恵方巻コンビニ商戦2013(由来・起源/コンビニ8社売上高一覧)
当サイトではこれまで「恵方巻」の由来・起源と歴史について扱ってきた( 恵方巻 - 閾ペディアことのは)。これに加えて2011年の恵方巻商戦の状況などを加えた記事を、第12回文学フリマで発行した冊子『事物起源探究2011』(残部僅少)に収録した。さらに2012年のコンビニ8社の節分恵方巻商戦を定点観測的にまとめたのが恵方巻商戦2012コンビニ8社全比較分析(附:コンビニ売上高グラフ)[絵文録ことのは]2012/01/26記事である。
それからまた一年。今回もコンビニ8社の節分恵方巻商戦を定点観測的にまとめてみた。できれば昨年のレポートと合わせてご覧いただきたい。ちなみに今年の恵方は南南東とされている。
恵方巻について
恵方巻の由来で検索すると、上位にエロ系の由来が表示されるが、それはネタ的な民間起源説であって、何の根拠もないヨタ話である。以下、『事物起源探究2011』より一部再掲する。
恵方巻きは「切らずに、一気に、黙って、恵方を向いて食べる」のがルールであり、少々滑稽な雰囲気を醸し出すのが大阪発祥らしさを示している。なお、一気に食べるというのは、かぶりついたら最後までくわえたまま食べきるということである。途中でペースダウンしてもよいが、口から外してはならない。そして、その間はものを言ってはならない。当初は早食いも行なわれていたが、あまり本気でやると喉につまるので無理はしなくてよい。なお、「笑いながら」と付け加える作法情報がネットで散見されるが、それは何か別の風習と混同した誤った情報である。
なお、この「巻きずし」(関西式)は本来、すし飯に高野豆腐、厚焼玉子、カンピョウ、シイタケ、三つ葉などを巻き込んだ海苔巻きのことを指す(関東でいう太巻き寿司にあたる)。ただし、近年はスーパーやコンビニの展開の中で異なるタイプの巻きずしや、そもそも寿司でさえないロールケーキなどを関連商品として販売する例も増えている。
現存する最古の確実な資料としては、昭和七年の宣伝チラシの存在が確認されている。昭和五十二年ごろにすし業界・海苔業界・厚焼業界が宣伝を仕掛けて、大阪を中心とした関西圏で定着していった。これが平成に入る前後から西日本へと広まり、一九九〇年代後半以降はコンビニ業界などの主導する広告活動によって全国へと伝わった。二〇〇〇年代以降は新しい習慣として全国的に定着しつつある。
定着・伝播には業界の宣伝が大きく関わっている点で、バレンタインデーのチョコレートと同様のフォークロリズムであるとして批判的に見られることも少なくない。一方、「家族そろって夕食時に食す」風習であることが高く評価される面もある。
全国に広まったのはまさに平成に入ってからである。これを広めたのはセブン-イレブンと南野陽子だ。
- 平成元年(一九八九年)、セブン-イレブンの広島県内の店舗個人オーナー(大阪出身)が「大阪ではこんなものを食べる」と提案して商品化した。「縁起のいい風習」として紹介し、商品名を「恵方巻」とする。恵方巻という名称はここに始まる。
- 同年二月三日放送「ミュージックステーション」に出演した南野陽子(兵庫県伊丹市出身)が節分に太巻きを食べる風習について知っている旨の発言をしたという。
- 一九八六年一月~一九九〇年六月に放送されていたラジオ番組「南野陽子 ナンノこれしきっ!」で南野陽子が節分の太巻きについて言及していたという情報あり。また、南野陽子は他の番組でも節分の太巻きに言及していたという情報もある。
- 平成二年(一九九〇年)からセブン-イレブンでの販売エリアが次第に拡大。
- 一九九五年、セブン-イレブンの関西以西の地区で恵方巻を販売。
- 一九九六年以来、節分の日に札幌市中央区の北海道神宮境内で巻きずしが振る舞われるイベントを毎年開催。「海苔で健康推進委員会」北海道ブロックが海苔の消費拡大を狙って開始した。
- 一九九八年、全国のセブン-イレブンで恵方巻きを販売。
- 一九九九年、ローソンが全国で発売開始(前年までは近畿以西のみ)。
- 二〇〇三年、ファミリーマートが全国販売開始(前年までは関西地区限定)。
- 二〇〇四年、am/pmが全国販売開始。
- 二〇〇五年、サークルKサンクスが全国発売開始。
奈良県出身のわたしが恵方巻を食べるようになったのは、確か80年代半ばからだったと思う。当初は大阪の厚焼き業界や海苔業界が一生懸命流布につとめていたが、その後、全国に広める牽引役となったのがコンビニ業界だった。そこで、去年に引き続き、今年もコンビニ大手8社の恵方巻商戦についてまとめてみた。
コンビニ大手8社
コンビニ大手については、去年に引き続き大手8社のデータを参照することにした。今回は平成23年度(平成24年=2012年2月期)の「全店売上高」の数字である(デイリーヤマザキを除く)。この中には直営以外のフランチャイズなども含まれているが、コンビニ各社の規模を知るにはこの数字が最適と思われる。
- セブン-イレブン 3兆2805億円
- ローソン 1兆8258億0900万円
- ファミリーマート 1兆5346億5200万円
- サークルKサンクス 9798億1500万円
- ミニストップ 3555億2500万円
- デイリーヤマザキ 2292億9400万円(※平成23年12月期)
- スリーエフ 1063億5500万円
- ポプラ 924億3200万円
昨年のグラフと大きく違うのはヤマザキだが、昨年は他の資料に従って「山崎製パンのコンビニエンスストア事業の売上高」としていた。今年調べ直したところ、子会社となっているデイリーヤマザキの全店売上高を用いるのが正確であると思われるため、修正した。そのため、単純比較はできない。
さて、今年は各社とも前年より数字を伸ばしている。その中でも上位グループ四天王が強さを示しているのは昨年同様だが、セブン-イレブンが前回の2兆円強から一気に3兆円超えとなり、一挙に二位以下を引き離した。ローソンとファミマを合わせてようやくセブン-イレブンをやや超えるという数字であり、セブン-イレブンの「一人勝ち」となっている。
今回もこのコンビニ大手8社の店舗を実際にまわり、各店舗で恵方巻の予約チラシを入手した上で比較調査してみた。もちろん各社からは一銭も見返りを得ていない。
※北海道でコンビニシェアトップのセイコーマートは、去年と同じ理由で除外した。
各社恵方巻基本データ
恵方巻/丸かぶり寿司/ロールの後の数字は、長さcm×幅(直径)cm(×高さcm)である。
◆セブン-イレブン
業界最大手にして、平成の全国普及のきっかけとなり、「恵方巻」という名称の名付け親でもあるセブン-イレブン。昨年に引き続き、NHK大河ドラマ「平清盛」の題字を書いた書道家・金澤翔子さんをチラシの文字に起用している。チラシは他社よりやや小さめのB5判6ページ。
恵方巻の直径が昨年の4.5cmから3mm縮んで4.2cm。長さは変わらず、やや細くなったのは食べやすさのためだろうか。サラダ恵方巻は昨年の9品目から10品目へ増えたが、太さは変わらない。また、焼紅鮭を加えて長めの「まん福(ぷく)サラダ恵方巻」が登場した。他社に多い海鮮恵方巻の代わりにサラダ恵方巻なのが特徴だが、サラダといいつつほたてやえびも含まれており、海鮮系を求める購買層へのアピールを強めるためにまん福が登場したとみられる。
節分そばのラインナップは、かき揚げ蕎麦がなめこ蕎麦ミニに変わった。また、昨年は「丸かぶりロール」の名称だったが、今年は「節分ロール」に。切って食べてもいいと思わせるネーミングになった。
- 恵方巻(3本パック=13×4.2、レギュラーサイズ=13×4.2、ミニサイズ=8.5×4.2)
- 10品目の彩りサラダ恵方巻(3本パック=8×4.8、サラダ恵方巻=8.5×4.8)
- まん福サラダ恵方巻(13×4.8)
- 節分そば(節分そば、八割蕎麦(温かい蕎麦用)、八割蕎麦(冷たい蕎麦用)、石臼挽き蕎麦粉の節分なめこ蕎麦(ミニ))
- 節分いわしつみれ汁
- 節分ロール=15×4.8
- いわしの生姜煮(セブンプレミアム)
- 茶わん蒸し3食入り(セブンプレミアム)
◆ローソン
業界2番手のローソンの恵方巻は去年と同じく「すべて京都・清水寺で厄除開運のご祈祷をいただいた縁起の良い海苔を使用しました」という。「家族の幸せ、笑顔を招く縁起物。」「「ハレ」の日にふさわしい贅沢な具材を使ったにぎり寿司です」「七福神にちなんだ七種類の具材入り」など、「縁起のよさ」をアピールしているのも昨年と同様。また、ハーフサイズをメインに据えているのも特徴的だ。チラシはA4判4ページ。
メインが叙々苑監修の数量限定焼肉太巻となった。焼肉と海鮮で攻めるのが2013年のローソンである。蕎麦は、かき揚げそばが海鮮かき揚げそばとなり、鶏などが消えて大海老天そばに絞られた。節分ロール系は「甘味」という区分けになり、もち食感はミニサイズ4本入りのみとなって、さらに抹茶使用の和ロールが加わった。
- 焼肉太巻(ハーフ)=9×5
- 海鮮恵方巻(ハーフ)(3本入、1本)=9×5
- 恵方巻(3本入、1本)=18×5
- にぎり寿司セット(二人前6貫)
- 蕎麦(レンジ節分海鮮かき揚げそば、レンジ節分大海老天そば、冷し節分大海老天そば)
- 節分ロール(苺&バナナ)=16×5.5
- 節分和ロール(株式会社辻利一本店の宇治抹茶使用)=16×5.5
- ミニもち食感ロール四本入(苺とチョコバナナ)=6×4.5
◆ファミリーマート
ファミリーマートは昨年同様、ライバル・セブンが命名した「恵方巻」という名称はあくまでもサブとして用い、メインはあくまで「まるかぶり寿司」という名称にこだわる。ちらしでは西川きよし、FUJIWARA、COWCOW、NONSTYLE、アジアンという吉本芸人で宣伝。「あたりまえ体操」でヒットしたCOWCOWが「節分は、まるかぶりがあたりまえ!」、西川きよしが「この贅沢なおいしさも、小さなことからコツコツと」と言っているあたりは、よくわかって起用している感がある。焼肉巻は今年も牛カルビ焼肉なのだが、去年は「牛カルビ焼肉巻」だったのが短い名称となっている。
去年はチラシ上で節分蕎麦はアピールしていなかったが、今年は4種類が入っている。節分スイーツも和風ぎゅうひロールなどの新商品を投入。さらに、贅沢弁当(重)を三種類盛り込んだ。チラシはA4判4ページでサイズアップした。
- まるかぶり寿司(1本、3本入)=14×5
- 海鮮恵方巻(1本、3本入)=9×5
- 上恵方巻 海鮮巻(1本、2本入)=9×5
- 上恵方巻 焼肉巻(1本、2本入)=長さ9
- ファミリーにぎり寿司セット(27貫)、にぎり寿司セット(11貫)
- 蕎麦(八割そばセット、八割そば海老天セット、ざるそば、海老天&かき揚げそば)
- 節分スイーツ(節分フルーツロール=16.5×4.5×4.5、節分和牛ぎゅうひロール=12×4.5×4、節分ロールケーキ=15×6×5、節分バナナ&いちご巻き=18×5×5)
- 贅沢弁当(大海老天重、3種焼肉味くらべ重、炭火焼豚蒲焼重)
◆サークルKサンクス
サークルKサンクスも去年と同様、ハーフサイズをメインに据えている。ラインナップは基本的に去年とほぼ同様なのだが、ディズニーと提携したミッキー&ミニー恵方巻を投入。若年層やファミリー層をターゲットに据えたようだ。チラシは去年と同じA5判4ページで、8社中最小。
異色の恵方海鮮トルティーヤなど、通常の恵方巻以外のバリエーションがコンビニ四天王の中では最も目立つ。今年は恵方ロングウインナートルティーヤが35cm以上のウインナーを使用ということで、長さでは随一。
- ミッキー&ミニー丸かぶり寿司(ハーフサイズ)=8.5×4.5
- ミッキー&ミニーランチBOX(上記の3本入り、ランチBOXつき)(予約限定)
- 極の恵方巻(ハーフサイズ)=8.5×4.5
- 丸かぶり海鮮恵方巻(ハーフサイズ)=8.5×4.5
- 丸かぶり恵方巻=17×4.5
- 恵方ロングウインナートルティーヤ(予約限定)=35cm以上
- 恵方海鮮トルティーヤ=15.5×3.5
- 7種のフルーツロール=16×4.5×3.5
- 栗たっぷり和ロール=10.5×4.5×3.5
- 節分そば(更級二八ざるそば、レンジ海老天そば)
- 焼肉トラジ監修牛カルビ焼肉重
- いわしのつみれ汁
◆ミニストップ
ミニストップのチラシは「幸福恵方巻」で「幸福」がキーワード。「幸福をもたらす「七福神」にちなんで、7品目の具材を撒いた延喜のよい太巻寿司です」と、昨年のローソンに似たアピールをしている。ミニストップの恵方巻は昨年より5ミリ太くなって直径5cm。
サークルKサンクスのミッキー&ミニーに対して、ミニストップはドラえもん。「ドラえもんの福福(ぷくぷく)恵方巻」は「ドラえもんの大好物のドラ焼きの皮などドラえもんのひみつ道具のようにたくさんの具材が美味しい太巻き寿司に!」、「ドラミちゃんの福福恵方巻」は「みんなが大好きな海老フライを海老ピラフと玉子シートで巻いてお子様ランチ風の太巻に!」と、一歩間違うと大変なことになりそうな路線である。ただ、去年も「こどもの恵方巻」の実績があり、完全に子供/ファミリー向けを狙っているようである。ただ、こどもの恵方巻は細めだったが、福福恵方巻は大人と同じ太さだ。
スイーツではプレミアムベルギーチョコロールが加わった。また、恵方巻の予約チラシに「福豆セット」「鬼セット」を載せているのはここだけ(酒の記載は消えた)。チラシは、去年は唯一A4判でコンビニ最大だったが、今年は小さくなって高さB5の変形(やや細身)6ページ。
- 幸福恵方巻(1本、3本入り)=18×5
- 海鮮恵方巻(1本、3本入り)=9×5
- ドラえもんの福福恵方巻=9×5
- ドラミちゃんの福福恵方巻=9×5
- プレミアムフルーツロール=11.5×7×5.5
- プレミアムベルギーチョコロール=12×6×4
- もちもち食感フルーツロール=17×5.5×4
- 節分そば(節分割子そば、合鴨そば)
- 鬼面付き福豆セット
- なりきり鬼セット
◆デイリーヤマザキ
デイリーヤマザキのラインナップは(もともとパン屋だからか)去年に引き続きやや少なめ。オーソドックスタイプの組み合わせで勝負しているが、山崎製パンの子会社である不二家のクレープロールに今年はココア味が加わった。チラシはA4判両面。
- 恵方巻=18×4
- 恵方巻(サラダ巻)=18×4
- 特撰恵方巻(ハーフサイズ)=9×4.5
- 恵方巻(海鮮巻ハーフ)=9×4.5
- 恵方巻2本セット、恵方巻ハーフ3本セット
- 節分とろろ蕎麦
- 不二家 恵方巻クレープロール=14.5×6×3.5
- 不二家 恵方巻クレープロール(ココア)=14.5×6×3.5
◆スリーエフ
コンビニ勢力図 [ 2013年 ]|新・都道府県別統計とランキングで見る県民性 [とどラン]によれば、高知県で店舗数単独トップだったのが2013年にローソンと同数トップとなったスリーエフ。
海鮮恵方巻は海鮮サラダ恵方巻とネーミングを変えたが、子供向けのマヨベースであることは去年と同じ。変わり種として、いなり皮の「黄金恵方巻」が今年もラインナップしており、いなり好きの私としては嬉しい限り。スイーツ系はラインナップが変わった。また、つみれ汁が加わった。チラシは去年と同じA4判両面。
- 恵方巻(1本、3本入)=16×4.5
- 特選海鮮恵方巻(ハーフ)(1本、3本入)=9×4.5
- 海鮮サラダ恵方巻(ハーフ)(1本、3本入)=9×4 ※子供向けマヨベース
- 黄金恵方巻(ハーフ)(1本、2本入)=9×4.5 ※いなり皮
- 恵方7種のフルーツロール=17×4.5
- 恵方もちもち五穀餡ロール=15.5×5
- 節分そば(福豆付)、八割そば(つゆ付2食)
- 鰯と鯵のつみれ汁
◆ポプラ
ポプラも昨年に引き続き「こどものえほう巻」を提供。ポプラでは新たに「ファミリーパック」(恵方巻ハーフ×2+海鮮巻ハーフ×2)を投入している。そのほかはオーソドックス。恵方巻は昨年より直径が5ミリ小さくなって4センチと細くなったが、福豆/黒大豆の小袋がつくようになった。
チラシはA4判両面。
- 恵方巻(1本、3本入)(福豆小袋付)=17.5×4
- 特上恵方巻(1本、2本入)(黒大豆小袋付)=18×4.5
- 海鮮巻ハーフサイズ(1本、3本入)(福豆小袋付)=8.5×5
- こどものえほう巻(えびかつ巻)(福豆小袋付)=14.5×3.5
- ファミリーパック(恵方巻ハーフ×2+海鮮巻ハーフ×2)
- 節分蕎麦(節分二八なま蕎麦(温)、節分二八なま蕎麦(冷)、レンジ節分蕎麦(海老天)、レンジ節分蕎麦(海老天、肉))
- 節分ロール 苺ダブルクリームロール=16×4.7
- 節分ロール 抹茶小倉ロール=16×4.7
8社の共通点と相違点
まず、それぞれのシリーズがどのコンビニチェーンで採用されているかをまとめてみよう。各社の名称が違っても同類のものはセットにするため、名称は適宜変更している。
以下、セブン-イレブン=7i、ローソン=Lw、ファミリーマート=FM、サークルKサンクス=KS、ミニストップ=MS、デイリーヤマザキ=DY、スリーエフ=3F、ポプラ=Plと略す。
- 恵方巻:7i、Lw、FM、KS、MS、DY、3F、Pl(全8社)
- 恵方巻ハーフサイズ:7i、KS、DY
- サラダ恵方巻:7i、DY、3F
- 海鮮恵方巻:Lw、FM、KS、MS、DY、3F、Pl
- 焼肉巻/焼肉太巻:Lw、FM
- 子供向け恵方巻:KS、MS、3F、Pl
- いなり皮恵方巻:3F
- にぎり寿司セット:Lw、FM
- 恵方トルティーヤ:KS
- 節分ロール:7i、Lw、FM、KS、MS、DY、3F、Pl(全8社)
- 節分そば:7i、Lw、FM、KS、MS、DY、3F、Pl(全8社)
- 節分つみれ汁:7i、KS、3F
- 重(贅沢弁当):FM、KS
レギュラーサイズの恵方巻、節分そば、節分ロールについては全8社が発売している。セブンイレブンが2007年に節分ロールの販売を開始して6年、すでに定着したようだ。また、節分そばは旧正月の「年越しそば」が由来なので、これは確実に恵方巻より起源が古い。
また、ふつうの恵方巻のハーフサイズを提供しているのは3社のみ、他はハーフサイズではサラダ/海鮮/焼肉の恵方巻を提供している。ハーフでの単価が下がるのを防ぐための戦略は去年に引き続き健在だ。
したがって、「長い恵方巻、ハーフ(サラダor海鮮or肉)、節分ロールスイーツ、節分そば」の4種はどのコンビニでも見られる定番セットとなっている。
去年はランキング下位に位置する三社が子供向け恵方巻商品を提供していたが、今年はサークルKサンクスも参戦した。女性向けのハーフサイズの次は子供・ファミリー層がターゲットになっている。
去年との大きな違いは、ミッキー&ミニー(サークルKサンクス)やドラえもん(ミニストップ)といったキャラクターが登場したことだ。吉本芸人を起用したファミリーマートと合わせて3社がキャラクターでのアピールを始めている。これは2013年の特徴と言える。
昨年、節分つみれ汁を採用しているのはセブン-イレブンとサークルKサンクスの2社のみだったが、今年はスリーエフも参戦した。また、去年のセブンのつみれ汁は何の魚かわからないことをこのブログで指摘したが、今年はいわしと明記されている。来年はさらに参戦コンビニが増えるのではないかと思う。節分にイワシを食べるというのはもともと西日本の風習で、邪気を払うためにイワシの頭を門口に指した。これが「イワシの頭も信心から」という言葉の由来でもある。邪気払いのイワシが節分と結びつくのは民俗学的にはよく理解できる風習だが、これが現代のコンビニで「つみれ汁」として甦ったようだ。
去年はファミリーマートだけだった焼肉巻に今年はローソンも参戦。この二社はそろってにぎり寿司セットも節分商品として売り出している。また、サークルKサンクスが去年はすき焼き重、今年は焼肉重でアプローチする贅沢弁当ジャンルに、ファミリーマートがいきなり三種類で参戦した。にぎり寿司セットと重を「節分のちょっと贅沢なお食事系」とまとめるなら、ローソン・ファミマ・サークルKサンクスの3社が参入したことになる。どうやら、これが女性・子供ファミリー層に続く、節分の新しい開拓ジャンルなのだろう。
サークルKサンクスの恵方トルティーヤ、スリーエフのいなり皮恵方巻はどちらも孤高の存在だが、一発屋で消えることなく今年も生き残った。
まとめ
節分と言えば豆まき、というのは少なくとも戦後の日本の家庭の「常識」であったと思われる。しかし、平成以後のコンビニによる恵方巻の全国化で「節分は恵方巻と節分そばと豆まき」というセットが定型になってきているようだ。恵方巻自体は昭和からの新風習であってフォークロリズム(作られた疑似伝統)とも見なしうるが、数年のうちにはすっかり「伝統」として収まっていくと思われる。それが、古い伝統である節分そばや豆まきと共存しているのが興味深い。
……というのは去年の分析だが、今年もこの分析は生きている。ただ、それに加えて節分ロールも定着しており、さらにいわしのつみれ汁の「復権」も傾向としてみられる。もちろん、これらすべてのフルコースを採用する家庭は少ないだろうが、子供のいるファミリー層の節分の夜は、一昔・二昔まえとくらべて非常ににぎやかなものとなっているということは確実に言えそうだ。
以上を踏まえて来年を予測するなら、以下のとおり。
- ロングの通常恵方巻、ハーフサイズ(海鮮・サラダ・肉巻)恵方巻、節分ロールスイーツ、節分そばはすべてのコンビニで来年も採用される。
- いわしのつみれ汁を採用するコンビニは、来年もう少し増える。
- キャラクターや芸能人を用いたアピールは来年も行なわれる。
- 子供向けやファミリー層向けのアピールはさらに拡大する。
- にぎり寿司や海老天重・焼肉重などの「ちょっと贅沢なお食事」に参入するコンビニも増えるかもしれない。
- その次は、老年層に優しいクオーターサイズまたは細巻の時代か?(臆測)
- 恵方トルティーヤといなり皮恵方巻は来年もがんばってほしい(願望)。
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