「カラー版キンドルはすぐには出ない」「キンドルストアとデバイスは別ビジネス」ベゾス氏発言 #kindlejp
アマゾンの年次株主総会に関する英文報告ブログによると、アマゾン創設者・CEOのジェフ・ベゾスが「キンドル(Kindle)は読むことに集中」「カラー版キンドルは近日中にはない」「キンドルのデバイスとキンドル本は別のビジネス」などの見解を明らかにしたという。
多機能をうたうiPadに対して、ひたすら読むための機器を目指すという方針は、キンドル派の私にとっては非常に嬉しいことである(同様の意味で、ひたすら書くための機能に集中しているポメラも好きだ)。カラーeInkは実用にはまだ遠いようだが、中途半端な状態では出さないという姿勢も好ましく思える。
以下、当該ブログの全文を翻訳してみた。
キンドルは読むことに集中する。カラー版キンドルは遠い:ジェフ・ベゾス
- 2010年5月25日 by switch11
(※以下、すべてKindle will focus on reading, color Kindle far away - Jeff Bezos « Kindle Review - Kindle 3 Review, iPad Reviewブログを翻訳した内容である)
アマゾンの年次株主総会では、多くのよいニュースといくつかの悪いニュースがあった。キンドル関連事項については驚くほど多くのことが論じられた。
キンドルは読むことに集中
アマゾンが、キンドルの焦点を読むことに集中させていて、そこから外そうとはしていない、というのはよいニュースだ。以下、Electronistaより。
「キンドルは非常に焦点を合わせた製品とすることによって、iPadのようなLCDデバイスと競争する。まじめな読者は、目的にかなったデバイスをほしがっている。それが自分たちにとって重要な活動だからだ」と説明した。
ベゾス氏は、iPadをコピーすることには何の興味もないという。
氏は「キンドルはe-reading(電子読書)だと強調していく」と強く述べた。そして、その役割を、専用のカメラとケータイカメラにたとえた。電話は多目的であるが、最良のカメラではないだろう。iPadは最良の読書機器とはならないだろう、とベゾスは言う。
これは驚くことである。キンドルが最も必要としないことは、読書と関係しない機能を追加することだ。
カラー版キンドルは近日中にはない
ベゾス氏は、カラー版キンドルがすぐにでも出るという考え方を切り捨てた。以下、AP通信より。
アマゾン創設者・CEOであるジェフ・ベゾスは、キンドルの「電子インク(eInk)」ディスプレイにカラーを加えるのは、技術的に難しい挑戦であり、カラースクリーンは「解決にはまだほど遠い」と述べた。自身が「研究所内」で見たものは、「まだゴールデンアワー製品としての準備が整っていない」と述べた。
クアルコム(Qualcomm)社のMirasoディスプレイ(※蝶の羽の原理を利用したカラーeInkシステム)のチームは何と言うだろうか。
ベゾス氏は、カラーLCDは読書デバイスとして適していないとも述べている。以下、TechFlashより。
ベゾスは、LCDディスプレイ(iPadなど、現在多くのデバイスで一般的)は、キンドルのような長時間の読書向けのデバイスには合っていないと述べた。LCDディスプレイは眼精疲労を引き起こし、バッテリー持続時間も短く、明るい日光のもとでは役に立たない、という。
キンドル・フォーラムでこのニュースに対するコメントは、カラー版にはかなり無関心であったように思われる。
- S. Lockhart: 自分にとっては、素晴らしい。
- M. Francis: 同意。
- Pamela: カラー版なんて期待したことない。
- country road: 色なんてまったく気にしない!
- Merkin Muffley: カラーなんていらない。
まあ、色がなくてもキンドルの出荷は止まらなかったし、カラー版eInkの準備が整っていないならアマゾンもどうこうできないわけだ。もっとも、カラーがほしい人はキンドルを買わないだろうし、アマゾンもそういう人を顧客にできなくなる、という考え方もあろう。しかし、技術が完全に磨かれるまで待つのは価値のあることだ。
アマゾンは、キンドル販売数を正確に明示はしない
だれも驚かないだろうが、アマゾンは、キンドルがどれだけの数販売されたかを正確に公表することについては、再び拒否した。
アマゾンCEOはキンドル販売数については明らかにしなかった。過去に「数百万」のキンドルが販売されたと述べるにとどまった。また、キンドル本は今や多数のデバイスで読むことができると述べた。
アマゾンはクラウドサービスが小売と同じくらい大きくなりえると考えている
これは少々驚きだ。
……ベゾスは、他の企業にウェブホスティング&データストレージサービスを販売するアマゾンウェブサービス(AWS)は、アマゾンの小売販売ビジネスと同等の大きな可能性を秘めている、と述べた。
このようなサービスのための全体的なマーケットは、「非常に非常に大きなエリア」であるが一般的には効率化されていない、という。
「非効率的になされているものがあるとき、それは機会を生み出す」とベゾスは述べる。
AP通信によれば、アマゾンの小売事業は第一四半期におよそ70億ドルの利益をもたらしたというが、ベゾス氏はクラウドサービスを非常に高く買っているということになる。
キンドルのデバイスとキンドル本は別のビジネス
"Kindle for iPad"(iPad用キンドル) と "Kindle for Android"(Android用キンドル)の追加は、このことを強調している。それがまた取り上げられたことは、よいほうのニュースだろう。
ベゾスは、二つのビジネス(デバイス・ビジネスとコンテンツ・ビジネス)としてのキンドルについて、過去に私が聞いたよりもずっと明快な言葉で語り、それぞれがそれぞれの長所において生き残るだろうと述べた。
ベゾスは言う。「キンドルブックストアとキンドルデバイスがある。キンドルデバイスは世界で最高のeReader(電子読書)専用機器として成功するだろう。キンドルブックストアは、最高のセレクション、最も安い価格、キンドルその他のデバイスで利用可能であることによって成功するだろう」
世界最高のeReader専用機器――確かにそれは正しい。
アマゾンは$9.99のために闘い続ける
おそらく、私が二番目に好きなニュース(一番は、キンドルが読書に焦点を当てるということ)は、これだ。
アマゾンは、最近、発行社の要望に応じて、キンドル電子書籍の価格を上昇させ始めた。しかし、アマゾンは今なお新刊電子書籍の価格としてもともとの$9.99という価格を中心にしている、とベゾスは述べる。
「この価格ポイントをプッシュし続けると思ってもらってよい。もし、購入者が高すぎると思ったら、安価なものへと流れていく」という。そして、アマゾンはすでにこの動きを見ている、と付け加えた。
こうしてエージェンシー・モデルの回避がうまくいっている。もし、高値をつけていて、わずか1.5か月でユーザーがもっと安価な書籍に「流れ」ていることがはっきりしたなら、発行者はすぐに$9.99ドルという価格に戻す以外の選択はなくなるだろう。
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