【「場所の記憶」「都市の歴史」で社会を読み解く――松永英明のゲニウス・ロキ探索】メルマガ創刊!
このたび、まぐまぐプレミアムにて、【「場所の記憶」「都市の歴史」で社会を読み解く――松永英明のゲニウス・ロキ探索】というタイトルの有料メールマガジンを創刊することとなりました。
購読料は月525円(税込)、月4回・毎週月曜日発行です。1通あたり130円ほどになりますが、毎週1回缶コーヒーのお値段で、興味深い読み物をお届けできればと思っています。
都市、街、村落――場所には「歴史」があり、それぞれに特有の「雰囲気」があります。社会学・人文地理学・建築学・都市計画・ランドスケープ・地理風水といった観点から、「ゲニウス・ロキ」(その場所のもつ雰囲気)を読み解いていきましょう。それは、ある出来事が「なぜその場所で起こったのか」を解読するきっかけになるかもしれません。建物、集落、街、都市、国レベルに至るまで、「土地」と結びついた情報を探索します。
■有料メルマガという媒体
今回、まぐまぐプレミアムの担当者の方と相談して、有料メールマガジンを発行することに決めた。
過去にメールマガジンを発行した経験はあるが、無料版であった。それも発行部数がそれほど多かったわけではない。大部数のメルマガとしては【サイバッチ!】創刊時に少し記事執筆などの協力をしたことがあるが、その後は特に関わっていない。
これまでの経験からすると、メルマガというのは自分にとっては少々難しいメディアだと思っていた。メールマガジンのメディア特性をまとめると、以下のとおりである。
- いわゆる「プッシュ型」の情報送信方法。ウェブページのようにいちいち見にいかなくても、発行者から読者のメールボックスに届けられる。存在を忘れられていても、発行者から情報を届けられるというのは大きなメリットである。
- ただし、最近は「開封率の低さ」という問題がある。特に無料メルマガの場合、スパムとごっちゃになったり、届いても読まれないという可能性が高い。開封率は数パーセント未満というデータもあるようだ。相手に直接届けられるのに、読まれないのでは意味がない。ただし、有料メルマガでは金を払っているのだからちゃんと読まれる傾向がある。また、携帯メールは極めて開封率が高く、ターゲットが絞り込まれていれば反応もよいという傾向がある。(ただし、今回のまぐまぐプレミアムはPC専用)
- メルマガ運営上は、「継続」が最大の問題。特にメルマガではテーマを明確にする必要があるが、テーマの範囲が狭いと、数号分を書いたあたりでネタ切れになる可能性がある。常に2か月分くらいのネタストックがある状態でないと続けにくい。ブログその他ウェブページであれば、一度公開していれば放置していても読んでもらえるが、メルマガは休止すると読者が減る。休止したメルマガは、読者にとっては存在しないも同然となってしまう。
- メルマガのバックナンバーの「蓄積」はひじょうに有意義。コンスタントに書かれたものは有用なデータベースとなりえる。
- メルマガにはいくつかの内容形式が考えられる。
- ニュース、速報系。何かが起こったらすぐに伝えてくれるという形式は、メルマガという媒体特性と親和性が高い。
- 講座系。語学、投資などについて、継続して少しずつ学ぶには、メルマガで常に配信されると効果的である。
- 告知系。お店の宣伝など、自分の売っているものに対して興味を持っている人たちに購買意欲のわく商品情報を伝え続けるのは、マーケティングの基本といえる。
- 読み物・雑学系。話のネタになる小ネタが継続して届けられるというのもメルマガに合っている。
わたしの場合、テーマ設定と「継続」において難しさを感じていた。また、「登録されても開封率が低いから読まれないだろ」と考え、無料メルマガに手を出そうとは思っていなかった。読んでももらえないものを一生懸命書き続けるというのは、労力に比して効果が低すぎる。と考えると、モチベーションが下がる話である。それなら、ブログだけでも手一杯だ。
しかし、まぐまぐプレミアム担当者の方と話して、有料版メルマガに進出してみようかと考えた。
■有料版メルマガはリスクが低い
有料版の場合、読者はお金を払って読んでくださるわけである。お金をかけているのだから、それは他のメルマガやスパムなどとは区別してきちんと読んでもらえるだろう。きちんとしたデータは見ていないが、有料版の方が無料メルマガよりも開封率が高いだろうということは容易に想像がつく。
また、「まぐまぐプレミアム」の場合は、発行するにあたって(少なくとも金銭的な)負担が発生しない。毎月の維持費や初期負担がない。もし読者数ゼロだとしても、金銭的にマイナスになることはない。売れた場合のみ、売れた分に対して6割の収入が入るのである(まぐまぐの場合、4割の手数料が運営側にとられるのは高いと感じる人もいるかもしれないが、リスクが低いという点と比較考量すると、わたしは高いとは思わなかった)。初期投資だとか、運営コストがかからないという意味では、やるだけやってみても損はないと思った。売れなくてもゼロ、売れればプラスなのである。
もちろん、書くための労力だとか、調査のための費用など、よいものを発行するための「負担」は存在するが、その辺のコストは売り上げに応じて考えていけばいいだろう。逆に、自分の書きたいテーマについてストックを蓄積しているのだと考えれば、それくらいの負荷は問題ない。
インターネット上のものに対してお金を払うという点については、2000年ごろを境にして、だんだん抵抗感が弱まってきたと思う。前世紀は「ネットにあるものはタダ」という発想が主流だったが、アマゾンなどのネットショップで買い物することがだんだん定着するにつれて、ネット上で対価を払うことについて抵抗感が弱まってきたのは事実だと思う。2003~2004年ごろになると、アフィリエイトが認知されるようになった。また、無料レンタルサーバーではなく、格安レンタルサーバーを使って格安独自ドメインで運営することも広まっていった。
一部には他人が儲けることを嫌う「嫌儲」的傾向もネットには少し残っているが、全体的にみれば、ネットで対価を求めること、あるいはネットに支払うことについて、抵抗感が弱まってきているように思う。
メルマガというのは一昔前のメディアのように感じられることもあるが、特に有料メルマガはこれから注目されるメディアとなると思う。
■有料メルマガの価格を考える
有料メルマガというのは、「情報」そのものを販売しているわけである。「商品」(についての情報)を伝えるわけではない。たとえば、Amazonのお知らせメールは販売している商品の情報を伝えてくれるが、その情報自体に対価を払っているわけではない。しかし、有料メルマガは情報自体が商品である。
情報を売ると言えば、最近は悪名高い「情報商材」というものがある。長い長いセールスレターで、この情報には極めて価値があるものだと思わせ、それを格安で――といって数万円から数千円という高額で販売する。もちろん、情報というのは固定された価値の決まっているものではないから、売り手と買い手が合意できればいくらで売ったっていいわけだが、わたしにとって、一冊数万円の情報商材というのは高すぎると感じる。一般の書籍として千数百円といったレベルの価格の本を書いている自分としては、情報商材の価値観は受け入れられない。
このへんの話は、「情報商材の文化がわかる!たった1ページの記述で情報商材界の思考がガッツリわかる簡単な方法のまとめ![絵文録ことのは]2006/11/26」を参照のこと。
だから、情報商材レベルの価格設定はしたくないと考えた。もちろん、何百万、何千万円儲かるとかいうレベルの話であれば、講習料やアフターケアを含んで高額の情報商材やメルマガという考え方もあるだろうが、そもそも自分のメルマガで何か儲かるようになるわけでもないから、そういうところへは行きたくないと考えた。
では幾らぐらいの価格が妥当か。自分がそれだけの情報対価を支払ってもよいと考える価格帯はどのあたりか。
参考に考えたのは、携帯サイトの登録料である。月315円~525円あたりの情報料をとっているところが多い。これくらいの価格設定であれば、わたしもそれに見合った情報提供は可能だと考えた。月525円で月4回であるから、一通あたり約130円。自販機でコーヒーやジュース一杯分の価格である。週一回、それくらいの価値があると思っていただける情報ならお届けできるだろう。逆に、わたしの収入は登録者一人あたり月315円。部数が読めない現時点では、とりあえず数十部くらいの登録があったとしても、このくらいの収入があるとなればモチベーションは上がる(安い奴だなとはいわないでほしい)。
わたしはネット乞食になるつもりはない。カンパしてください、寄付してください、などと読者に乞うつもりはない。きちんとした商売と同じく、提供したサービスに見合った対価をいただくというのでなければ、自分自身が納得できない。いただいた対価に見合ったサービスを提供できないのであれば、潔くやめるべきだとも思っている。そういう自分にとって、現時点で「月525円」という価格は、納得できる数字だった。
もしこれで部数が増えたら、価格はそのままで発行回数を増やすといったことが可能になると思う。そうなったら万々歳である。
なお、まぐまぐプレミアムの担当者の方からは、有料メルマガだけで食っていける(どころかオゼゼが儲かってワッシワッシレベルの)人もいるというデータを見せていただいたが、とりあえずその辺は聞き流している。取らぬ狸の皮算用はしないつもりだ。
なお、「まぐまぐプレミアム」では、発行者は、登録者のメールアドレスを確認できない。つまり、誰が読んでいるかという個人情報は一切発行者に伝わらない。顧客のリストを手にできないことは一般的にはデメリットとされるが、読者の方にプライバシーに関しては安心して読んでいただけるという意味では、メリットともなりえると考えている。
言い換えれば、このメルマガでわたしが個人情報を収集することは不可能なので、その点は安心してお読みいただければと思う。
■テーマについて
まぐまぐプレミアムを見ると、人気のあるメルマガのジャンルとしては、「心理学」「FX」「語学」「恋愛」「ビジネス」などのジャンルが目立つ。
しかし、いずれもわたしの得意分野ではない。まぐまぐプレミアムの担当者の方からも、いままでのジャンルにこだわらず、新しい分野を開拓してもらえるとうれしいというような話だったので、自分のテリトリーで、逆に既存の情報のないところ(いわゆるニッチ分野)を攻めることにした。
もう一つ考えたのは客層である。クレジットカード決済が多いこと、PCメール限定であることからある程度予想はできたが、男性ビジネスマンが多いようである。これがケータイであれば10~20代の女性向けの話題を考えるところであるが(どちらかといえば、持ちネタはこちらの方が多い)、客層的にもう少しお堅い方がいいだろうと考えた。
そこで選んだのが、今回のテーマである。【「場所の記憶」「都市の歴史」で社会を読み解く――松永英明のゲニウス・ロキ探索】。
都市、街、村落――場所には「歴史」があり、それぞれに特有の「雰囲気」があります。社会学・人文地理学・建築学・都市計画・ランドスケープ・地理風水といった観点から、「ゲニウス・ロキ」(その場所のもつ雰囲気)を読み解いていきましょう。それは、ある出来事が「なぜその場所で起こったのか」を解読するきっかけになるかもしれません。建物、集落、街、都市、国レベルに至るまで、「土地」と結びついた情報を探索します。
わたしは「場所」や「土地」の歴史、都市計画、ランドスケープ等々に多大な興味を抱いている。最近のブログでいえば、
などはその興味の一部に含まれる。もう少し範囲を広くすれば、「考現学」なども含まれるだろう。
ゲニウス・ロキという言葉については、「ゲニウス・ロキ - 閾ペディアことのは」を参照していただきたい。
わたしは町歩きも好きである。実際に歩いて感じたことから分析していくことも多くなるだろうと思う。
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