における全世界的なリーダー、たとえばコムカスト、マツダ、ヒューレット・パッカードなどを含んでいる。1999年設立のBuzzMetricsは、2年間の激しい研究開発によって独自の論議掘削ソフトウェアを開発し、さらに2年間の限定的なクライアントサービスと試験的な仕事を行ない、市場に出せる完全な能力とサービスを打ち立てた。一般向けに完全に登場した2003年末以来、BuzzMetrics は口頭では何が可能であるかということを再定義してきた。さらなる情報は、www.buzzmetrics.comで。
■補記
このPew Internet & American Life Projectのサイトには下記のように書かれていることを補記しておく。著作権厨の方のために。
もしあなたが紙媒体またはウェブ上で再利用(reproduce)したい場合は、下記のガイドラインに従ってください。
ドキュメント全体を再利用することは問題ありませんが、我々のウェブサイトにリンクしていただければと思います。我々は非営利、無所属の組織であり、それゆえに、我々はいかなる人、製品、ビジネス、問題における立場をも支持するものではありません。そのため、我々の素材は、何らかのものを支持しているかのように思われるような方法で再利用しないでください。必ず、情報/データ/報告が我々によって作り出されたことを明確にしてください。Pew Internet & American Life Projectのクレジットを入れ、文書のタイトルと著者名と公開日、アクセスした文書のURL(ウェブアドレス)とその日時を明記してください。我々の報告以上のものが必要であれば、使いたいものとどのように使いたいかということをwebmaster@pewinternet.orgまで電子メールでご連絡ください。我々は即座にすべての要望に返答いたします。
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