《松永英明のゲニウス・ロキ探索――「場所の記憶」「都市の歴史」を歩く、考える 》はまぐまぐで発行されているメールマガジンです。

2010年8月アーカイブ

No.096:水の東京を訪ねて東京水辺ライン

twitterでこの記事をつぶやく

◎幸田露伴「水の東京」

以前から歩いてみたいと思っていたコースがあります。それは、明治末に 書かれた幸田露伴『水の東京』のコースをたどってみたいというものです。

幸田露伴 水の東京 http://www.aozora.gr.jp/cards/000051/files/1434_20710.html

青空文庫で一応全文読めますが、現代語訳しないとちょっと読みづらいん じゃないかと思います。

東京市に入るあたりから隅田川を下り、千住・向島・両国等々を経て東京 湾に出るまでがメインで、そこに流れ込む川として石神井川・神田川・日 本橋川や本所あたりを縦横に流れていた川も描写しています。このあたり は風流だとか、このあたりはいずれ工業地帯になるだろうとか、単なる地 誌ではなく露伴の感想やイメージ(露伴にとっての隅田川を中心としたゲ ニウス・ロキ)を語っているのが興味深い本です。

当時は目黒川や多摩川のあたりは「東京市」の外だったので、水の東京の 大部分は隅田川と神田川、そして今の江東区あたりの水路を描いています。 文字通り「下町」方面を川面から眺めた明治末の東京、という雰囲気です。

……

隅田川

No.095:閉鎖空間としてのSNSと「場の広さ」

twitterでこの記事をつぶやく

◎あるSNSの閉鎖

半年ほど前からあるSNSを続けるかどうかという話が出ていました。 SNS――ソーシャルネットワーキングシステム、平たく言えば「mixiみ たいな仕組み」ですが、ここではオープンソースで公開されているOpenPNE を利用している安価なレンタル業者がありましたので、そこを利用してい ました。登録者数は1500名、アクティブユーザーも少なくなく、こういう 限定テーマのSNSとしては決して小さくはありません。

このSNSシステムは、PCでも携帯でもアクセスできるというのが最大の 利点で、携帯3キャリア+PC共通で使える高機能掲示板などはなかなか見つ からない現状、非常に重宝されていました。

また、問い合わせなどもこのSNSのメッセージ機能 を利用することで「メールが届かない」という問題を回避できます(メー ル不達問題は非常に大きな問題となります)。

そして、ユーザー同士が勝手に日記を書いて独自に盛り上げてくれる(つま り、運営側がコンテンツを提供しなくても、ユーザーがコンテンツを作り 上げてくれる)という意味では、非常にありがたいものでした。

誰でも書ける掲示板と違って、ユーザーの日記などが存在しているため、 個々のユーザーが匿名的な無責任な発言をすることが少ない(つまり、荒 れにくい)というのもメリットでした。

さらにバナー広告を掲載することでグッズやチケット、イベント募集など にも強力な効果を上げていました。

また、登録者へのメール一斉送信でメールマガジン/ニュースレター的な 告知ができるのも大きなメリットでした。バナーを掲載し、メール一斉送 信をした直後に注文が入る、といった流れもできていました。

この便利なSNSですが、半年前ごろから運営企業の社長(小さな会社で すが)が問題点を口にするようになりました。

その理由は、閉鎖的であるということです。 「SNSでいくら盛り上がっていても、それが外から見えない。もちろん、 登録してもらえればその中では充実しているし、ファンユーザーの皆さん はその盛り上がりが見えるわけだけれども、それがまったく広がっていか ない。ここを何とかすることはできないだろうか?」

つまり、可視化されないことが重大な問題だということです。

……

No.094:道頓堀の「日本一」大たこの危機

twitterでこの記事をつぶやく

◎大たこ敗訴

道頓堀で「日本一」の看板を掲げていた「本家大たこ」が裁判沙汰になっ ていました。

老舗 たこ焼き 大阪道頓堀 本家 大たこ 公式ホームページ

道頓堀「大たこ」の明け渡し確定 不法占拠訴訟で大阪市勝訴 - MSN産経ニュース

 大阪・道頓堀で40年近く営業する有名たこ焼き店「大たこ」が市有 地を不法占拠しているとして、大阪市が土地の明け渡しなどを求めた訴 訟の上告審で、最高裁第3小法廷(近藤崇晴裁判長)は、大たこ側の上 告を退ける決定をした。土地の明け渡しと過去の土地使用料の支払いを 命じた2審大阪高裁判決が確定した。

 大たこは多くの観光客でにぎわう道頓堀川にかかる「太左衛門橋」近 くで昭和47年から営業。店がある市有地について、「時効で取得した」 と所有権の移転登記を求めて平成18年に提訴。翌年、市が反訴していた。

 1審大阪地裁は、不法占拠を認定して過去12年間分、月額1万38 00円の土地使用料の支払いを命じた。しかし、2審は、大阪有数の商 業地で対価を支払わずに長年営業を続けたことなどを理由に、使用料に 加えて土地の明け渡しも命じていた。

 大阪市の平松邦夫市長は「裁判所の適正な判断が示されたと受け止め ている。今後は市民の財産として適正に管理していく」とコメント。一 方、大たこ側は 「大阪市に『和解するから裁判を起こしてください』 と求められた裁判で、私たちは市民の財産を奪おうとしたわけじゃない。 これまでの行政のあり方に不明朗な点が多数あり、別の訴訟を起こすこ とも検討している」と話している。

道頓堀の大たこといえば、むしろ「日本一」の看板を掲げて橋の横に屋台 を出している、いつも行列のできている名物たこ焼き屋といったほうがい いかもしれません。

わたし自身も、道頓堀に行ったら大たこ(か隣の「味一」)で買うのが儀 式のように思っていました。味一の方はすでに店じまいしてしまっていた ようですが、「わざわざあそこの店に行って買う」という場所は人それぞ れ、いろいろあるんじゃないかと思います。

No.093:ゲニウス・ロキ流 歴史の歩き方

twitterでこの記事をつぶやく

◎滋賀県が歴女を募集

滋賀県観光交流局が「歴女ブロガー」(男性も可)50名を募集しています。

近江路・歴女ブロガー旅紀行 歴女がゆく 浅井三姉妹・江のふるさと
みんなで作る新しい滋賀の旅

http://jtbwallet.jp/special/shiga/

選ばれた人には、一泊と二食、そして観光地のプレスパスをくれるそうで す。これで一泊二日の滋賀旅行をして、帰ってから10日以内にブログに紀 行をアップ。また、コースについての報告を提出する必要があります。

歴史好きにとっては一泊分が浮いて、さらに滋賀県の観光サイトからリン クされる可能性も出るおいしい企画(ちゃんと記事をアップしたら上限3万 円で滋賀までの交通費が出るそうです)。

一方、滋賀県観光交流局にとっても、新しい「歴史がらみの観光コース」 を歴史ファンに作ってもらえるということで、双方にとってうれしい企画 といえそうです。

申し込みは8月17日まで。

……ということで、当然申し込みました。 熱意を込めて申し込んだ方がいいだろうと思い、以下のような長文コメン トを投稿しました。結果はどうなるかわかりませんが……。

このアーカイブについて

このページには、2010年8月に発行されたメルマガ記事が新しい順に公開されています。

前のアーカイブは2010年7月です。

次のアーカイブは2010年9月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に発行されたものはアーカイブのページで見られます。

OpenID対応しています OpenIDについて