上野にやってきたパンダの名前「仙女」と「ビリー」を中国語的に解析する

上野動物園に3年ぶりにパンダが帰ってきた。2月21日深夜、メスの「仙女(シィエンニュ)」とオスの「比力(ビーリー)」が到着したと報じられている。来月の一般公開に合わせて日本で公募された名前が新たに付けられる模様だ。

しかし、「シィエンニュ」「ビーリー」という発音表記はどうも違和感がある。昨日のテレビ報道では「シェインニュ」に聞こえるアナウンサーの発音もあった。そこで、正確なところとその名前の意味をまとめておきたい。(※環境によっては発音表記が表示されない場合もあります。ご了承ください)

2011年2月22日15:55| 記事内容分類:日本時事ネタ| by 松永英明
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仙女

日本語とほぼ同じで、仙女とか天女を意味する。「仙女座」はアンドロメダ座。「仙女下凡」というと、「下界に下りてきた仙女のように美しい」女性の形容である。

ピンイン(中国の発音表記)で発音を書くと[xiānnǚ]。カタカナで表記すると一番素直なのは「シエンニュー」。

「シエン」は「シェン」にしない。ピンインでianはイアンではなくイエンに近い発音となる。

「ニュ」の方は厳密には日本語では表現しがたい音で、この母音はウの唇の形でイと言う。だから「ニュイ」と「ニュー」と「ニー」の間くらいの雰囲気となる。

四声(音の高さの変化)としては、1声(高めで平らに)→3声(低めで押さえる)になる。おおざっぱに音階でいえば「シエン(♪ラ)ニュー(♪レ→レ♯)」くらいの雰囲気。

比力

これは実は中国語の単語ではない。Billy(ビリー)という英語名を漢字で表わしたものである。2005年8月16日に双子で生まれ、姉はLily(リリー、麗麗)という。

この英語名での命名は「愛能博格基金会」(アンネンバーグ・ファウンデーション)によるものである。アンネンバーグ・ファウンデーションは1989年に創設された。創始者のウォルター・アンネンバーグ(Walter Annenberg / 華特・愛能博格)はアメリカの有名な出版者・外交官・慈善家である。

2006年8月16日、アンネンバーグ・ファウンデーションがこの双子の二頭を終生養うこととなった。そこでリリーとビリーと名づけたのである。この名前は双子の一歳の誕生日に名づけられた。したがって、「ビーリー」と表記するよりは素直に英語ととらえて「ビリー」と表記する方が適切ということになる。

ピンインで表記すると[bǐlì]。この発音は字面をみる限り「ビーリー」でも一見よさそうだが、実際には中国語でbiとpiの違いは日本語のビ(濁音)とピ(半濁音)の違いとは異なる。音としてはむしろどちらもpiに聞こえるはずだ。ただ、biは息を出さない。piは同時に息を出す(無声音と有声音)。いわば/pi/と/phi/の違いを便宜上bとpで表わしているだけなのだ。だから、ビに近いピで息を出さずに発音して「ピーリー」と言うと近い。

また四声は3声→4声なので「ピー」は低く抑えておき「リー」は高いところから急に下がる。「ピー(レ♪)リー(ソレ♪)」とやると雰囲気は近いかもしれない。ただし、英語風にBillyでも当然よさそうだ。

仙女とBilly。この二頭が日本でどのような名前を与えられるのか、楽しみである。

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2011年2月22日15:55| 記事内容分類:日本時事ネタ| by 松永英明
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こんにちは。

中国語に親しくない人向けの発音の説明に感銘を受けました。

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