アメリカでの変な改名事例集
数日前の報道だが、奇抜な名前を付けられたNZの少女、裁判所が改名認める - Ameba News [アメーバニュース]というニュースがあった。
「タルラはハワイのフラをする(Talula Does the Hula from Hawaii)」と名付けられた少女の改名が認められたという。日本でも最近は赤ちゃんにかなり変わった名前を付けることが多いようだが、アメリカで変な名前に自分で改名しようとする例がまとめられていた。
■Talula Does the Hula From Hawaii(タルラはハワイのフラをする)その他、裁判所で禁じられるほど珍妙な名前。
By Eugene Volokh(ユージーン・ヴォロク)
Wednesday, July 30, 2008, at 7:13 AM ET
誰でも趣味が必要だ。わたしの趣味は、変な名前の改名事件収集だ。はじめて引っかかったのは15年前、マイケル・ハーバート・デングラーが自分の名前を「1069」に変えたいと望んだときだ。「わたしのアイデンティティを表現できる唯一の方法が1069なんです」と主張した。それも2回。最高裁判所に。それぞれの桁には細かい理論があった。たとえば「第3の文字6は、この人生を通してわたしの空間的に占有する空間についての理解において、わたしが宇宙との間に持っている関係と等しい」という。これはウォッチすべき法律分野だと思った。
そして先週、タルラ・ダズ・ザ・フラ・フロム・ハワイという9歳のニュージーランドの女の子のニュースがあった。ニュージーランド家庭裁判所では、この名前を児童虐待の一形態とみなしたようである――少女はこの名前について「バカにされたり、からかわれたりすることを恐れている」と訴えた――そして、「この子に適切な名前がつけられるよう保証する」ために、法的保護が認められた。
これが世界的な法律に関する重要問題であるとはっきりしたので、法律学的な短い文章を公開したい。「1069」や、「フラをするタルラ」になりたい人たちよ、ここに判例がある。
■1. 「1069」
うまくいかない。ノースダコタ最高裁判所(1976)とミネソタ最高裁判所(1979)はどちらも述べている。「名前は数であってはならない」。[Petition of Dengler, 246 N.W.2d 758 (N.D. 1976); Application of Dengler, 287 N.W.2d 637 (Minn. 1979).]
■2 「III」(スリーと発音される)
同じ理由で、1984年にカリフォルニア控訴院はThomas Boyd Ritchie III(トーマス・ボイド・リッチー三世)にノーと言った。補足として、問題はIIIが単に数字であるからというのではなく、むしろ記号であるということにある、と述べている。このような微妙な区別は、法律らしいところである。[In re Ritchie, 159 Cal. App. 3d 1070 (1984).]
■3 「Mary R」
Mary Ravitch(メアリー・ラヴィッチ)が前夫の姓を使いたくないが旧姓(Gon)にも戻りたくないという請願に対し、2000年のペンシルヴェニア上級裁判所で「だめ」と決定された。「上訴人の希望している姓は、ビジネスにおいても社会状況においても、何度も聞き返されて信用されないという目に何度も遭うことだろう」 [In re Ravitch, 754 A.2d 1287 (Pa. Super. 2000).]
■4 「Misteri Nigger」(二番目のiは発音せず、ミスター・ニガー)
1992年カリフォルニア控訴院で「だめ」と言われた。これは「挑戦的な言葉」でできているからである。「上訴人に名前を尋ねて、『ミスター・ニガー』だと聞けば、訊いた人は上訴人が自分に「ニガーの旦那」と呼び掛けているように思うかもしれない。さらに、この通り名を聞いた人は子供も含めて当惑したり、ショックを受けたり、言葉を聞いただけで腹を立てるかもしれない。この例は、名前の使用が暴力の可能性と区別がつかないかもしれないということを示している」 たしかに、トラブルを求めているようにも聞こえる。元の名前「ラッセル・ローレンス・リー」のほうがずっと安全だ。[Lee v. Superior Court, 9 Cal. App. 4th 510 (1992).]
■5 「Santa Claus」(サンタクロース)
判断は分かれた。2000年のオハイオ裁判所ではRobert William Handley(ロバート・ウィリアム・ハンドリー)をSanta Robert Clause(サンタ・ロバート・クラウス)に改名したいという訴えを拒否した。なぜなら、
請願者は単なる名前の変更を求めているだけではなく、全世界で百年以上にわたってこの文化が認知してきた特定の人物のアイデンティティーを求めているからである。それゆえ、サンタクロースのアイデンティティについて、その名前と人格ともに、公衆が適切な利益と適切な権利を有している。サンタクロースは我々の文化における肖像である。何百万という子供たち、大人たちの心に存在している。
サンタクロース――北極、エルフ、クラウス夫人、トナカイ――の歴史は、何世代にもわたって受け継がれてきた宝物である。そして、請願者はサンタクロースの名前を手に入れるだけではなく、サンタクロースのアイデンティティについても手に入れようとしている。毎年何千人もの人たちがクリスマス前後にサンタクロースのアイデンティティを持つようになるとはいえ、裁判所は、このコミュニティの子供たち、特に請願者の生活する地域の子供たちにとって、出願者の改名請願を承認することは、非常に紛らわしいと考える。
しかし、2001年のユタ最高裁判所は、David Lynn Porter(デイビッド・リン・ポーター)を単なるSanta Claus(サンタクロース)に改名させ、子供たちについては気にしなかった。「ポーターの提案した名前は、賢明でないと思う人がいるかもしれない。また、結果として、仕事や日々の日常生活を送ることが非常に難しくなるかもしれない。しかし、ポーターは、非常に限られた範囲で知られている名前を選ぶ権利がある」 [In re Handley, 736 N.E.2d 125 (Ohio Prob. Ct. 2000); In re Porter, 31 P.3d 519 (Utah 2001).]
■6 姓なしの「Koriander」(コリアンダー)
Rosa Linda Ferner(ローザ・リンダ・ファーナー)の「職人としての彼女の仕事にふさわしく聞こえる名前への好み」によって選ばれた名前。差し支えない、と1996年ニュージャージーの裁判所で裁決。[In re Application of Rosa Linda Ferner to Assume the Name Koriander, 685 A.2d 78 (N.J. Super. L. 1996).]
■7 姓なしの「They」(ゼイ、彼ら)
旧名Andrew Wilson(アンドリュー・ウィルソン)という発明者による請願に、ミズーリの裁判官はOKと言った。They氏は理論的根拠をこのように説明した。「『Theyがこれを行う』すなわち『Theyはそれに責任がある』。誰もが語るこの『they』とは誰か? 『They』はこのように大事を達成する。誰かが責任を取らねばならない」
■8 「Darren QX(Lloydと発音) Bean!」(ダレン・QX(ロイド)・ビーン!)
問題ない!と2006年にカリフォルニアの法廷で認められた。[Darren Lloyd Bean v. Superior Court, 2006 WL [pronounced 'Westlaw'] 3425000 (Cal. App.).] 「ビーン!」はこのように報告された。「親しい友人たちの多くは、彼を『ビーン!』と呼んでいる。その名前を呼ぶとき、友人たちは普通のトーンではなく、音程と音量を上げる」
法廷はこれについて特に意見を述べなかった。なぜなら「この情報は上訴の記録に含まれない」からである。しかし、法廷はこう論じた。もし「O'Rourke!」が可能であれば、「Bean!」も可能である。法廷はさらにこう述べている。
少なくとも3人が、自分の名前を、「.com」のついたウェブサイト名に変更した。バージニア州の動物保護活動家Karin Robertson(カリン・ロバートソン)は、雇用者である「動物の倫理的扱いを求める人々の会(People for the Ethical Treatment of Animals)」のウェブサイトへの注意を引くため、2003年、合法的に「GoVeg.com」に改名した。同会の他の活動家たちも、個人名を「.com」を含むウェブサイト名に変更した。たとえば、「Kentucky fried cruelty.com(ケンタッキー・フライド・残酷.com)」、「Ringling beats animals.com」などである。単語の中のピリオド、語の間のハイフン、一語の中のアポストロフィ、語の最後の感嘆符には法的な差異は認められない。
ユージーン・ヴォロクはUCLAロースクールの法学教授、Volokh Conspiracyブログの共同創設者。
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