ミログ総選挙仕様を試してみた
学生ベンチャーの立ち上げたライフブログSNS「ミログ(milog)」の方から、「選挙特別仕様なので見てみて」というお誘いがあったので(本当はもっとかっちりした文面でした)、見に行ってみた。
使ってみた感想などをまとめておく。合わせて「日本の政治をおもしろくする会」についても記す。
■ミログ
つぶやき型ライフログSNS「ミログ」は、2009年3月から提供を開始しました。今後、世界で流行になるミニブログの日本発サービスです。ミログには自然言語処理機能、ログ機能などが備わっており、ユーザーの皆様の生活を解析することが出来ます。2010年秋頃までに10万ユーザーの獲得が見込まれます。
ミニブログというのは要するにTwitterのようなものを指す一般名詞なのだが(商標ホッチキスと一般名詞ステープラーみたいな関係か)、ざっくりと理解するとツイッター+SNS=ミログということになるようだ。実際にミログの「つぶやき」機能については「日本版Twitter」として説明されている。
SNSの側から言えば、mixiの「エコー」(つぶやき)機能をメインに据えたSNSということにもなりそうである。
利用はケータイのみに限定しているのも特徴的だ。ケータイユーザーにアピールする「ツブヤキおばけ」という育てモノがあるのもよいと思う。
また、「メーリス(メーリングリスト)が確実に届く」というのもウリになっている。確かに、SNSを利用する大きなメリットとして、「参加者との連絡がかなり確実に取れる」ということが挙げられる。メールだとスパム扱いまたは着信拒否の可能性があって、案外「確実な方法」とはいえない。
ただ、それだけならmixiやモバゲーを使えばよいということにもなりかねないのだが、中心軸はつぶやき(と、それによる友達づくり)、あとはメーリスとかブログリーダーとかテレビ番組表などの便利機能がついているだけというシンプルさが軽くてよいのかもしれない。テレビ番組表もつぶやきを主体として構成されているのが楽しいと思う。
つぶやきと友達の交流。こういうわかりやすさは、ケータイユーザー向けといえる。デザインもケータイユーザー層にマッチしたものであり(=小飼弾氏には思い切り嫌われそうなデザイン。もちろん、ケータイユーザー向けにはこの方がよい)、完成度は高いと思った。
もっとも、ユーザーの側からはよく見えないのが「自然言語処理機能、ログ機能などが備わっており、ユーザーの皆様の生活を解析」するという要素である。(特にケータイユーザー層をターゲットとした)マーケティング調査のためのプラットフォームとして有益なものとなりそうな気はするのだが、その解析結果がユーザーに反映されるのか、あるいはどの程度信頼できるデータとして収集できるのかについては、これからといったところだろうか。
この手のサービスが生き残るためにはユーザー数の確保と、運営に必要な収益源づくりが必須になってくると思うが、今回の「総選挙×ミログ」のようなイベントによるユーザー開拓は有益だと思う。
■総選挙×ミログ
そして、本題の「総選挙×ミログ」である。選挙についての「つぶやき」を収集し、GPS機能と連動して「どこにいる人が」「自民・民主・その他のどちらを支持するか」「何を思っているか」をつぶやけるようになっている。場所情報と支持率が一目でわかるシステムとしては非常におもしろい。
ただし、現時点で自民・民主がほぼ伯仲しているのは、報道されている支持率とかなり開きがあるので(報道されているとおりだとしたら、民主が圧倒的なはずである)、ミログ登録者に偏りがあるのか、あるいはミログに登録するようなケータイユーザー層で自民支持率が高いのか、と考えざるをえない。
また、わかりやすさの点から「麻生自民」vs「鳩山民主」の二項対決となっているのは、まあやむを得ない点はあるとしても、「その他」も見えるようになっているとよかったと思う(私は民主支持というわけではない。とりあえず「下北沢再開発計画(特に計画道路)の見直し」と「大きな政府」の支持者であり、「新自由主義(ネオリベ)」嫌いというのが私の考えである。それは必ずしも民主党の政策と一致するわけではない)。
私のケータイで唯一致命的だったのが、GPS機能がついていないということだ(Docomo P-04A。smartシリーズなのでGPSがついていない)。なので、場所が表示されない。しかし、もう少し広範囲にはなるが現在地情報は取得可能なはずなので、そのあたりは今後の機能改善を期待したい(むしろ、逆にGPSの精密な位置情報を送信したくないというニーズもあると思われる)。
■日本の政治をおもしろくする会
ミログは今回、「日本の政治をおもしろくする会」と連携しているようだ。
【衆院選】選挙を盛り上げる学生ら続々 - MSN産経ニュース
東大と東工大の学生2人が4月に立ち上げたベンチャー企業「ミログ」は今月14日、ウェブサービス「milog」を発表。携帯電話から140文字程度のテキストと写真を投稿し、仲間同士で共有することができる。
ミログは若手起業家や学生らでつくる団体「日本の政治をおもしろくする会」(東京都港区西麻布、林尚弘代表)と連携し、23日にはこのサービスを選挙仕様に変え、利用者のムードを盛り上げる。さらに30日午後7時半から、渋谷区道玄坂の飲食店で、テレビの開票速報を見ながら政治について語り合うイベントを開催する。林代表は「投票する人は高齢者層が多いため高齢者の意見が政策に反映されやすい。このままでは若者が住みにくい世の中になってしまいそう」と話す。
(中略) こうした動きについて政治評論家の拓殖大・丹羽文生助教は「若者が世の中を変えようと立ち上がったことは評価したい。ただ、特定の政党の別動部隊となっている団体もあるので注意が必要だ」と話している。
日本の政治をおもしろくする会のブログも見てみた。
日本の政治をおもしろくする会、略して日政会は、会のメンバーから国会議員や地方議員を次々と輩出することによって、若者世代(10代〜30代)の声を政治に届け、この日本をおもしろくしてしまおうという会です。
「若者世代の利益のための政党」というのは、あってもよいと思う。たとえば、介護や福祉についても、介護「する側」、老人を「支える側」の立場からの意見が取り上げられてもよいだろう。少なくとも、少々うさんくさい印象もある「市民」や「生活者」といったキーワードよりはずっと共感する。それが「大人との対抗」ではなく、「みんな通ってきた若者時代の声」として伝えられるなら、全世代にアピールすることも可能なはずだ。
ただ、ページの内容を見てみたが、この会は少々「ヌルい」。「若者の声」で政治を「おもしろくする」というのだが、具体的にどのような考えに基づき、どのような理念を持ち、どのような政策を打ち出すのか、ということがわからない。それなのに「メンバーから100人の議員を!」と言われても困ってしまう。
ブログの内容も、浅い。変わればいいな、おもしろくなればいいな、という動機はいいと思うのだが、それだけなら学生サークルのノリでしかない。じっくりと考えた上での記述というよりは、「政治をおもしろくしたい」という気分だけが先行しているように思われる。大学の教養学部のレポートレベルでは困る。「おもしろい」とは、どのような状態を指すのかもわからない。
まだ「頭でっかちの大学生が理論バリバリで考えた意見を熱く語る」というのなら、「アオいなぁ」とほほえましく思いつつも話ができるのだが、「みんな政治に興味を持とうよ」と呼びかけているだけでは、政治の何がどうおもしろいのかまったく伝わってこない。
何が争点で何が問題なのかを「わかりやすく」という要素が必要ではないだろうか。
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