下北沢洋食屋マックが33年の歴史に終止符

下北沢で33年にわたって営業を続けてきた洋食屋マックが、急遽閉店することになったという。そこで、下北沢で親しまれ続けてきた洋食屋さんの最後の味を記憶しに行ってきた。

わたしは8月17日に「マック閉店」の貼り紙を見つけた。そこでは、33年の営業が突然終了することとなったことが告げられていた。ところが、その貼り紙に閉店を惜しむ声が書き込まれる。そこで5日間限定で最後の営業をすることになったようだ。26日火曜日までの限定営業(10:00~17:00限定、ただし売り切れ次第終了)ということで、名残を惜しむために行ってきた。

2008年8月24日19:59| 記事内容分類:地理・地誌| by 松永英明
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下北沢駅南口の洋食屋マック

洋食屋マックの場所をグーグル・マップで示す。下北沢駅南口から出て、駅前のマクドナルド(まぎらわしいのでマクドと呼ぶこと)の横をそのまま南に行ってすぐのところにある。電気屋さんの隣、miniminiとHISの入っているビルの地下だ。

グーグル・ストリートビューで見るとこんな感じ。


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突然の閉店告知

わたしがマック閉店を知ったのは、店頭の貼り紙であった。見たのは8月17日夜。

下北沢洋食店マック店主

このたび、マック閉店とさせて頂きます。三十三年の営業を突然閉店することを皆々様には申し訳なく思っております。長い間御来店頂きまして本当にありがとうございました。

この貼り紙の隙間には、閉店が残念だという声、できれば再開してほしいというような要望が書き込まれていた。33年にわたって親しまれてきた店が、前置きもなく突然閉店になるというのは、やはり驚きと寂しさを呼び起こすものである。

書き込みからすると店主の体調などが理由のようだが、細かいことを詮索するのは野暮というものだろう。店主さんや従業員さんにとっても、閉店が望ましいわけではあるまい。

特別営業の告知

21日の夜にマックの前を通ると、貼り紙が変わっていた。

ありがとうございます。マック店主

皆様のインターネットや閉店告知の紙などに対しての書き込みを読ませて頂きまして、心からありがたく嬉しく思います。

突然の閉店で申し訳ないことをしてしまったと、感謝を込めて、21日(木)から26日(火)までの6日間営業させて頂くことにしました。

「なぜ閉店?」と問わず、ただマックの味を楽しんで頂けましたら幸いです。よろしくお願い致します。

隣の貼り紙には、本日終了と書かれていた。時間は朝10時から夕方5時。これは行かねばなるまい。

というわけで行ける日に行ってみたら、行列だったのでくじけてしまった。再チャレンジである。

マックで食べてきた

24日日曜日、朝10時の開店に間に合うように店に向かう。それでもすでに行列ができていた。地下1階に降りる階段の途中に並ぶ。するとみるみるうちに行列が伸びて、店の前の道路まで行列が伸びていった。

洋食屋的なメニューが壁にかけられているが、「本日のメニュー」は特別版。「品切れごめんなさいのわがままお許しください」のコメントが泣ける。とにかく閉店前に最後の営業をしてもらえただけでもありがたい。

階段の途中で、マックのお客さんのメッセージノートをパラパラと読む。名残を惜しむメッセージがたくさん載っている。住所とかメールアドレスとか書いている人が多かったのでどういうことかと思ったら、もう一冊のノートに「連絡先を書いてくださったら、何らかの形でマックが再開するときにご連絡します」とのことだった。そこで連絡先を書いておいた。

マックの入り口から中を撮影。ちょっと古めかしい雰囲気だが、こういう洋食屋というのはなごむ。長年にわたって親しまれてきたのがよくわかる。下北沢に来る人たちの客層からいっても、こういう雰囲気は好まれてきたのだろう。

貼り紙からすると、店主の体調だとかクーラーの調子だとかが悪いようで、冷房もあまり効いていないそうだが、貼り紙にあったとおり「なぜ閉店?」とは詮索しないことにする。

そうして待つこと約30分、いよいよ店内へ。席数は、カウンター席含めて24席くらいなので必然的に合席になるが、誰もそれを気にしたりはしない。なにしろ、マックの閉店を惜しんで駆けつけた同志たちである。常連客もそうでない客も関係なく、ただ最後の味を味わいに来たという連帯感が生まれていた。写真を撮るお客さんも多かった。

後ろ姿を激写。この店でのこの姿ももう見られない。

今回注文したのは「ハンバーグ&しょうが焼き」。なかなかのボリュームだ。ご飯とお味噌汁が付いてくる。しょうが焼きは結構大きめだが、一気に食べてしまう。ハンバーグはジューシーさが極上。付け合わせのパスタも「洋食屋」らしくて非常によい。

これはうまい。

閉店が本当に惜しまれる。気取らないでおいしいものを食べたければ、こういうお店がいいのだ。

店員さんのおそろいTシャツの背中には「33年間まことにありがとうございました。下北洋食屋マック一同」と書かれていた。おつかれさまでした。また何らかの形で復活されることを期待しています。

11時ごろに店から出てくると、行列はさらに伸びていた。隣の電気屋さんを越えて、さらに不動産屋さんの前まで。もう少し行列は伸びていったようだ。

下北沢の変化

下北沢は小さな変化をし続けている街である。

小さな映画館のシネマアートン下北沢も6月に突如閉館となった。9月には丸井のアウトレットショップが閉店するらしい。小田急線の地下化工事も着々と進んでいる。駅前の再開発事業が進めば、北口の市場もなくなり、「スズナリ」のあたりに広い道路が通るらしい。

一方で、新しいビルも建設中だし、新しい店もできている。マックの並びにはケバブ屋も開店した。

変わらないものも当然あるけれども、少しずつ、少しずつ街は変わっていく。

関連リンク

のれん分けのお店・笹塚の洋食屋マック


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2008年8月24日19:59| 記事内容分類:地理・地誌| by 松永英明
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| コメント(4) タグ:ゲニウス・ロキ, 下北沢|
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コメント(4)

記事読ませてもらいました。
マックにはよくいったので寂しい限りです。さよなら営業時間帯にはいけないので、残念ですが、この記事と写真で行った気になれました。ありがとうございました。

洋食屋マックの閉店残念
1.魚フライにタルタルではなく、
  独特のトマト味のソース、
  ある意味「世界一だった」
2.残った、数軒先の、「キッチン南海」が
  あまり感心した味ではないので、
  マックの閉店が悔やまれる。

洋食屋マックの閉店残念
1.魚フライにタルタルではなく、
  独特のトマト味のソース、
  ある意味「世界一だった」
2.残った、数軒先の、「キッチン南海」が
  あまり感心した味ではないので、
  マックの閉店が悔やまれる。

帰京して行ってみたら張り紙が貼ってあったので呆然。同い年だったこともあって店員の人とも親しくしていただいていたので、本当に残念です。最後に食べられなかったのが痛恨の極み。ともあれ、詳細な情報をありがとうございました。

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