メルマガとブログの融合に失敗した「melma! blog」追悼
「melma!blog」サービス終了のお知らせによると、2005年11月30日をもってサービスを終了するとのことである。
- 2003年12月25日試験運用開始。はてなダイアリーをカスタマイズしたもの。
- 2004年01月29日正式運用開始。
- 2005年11月30日サービス終了。アメーバブログへの移行を促す。
バージョンアップなどのメンテナンスがないこと、同社のアメブロに力が注がれていることから不安を感じてはいたのだが、ついに終了となってしまった。自分は、ブログサービスの中でもmelma!blogには特別な使命というか位置づけがあると考えていた。それは、「メルマガとブログの融合」である。
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(旧: )
■メルマガのバックナンバーは見づらい。
メールマガジンは、「忘れていても向こうから届く」という性質がある。送信側からすれば、いわゆるプッシュ型メディアだ。登録していたことを忘れていても、速報型のメルマガなら、来れば読んでみたりする。情報型のメルマガなら、メールボックスに貯めておいて、あとで検索したり、まとめて読んだりすることができる。
しかし、メールマガジンに共通する難点は、バックナンバーページの見づらさだ。日付順に読んで行くにしても、特定の記事を読みたい場合も、どうもナビゲーション的に読みづらいものがある。「まぐまぐ」にしても「melma!」にしても、メルマガのバックナンバーを検索したり、連続して読んだりするのには、あまりにも不便だ。
かつて某所でメルマガを発行したときには、このバックナンバーを何とかして見やすい形にできないかと考えたものだった。
■ブログはバックナンバー整理に向いている
実は、メルマガのバックナンバーを整理するには、ブログが便利だ。そもそも、ブログは新着記事から時系列順に並べるページであり、しかもカテゴリ分けをしたり、ブログ内検索ができるようになっている。しかも、一定のフォーマットに合わせて整形した上で、過去記事へのリンクなども自動的に作られるわけである。
とすれば、メルマガに投稿するたびにブログにも投稿しておけばいい。実際、このようにしてブログとメルマガを連動させているサイトもある。
しかし、これは明らかに面倒だ。メールマガジンを発行すると、自動的にバックナンバーページが作られるのであれば、その出力形式をブログにしてもらえればいい。
その連動を可能にしたのが、melma!blogだったわけだ。
■melma!blogと「はてな記法」
melma!blogは、メルマガを送信するとき、それをブログにも投稿するという選択が可能だった。もしこの連携がさらに充実されるのであれば、melma!blogはメルマガ界で「まぐまぐ」に対抗しうるメリットを手に入れたことだろう。
melma!blogがはてなダイアリーをもとに作られていたのも、ポイントが高かった。それは「はてな記法」が使えるからである。他のブログであれば、文章の装飾にはHTMLタグを入れる必要がある。かといってメルマガ本文にタグを入れるのはかっこわるいわけで、そうなると一度送信して、あとから編集し直すという手間がかかってしまう。
ところが、はてな記法は、行頭に「*」を入れれば見出し、その直後に[カテゴリー]を記入することもできる。また、>>と<<で挟まれた部分は引用、URLが書かれていればそのままURLリンクに変換、というようになっている。これは、メルマガで見たとしても気にならない程度の記号だ(慣れればその記号の意味にもすぐなじめる)。だから、同一のテキストデータから、タグで整形されたブログ記事と、ベタテキストのメルマガを同時に出力できるわけである。
もっとも、はてなダイアリーにある機能の中でも、キーワード機能は、melma!では必要なかった。あれはキーワードをいじろうというユーザーのコミュニティがある程度活性化していないと意味がないが、melma!のような独立性の高いメルマガ著者同士は、連携することに興味があまりなさそうだからだ。
■Seesaa Blogのメルマガ機能は不十分
ブログとメルマガを連携させているといえば、Seesaa Blogがある。ここは、ブログの更新情報をメールで配信するという位置づけで、むしろ「更新通知」という認識だ。これは一度試してみたが、「メルマガとブログを連動させる」という自分の希望には添っていないと感じた。
というのも、これはブログが主で、メルマガが従である。したがって、メルマガの管理機能がほとんどない。配信部数をチェックしたりすることもできない。メルマガ主体のmelma!とは逆である。
したがって、「メールマガジンのバックナンバーを管理するためにブログを使う」という目的には使いづらいと感じた。
■期待されるメルマガ・ブログの連動と活用
しかし、melma!では、どうやらメルマガとブログを連携させて運用するという発想がなかったようだ。melma!本体のほうにはブログと別にバックナンバー表示機能が残っているし、一方でmelma!blogははてなダイアリー旧版のままで、メルマガサービス向けのチューンナップがなされるでもなく、放置されてしまっていた。そして、ついにブログが消えることとなったわけである。
そこで、自分が「あったらいいな」と思うメルマガとブログの連携サービスについて、その仕様書をまとめておきたい。まぐまぐでもE-MagazineでもMailuXでもいいのだが、どこかで採用してくれれば面白いことになるだろうと思う。
- 既存のメルマガ配信機能は温存する。
- バックナンバー表示機能として、ブログ形式を選べるようにする。
- 「はてな記法」を採用する(これは他のwiki記法などより優れているため)
- URLはリンクに自動変換
- 見出し、カテゴリタグ付け、引用等、メルマガでも使える記法を採用
- 自動キーワードリンク機能はいらない
- メルマガ送信時に同時にブログにアップ。
- 予約配信のときは、メルマガ配信と同時にブログにアップするようにする
- メルマガ冒頭のヘッダ、末尾の奥付・フッタは、ブログに載せる・載せないをそれぞれ選べるようにする
- 発行部数などを自動的に挿入する機能があると面白い
- ブログはもちろんPINGを飛ばし、RSSを配信する
- メルマガだけ告知してブログには載せない、逆にブログだけに投稿してメルマガ発行はしない、という選択も可能
- ブログではトラックバックやコメントを受け付けたり、受け付けなかったりできる
- ブログのデザインテンプレートは、本文部分は等幅表示になるようにしておく
おおよそこういった機能がそろっていれば、一度の手間でブログとメルマガが更新でき、しかも必要な手を加えることができるのである。そういう意味で、melma!blogはかなり理想に近いサービスだったわけだが、これが消えてしまう(あるいは成功しなかった)のは、日本のインターネットの歴史の上においても大きな損失となるように思う。
■ネット上の資源を勝手に消さないでほしい
最後に、melma!blogはサービス停止とともに全データを消去するという。これは困る。せめて作者自身が「放置」を選べるようにしてほしい。新規記事作成は不可でもいいから、過去記事だけは残しておいてもらいたい。
ネット上でデータを消去するということは、そこへのリンクがすべて無意味になるということである。多くの人が作成して蓄積した有益なデータ(や無益なデータ)にアクセスできなくするということである。
サイトを「閉鎖」するときでも、そのデータが残っているとまずい場合を除いて、できるだけデータはネット上に「放置」しておいてほしいと思っている自分としては、今回のmelma!blog閉鎖に伴うデータ消去はきわめて残念なことだと思う。せめて、こちらへ移転しましたという告知だけでもできるようにすべきではないだろうか。今後の更新はアメブロで、というのは別にかまわない。しかし、旧データはそのまま残し、更新は新しい場所で、という誘導さえできないのは、本当に困った話である。
(余談だが、ブログを引っ越す場合は、可能ならば旧サイトには全記事を残すべきだ。あるいは、全記事を書き直して、それぞれ対応するページへのリンクを入れる。これまでにGoogleなどの検索に載るようになったページを削除してしまうのはもったいないし、他のサイトからリンクされていた場合のリンク切れを防ぐという意味もある。旧サイトの内容を全部新しいサイトに「移動」ではなく「コピー」しておいてもいい。ミラーサイト的に使えるのだから。その場合も、トップページに「最新記事はこちらで更新中」としておけば問題はない)
そういうわけで、今回のmelma!blogの終了は、何重もの意味で残念なことだと思う。
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(旧: )
melma blogの件、面白く読ませていただきましたが、分析が少々違うような気がします。
私はmelmaを利用しているメルマガ作家(死語?)です。
今やmelmaのメルマガ発行機能よりも、blogの投稿機能の方が圧倒的に使いやすいですし、ほとんどのメルマガ作家にとって情報を発信するだけならばメルマガでもblogでも、どちらでも良いはずです。
それでもblogに移行しない最大の理由は「炎上防止」です。
バックナンバーを非公開にすればさらに予防効果UP。
現在、メルマガの価値はこちらであって、プッシュ型メディアであることに魅力を感じているメルマガ作家なんて少数派ではないでしょうか。
melma blogの失敗は、「わざわざblogに移行しなかったメルマガ作家への洞察が欠けていた」事ではないでしょうか。
実際、melma blogのサービスが始まって、勝手にblogが作成されたときは困惑し、まぐまぐに乗り換えようかと考えたほどです。
多いか少ないかという論争は統計を取ったわけではないので言及しませんが、単に炎上防止のためだけにメルマガを使うのだとしたら、メルマガのメディア特性を生かし切っていないように思います。
この記事は「どちらかを選ぶ」という人ではなく、メルマガとブログのそれぞれの価値を生かし、両方を連動させて活用しようという発想が生かされなかったということを述べていますので、その点を理解していただければと思います。
はじめまして。
本筋とはずれますが、「ネット上の資源を勝手に消さないでほしい」のくだり、多いに共感致します。とくに被リンクが多くページランクの高かったサイトが閉鎖し、その後出会い系や違法アダルトサイトがドメインを取得してしまう(これ自体違法ではないですが)、という現状を見ると、ASP側などで何かしらの対策をして欲しくも思います。
TBに失敗して何度か送ったら一気に表示されました。すみません。