日食を曇天の下北沢で撮影できた
2009年7月22日は皆既日食である。残念ながら今回は皆既日食エリアに行くことはできなかったが、仕事の休みにあたったので部分日食を楽しみにしていた。ところが、あいにくの曇天である。
東京で曇天、しかも準備不足だったのだが、一瞬だけ雲の状態が最適になり、奇跡的に一枚だけ撮影することができた。
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日本気象協会の皆既日食ページによれば、東京の日食は以下のとおりである。
- 最大食分 0.749(つまり、約4分の3が欠けることになる)
- 食の始め 9時55分33秒
- 食の最大 11時12分58秒
- 食の終り 12時30分20秒
先日、下北沢のTHE STUDY ROOM(ザ・スタディールーム)に立ち寄ったとき、太陽観察グラスなどを売っていたので、今日も日食前に行ってみようと思った。ちなみにスタディールームは理科や科学系のおもちゃや観察キットや教育玩具などがそろっているので非常に楽しいところである。いろいろと日食に合わせて商品展開をしているだろうと思ったのだ。
ところが、下北沢の駅についた時点で、かなり重い曇天である。日食がなくても薄暗い感じだ。結局、スタディールームに行く気力が失せてしまった。とりあえず食の最大の時間に外に出ていたいと思ったので、南口あたりをぶらぶらと歩くことにする。
食の最大の時間になったが、曇天のため、あまり違いは感じられない。ちょっと気温が下がってきたかなという雰囲気もあるが、事前に「日食のときには気温が下がる」という情報が頭に入っていたのと、この曇天でそういう思いこみが生まれただけかもしれない。
南口商店街のアンゼリカ(パン屋)の前で、タンクローリーが道路にはまっていた。太陽ではなく道路を欠けさせてどうする。まあ、人身事故ではなかったようなのが不幸中の幸い。
さらに歩くと、リリー・フランキーの「下北沢に大きな道路は作らないで!!」のポスターがあった。
ル・コルビュジエ型の高層ビルによる都市再開発計画が流行っているが、はっきりいって私はその流れに疑問を感じる。特に下北沢のようなごちゃごちゃしたところが魅力となっている街に、車を引き込む大きな道路を引っ張ってくるのは、この風情を壊すことにしかならないと思う。人が徒歩で回遊できる街を守るべきだろう。
そういうわけなので、先日の東京都議選でも、下北沢再開発に対して反対の意見を述べている候補に投票した。はっきり言うが、下北沢の補助54号線・区画街路10号線の計画を白紙撤回させるというのであれば、自民党だろうと公明党だろうと幸福実現党だろうと一票を投じてよいと思っている。実際には、自民・公明・民主いずれも下北沢破壊を進める政党であるし、高層ビルによる職住近接を公約に掲げる幸福実現党と下北沢は相容れないのである。
日食が撮影できた!
というわけでブラブラしていたら、上空を眺めている人たちに気付いた。見ると、雲が少し薄くなって、太陽が姿を見せている! あわててカメラをセットするが、もう今日は無理だと諦めていたので何の準備もできていない。フィルターも何もない状態でとにかくカメラを頭上に向ける。もちろん、そのまま覗くと危ないので、液晶画面で見ながらの撮影だ。
しかし、太陽が輝きすぎると全然うまく撮れない。フィルターの代わりになるものはないか、と探ってみたが、何もない。
しばらく粘っているうちに、素晴らしい奇跡が起こった。雲が絶妙な感じで太陽を覆ってくれたのだ。太陽を完全に隠すでもなく、それでいて太陽の光を遮る、天空の自然フィルターだ。その瞬間、なんとか一枚だけ写真を撮ることができた。
元データのEXIF情報によると、撮影時刻は2009年07月22日 11時29分。FinePix S9000にて、1/560、F8.0、231/20。
下から見上げた角度が微妙なので欠けている方向がちょっと変に見えるかもしれないが、そんなことは些細なことである。
東京で曇天、しかも準備不足だったにもかかわらず、自然の恵みによってマジカルタイムが現出し、それをとらえることができた。これだけ見られれば満足だ。
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