ウィキリークス・アサンジ氏の「強姦」容疑は「コンドームなしセックス」が口実
「英警察当局は7日、強姦(ごうかん)などの性犯罪容疑でスウェーデンから逮捕状が出ていた内部告発サイト「ウィキリークス」の創設者ジュリアン・アサンジ容疑者(39)を逮捕した」(時事ドットコム:アサンジ容疑者を逮捕=性犯罪の疑い、ウィキリークス創設者-英警察)と報じられている問題だが、アサンジ氏の「強姦」疑惑は、スウェーデン当局によって「性行為の後半にコンドームなしの状態があった」ことを「同意なしの性行為を強要した」というふうにこじつけたものである、ということがアサンジ側弁護士によって主張されている。
その原文を見つけたので全訳しておきたい。今回は大手メディアによって「弁護側はこのように主張している」という部分がほとんど報じられていないので、資料として提示するものである。わたし自身の主張は一切含まれていないし、事実関係も判断する立場にない。
一部では「スウェーデンではコンドームなしでセックスしたら強姦とみなす法律がある」というように誤解されているようだが、そんなことはない。スウェーデン当局が、「コンドームが破れた」あるいは「二度目の行為で着用しなかった」ということを根拠に「不同意の性行為」である=「強姦である」との主張のもと立件しようとしている、というのが弁護士の主張である。
#(追記)「コンドーム着用を拒否してセックスしたならふつうに強姦じゃん」というツイートがあったが、アサンジが「着用を拒否した」という事実は記されていないし、女性側からも主張されていない。一方で「Wikileaks創設者のアサンジ氏をレイプ告発した美女の正体はCIA関係者?」という記事もある。真偽は不明(かつこの記事で「スウェーデンではそういう法律がある」というのは誤り)だがハニートラップの可能性も疑われる。
#(わたしに対する人格攻撃が始まっているので否定するために追記)コンドームは避妊対策としては不完全で、性病対策としての意味が大きい。もちろん、一人の固定された相手に限定されない性行為を行なう場合につけないのは最低だというのは言わずもがなの大前提である(男の側から言っても、はらませる危険性と性病の危険性を考えればつけないのは「恐怖」)。その上で「アサンジの性行為の時点で非着用であること含め同意があったと考えられる」。行為中あるいは行為後に女性たちがアサンジに不満を述べたとか拒絶したのにやられたという事実は確認できない。ここポイント。
軽はずみなSEX その落とし子が減りますように
――川村かおり「39番目の夢」
なお、ウィキリークスについて思うことは改めてブログ記事化したいと考えている(ウィキリークスの英雄視も敵対視も危険だと考えている)。
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(旧: )
今回訳してみたのは二つの記事である。一つは "The Raw Story"という時事ニュースサイトの記事。もう一つは、その記事のもととなったアサンジ側弁護士のカトリン氏がオーストラリアの時事ニュースサイトに寄稿した記事である。
スウェーデンはアサンジをコンドームなしでセックスした容疑で捜査、と弁護士語る
by Daniel Tencer 2010年12月2日
* 検察官たちは「なりゆき任せで話を作っている」*
近頃、ジュリアン・アサンジの代理人を務めた弁護士が「ウィキリークス創設者に対するスウェーデンの性的暴行捜査は、二人のスウェーデン人女性とのセックス中にコンドームを使わなかったという主張に基づいている」と述べている。その弁護士は、オーストラリア、メルボルンのジェームズ・D・カトリン弁護士。12月2日に公開された記事において、「アサンジがコンドームを使わずにセックスした、と女性たちが訴えた二つの事件においてレイプの容疑で捜査したことにより、スウェーデンの司法制度は"世界の笑いぐさ"となることが避けられなくなった」と述べている。
カトリンは本サイト「Raw Story」に対して、「アサンジは10月に「ごく短期間のみ」しか自分のサービスを維持しなかったが詳細については語っていなかったこと、、また原告はどちらも、犯行として申し立てられた事件の後も「それぞれの口説きを自慢していた」と述べている。「スウェーデン人たちはなりゆき任せで話を作っている」とも書いている。
カトリンの主張は、スウェーデンによるアサンジ捜査が政治的な動機によるものであるという見方に火を注ぐ可能性が高い。
カトリンはこのように書いている。
どうやら、コンドームを使わずにスウェーデンで合意の上のセックスをすることは、強姦罪として最低2年の懲役に値することになる。これがウィキリークスの看板であるジュリアン・アサンジに対して再びかけられた「強姦」容疑の土台である。それによって、スウェーデンとその司法制度は世界の笑いぐさとなり、まさに現代の典型的な事例として名声を地に堕とすことが避けられなくなった。
スウェーデン検察庁は、今年8月、アサンジをレイプ容疑で逮捕しようとしていることをメディアにリークして恥をかき、その同日に逮捕状を撤回した。それは彼ら自身の言葉を使えば「証拠がない」からであった。アサンジの名誉に対する損害は計り知れないものであった。インターネットでの言及の4分の3以上が、彼の名前とともにレイプのことについて言及している。それから3か月経ち、3人の検察官を経て、スウェーデン人たちはこの理屈を押し通そうとしていることが明確になってきたように思われる。コンドーム着用で始まった合意の上でのセックスがコンドームなしで終わった、ゆえに、そのセックスは合意の上ではなかった、と。
カトリンの記事は木曜日、オーストラリアのオンライン時事サイトCrikeyに掲載された。
カトリンは、スウェーデンはこの捜査によって追い詰められ、脆弱な論拠をもってごり押ししようとしているのだ、と述べる。それは、現在のソーシャル・ネットワーキング・ニュースと瞬間的コミュニケーションの時代にあって、検察官たちはおおっぴらに自分たちの信頼性を傷つけることでもしなければ新しい証拠を加えることはできないからである、という。
また、二人の被害者という者たち――記事では名指ししている――は、その事件が起こった後、オンラインでその性的「征服」を自慢していたという。
二人は一緒にアドバイスを求め、共謀してお互いの証拠を取り返しのつかないほど汚したのである。二人がお互いに送ったSMSは、アサンジへのダメージを最大化するために前もってスウェーデンの新聞「Expressen」に連絡を取っておく計画を示していた。二人は同じ政治団体に属しており、その政治団体が企画しアサンジが講演した公開講義に参加していた。
デイリーメール紙の8月の報道によれば、原告はどちらも「コンドームを使用しなかった」ということを告発している。デイリーメールで「女性A」とされた人物の件では、コンドームは性交中に破れた。「女性B」の件では、アサンジは二回目の性交でコンドームを使わなかったという。
カトリンは、女性たちの警察での供述はいずれも「レイプ被害の訴え」ではなかったと述べる。
「しかし、(原告の)どちらも警察に訴えたというのではなく、むしろ「アドバイスを求めた」のだった。それは市民が虚偽の告発の罪を避けられるようにするためのスウェーデンにおけるテクニックである」。
調査が進むにつれて、それは「スウェーデンにおいて法的プロセスとして通っているもの」についての「破滅的な証拠」が明らかになるだろう、とカトリンは確約する。捜査は8月から進められてきたが、アサンジの弁護士団は11月18日まで検察からいかなる令状も受け取ることはなかったという。そして、それから令状はスウェーデンにおいてのみ出され、それは「ヨーロッパの法律とはまったく逆」であった。
8月に最初に捜査が発表されたとき、アサンジは「このタイミングは――アフガニスタン関連文書の公開と時を同じくしていたように思われるが――"深い不安"を呼び起こすものであった」と述べている。アサンジは、ペンタゴンが捜査の背後にいたかもしれないと推測している。
アサンジのレイプ事件の話について、スウェーデン人はなりゆき任せで話を作っている
2010年12月2日 by メルボルン法廷弁護士ジェームズ・D・カトリン(10月にロンドンでジュリアン・アサンジの代理人を務めた)
どうやら、コンドームを使わずにスウェーデンで合意の上のセックスをすることは、強姦罪として最低2年の懲役に値することになる(※訳注:皮肉)。これがウィキリークスの看板であるジュリアン・アサンジに対して再びかけられた「強姦」容疑の土台である。それによって、スウェーデンとその司法制度は世界の笑いぐさとなり、まさに現代の典型的な事例として名声を地に堕とすことが避けられなくなった。
スウェーデン検察庁は、今年8月、アサンジをレイプ容疑で逮捕しようとしていることをメディアにリークして恥をかき、その同日に逮捕状を撤回した。それは彼ら自身の言葉を使えば「証拠がない」からであった。アサンジの名誉に対する損害は計り知れないものであった。インターネットでの言及の4分の3以上が、彼の名前とともにレイプのことについて言及している。それから3か月経ち、3人の検察官を経て、スウェーデン人たちはこの理屈を押し通そうとしていることが明確になってきたように思われる。コンドーム着用で始まった合意の上でのセックスがコンドームなしで終わった、ゆえに、そのセックスは合意の上ではなかった、と。
二人の女性「被害者」は、何の恐怖も味わわず暴力も受けることがなく、もっと重大な件に関する告発のためにメディア記事が粉飾されていた、ということが明らかになるのを待っていたアサンジだが、3か月経ってそれは無駄に終わった。このような記事が出さえすれば、どんな西洋諸国でも強姦(レイプ)容疑での捜査は終わりとなるだろう。強姦(レイプ)は暴力、強要、欺きの犯罪である。誰か別の人間であるように思わせるよう欺くことによって、薬を盛ることによって、結局は暴力犯罪でしかないのに若さゆえのあやまちと言い訳することによって、強姦が行なわれる。
今回の女性たちは年齢的にはアラサーであり、国際的な経験も持ち、スウェーデン政府大使館で働いたこともあった。薬物の関連も、身分偽装もなかった。まったくかけ離れていた。女性たちは二人とも、アサンジが破滅することになると今見られている事件が起こった後に、アサンジという有名人と寝たことを得意げに吹聴していた。
この告発の馬鹿馬鹿しさを薄めるためにもっと証拠を出せばいいのに、スウェーデンがそれをしなかったというのは、その選択肢がないからだ。インターネットと携帯電話によるソーシャル・ネットワーキング現象によって、スウェーデン当局がアサンジに対する証拠を水増しすることは妨げられている。というのも、「犯罪」の後にそれぞれの征服を自慢しているAnna Ardin(アンナ・アルディン)によるツイート、Sofia Wilén(ソフィア・ウィレン)によるSMSメッセージを見れば、事件性があるという信憑性に欠けることがわかるからである。
アルディンの事件では、その「事件」後にアサンジを讃えるパーティーを自分のアパートで開いており、フォロワーに対して「世界でいちばんクールで頭のいい人たちと一緒にいる。すばらしい!」とツイートしているのだ。インターネットで自分で見てみればいい(※訳注:検索すると、@annaardinは、8月14日土曜日14:00に'Julian wants to go to a crayfish party, anyone have a couple of available seats tonight or tomorrow? #fb'、翌15日日曜日02:00に 'Sitting outdoors at 02:00 and hardly freezing with the world's coolest smartest people, it's amazing! #fb' とツイートしていたという情報が見つかるが、現在はこのツイートは残されていない)。アサンジの無実を裏付けるこれらのツイートをアルディンが公開記録から削除しようとして失敗したこと(※訳注:つまり多くの人がコピペ保存していたこと)は、大いに注目されるべきであろう。アルディンが「ボーイフレンドを騙して復讐する方法」についてのガイドをインターネットで公開していたことは、もっと重大だろう。ウィレンの携帯電話テキストの正確な内容はいまだ公開されていないが、アサンジの無実を裏付けるウィレンの自慢文は、スウェーデンの検察官によって確認されている。ウィレンの文章も、アルディンの文章も、強姦されたと訴えるものではない。
しかし、どちらも警察に訴えたというのではなく、むしろ「アドバイスを求めた」のだった。それは市民が虚偽の告発の罪を避けられるようにするためのスウェーデンにおけるテクニックである。(二人は一緒にアドバイスを求め、共謀してお互いの証拠を取り返しのつかないほど汚したのである。二人がお互いに送ったSMSは、アサンジへのダメージを最大化するために前もってスウェーデンの新聞「Expressen」に連絡を取っておく計画を示していた。二人は同じ政治団体に属しており、その政治団体が企画しアサンジが講演した公開講義に参加していた。今でもYouTube動画でウィレンを見ることができる(※訳注:具体的にどの動画かは不明)。
もちろん、彼女たちの弁護をつとめる高名な弁護士Claes Borgström(クレス・ボルグストレム)は、スウェーデン検察が法的に描写したもの(つまり同意の上で「非同意の犯罪」が行なわれたということ)をその女性たち自身が根本的に否定するようなことを自ら行なったのはなぜなのか、と問われている。ボルグストレムの回答は、この問題が現実とどれほど乖離したものであるかということを象徴している。「彼女たちは法律専門家じゃありませんから」。スウェーデンでは、自分が強姦されたかそうじゃないか、法律の学位を持っていなければわからないんだそうだ(※訳注:皮肉)。こういうダブルスタンダード思考ならば、自分たち自身が被害者だとも思っておらず、そのようにも振る舞っていなかった「被害者」をスウェーデン当局がどのように扱うかというのは、明々白々なことである。だが、あなたがスウェーデンの法律関係者でなければ、まるで理解できないことだろう。アサンジとセックスすることについてどちらの女性も同意していたことは、検察官によって確認された。
スウェーデンの強姦罪についての法律をこのように改変しようとするのであれば、ある当事者が心から表明した同意について、別の当事者がなかったことにしてしまうという不平等な力関係を生み出しかねないということである。今回の事件では、おそらく、ウプサラ大学男女平等参画局員の一人として男女平等主義の立場で政治的活動を行なっているアルディンは、アサンジの名声を利用して偽証する意志を持っていた。犯行を犯したとされるときに存在しなかった犯罪について有罪と宣告できるように、検察側の「発展部」はアサンジの裁判中に法律の拡大解釈を行なおうとしている。そうする必要があるのだ。そのような前例はない。スウェーデン人たちはなりゆき任せで話を作っている。
スウェーデンにおいて法的プロセスとして何が通るのかについては、もっと破滅的な証拠がまだ明らかにされていない。たとえば、アサンジの弁護士は2010年11月18日までどんな公式文書も受け取っていない(その後、スウェーデン語で、ヨーロッパの法律に反する文書を受けた)。ここで裁かれているのはジュリアン・アサンジではなく、スウェーデンである。法の支配のもとにある近代的・模範的国家としてのスウェーデンの評価が試されているのである。
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