海外ウェブログソフトレビュー

2003年12月18日木曜日 Guardian Unlimited記事より

2004年1月 4日00:17| 記事内容分類:07.ウェブログの技術的な説明| by 松永英明
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Blogger

 これはウェブログサービスの父祖である。Bloggerがウェブログの流行を始めたわけではないかもしれないが、その火に油を注ぐ以上の役目は果たした。ドットコムブームの最高潮の時期に設立され、共同創設者エヴァン・ウィリアムズによって完成されたBloggerは、最終的に、2003年2月に検索大手Googleによって買収されて未来を保証された。
 その時から拡張され、長らく待望されていた新しい外見のインターフェースを提供し、信頼性が高まった。ただ、その中心には、数十万人の初期のブロガーを引きつきたのと同じ機能が残っている。まず、TypePadやRadioとは違って無料だ。第2に、簡単に使える。特にBlogSpotでウェブログをホスティングするときには、出来合いのテンプレートが使えるし、FTPを触る必要がない。
 しかし、Bloggerで一番いいのは、その柔軟性だ。もし自分のサーバーでウェブログを開いたり、自分のテンプレートを作りたいなら、Bloggerはそれを許してくれる。
 かつて、それは何よりもまずBloggerをおすすめするための大きな根拠となっていた――そして、私たちは実際にそうした。しかし、2002年にはブログ界でいくつかの興味深い発展があり、しばらく低迷した後、新しい機能が導入されず、Bloggerはもはや切り札を持っていない。
 TypePadの基本バージョンは、ブロガーよりも大きな自由度と機能を提供している――料金は払わなければいけないが。LiveJournal と 20Six といった類似サービスは強力なコミュニティーを有しており、初心者にとってもっと面白い機能がついている。
 Movable type――あるいはType Padの最も高価なものでも――Bloggerをはるかにしのいでいる。MTは技術的専門知識が必要だし、TypePadは月額料金を払わなければいけないのだが。
 ブログの最初期の遺産として以外に、Blogger.comが現在に適合しているとみることは難しい。(by Neil McIntosh)

Typepad

 Typepadはウェブログブロックの新人だが、2003年夏に公開されてからは大好評だ。登録は無料ではなく、他のサービスと比べても安くはない。しかし、ウェブログ界ではそれに見合ったものを手に入れられそうだ。毎月の料金(3.50ポンド、6.40ポンド、10.70ポンド)で、ウェブスペースと、強力・優雅なウェブログ構築ツールが手にはいるのである。高いコースになるほど使える機能も増える。
 基本的な特徴は、他のシステムと比較して印象的だ。最低価格の契約であっても、カテゴリー(スポーツ、政治その他あなたが決めた分野に投稿を整理できる)、コメント(読者がいいたいことをいえる)、パスワード保護(誰がサイトを見るかを制限できる)がある。
 人気が高い機能の多くは、中間の価格の契約で手に入る。フォトアルバム機能は有用で、追加ソフト(や他の登録サービス)なしに写真を紹介するアルバムを簡単に作れる。また、あなたのドメイン名をTypepadサイトに「割り当て」る機能もある(つまり、あなたのサイトがyoursite.typepad.comではなくwww.yoursite.comにすることができる)。最高額の契約では、あなたのサイトのHTMLを自分の手でいじることができるようになり、これで多くの技術的な達人ブロガーにはうれしいことだろう。しかし、提供されているテンプレートはほとんどいじらなくても大丈夫だ。
 しかし、おそらく、最も魅力的なのは、見栄えのいいウェブログを設置するのが簡単だということだろう。もちろん、他のTypepadウェブログと同じように見えるかもしれない(標準として提供されているHTMLをいじらないなら)。しかし、他の人とコミュニケートすることが容易になる。それはブログのすべてともいえる。あなたは1時間で、スタイルはともあれ、設置・稼働し始められる。
 もし完全な制御をしたいなら、Movable Type(これもSix Apart制)が最善だろう。しかし、上級者ブロガーではない大半のレベルのユーザーにとっては、利便性に対して支払うことをいとわない限り、Typepadは最善の策のようである。(by Neil McIntosh)

Movable Type

 技術的ブログコミュニティを代表するウェブログソフトがあるとするなら、Movable Typeであろう。サーバーとドメイン名が必要で、さらにFTPを使い、Unixをそこにインストールするだけの頑丈な心が必要となるだろう(※訳註:レンタルサーバーでも可能です) 。しかし、それを構築したならば、これまでに作られた中で最も強力な個人ウェブ発行ソフトを手に入れることになる。
 TypePadを運営しているSix Apartによって作られたMovable Typeのウリは、使いやすさや安定した機能だけでなく、開発主任ベン・トロットによって設計されたインターフェースによるものでもある。その結果、大量の追加機能がダウンロード・インストールでき、あなたのシステムから最高のものを得るための大量の文書があり、喜んで助けたいと思っている開発者たちの気持ちのよいコミュニティが生まれている。
 MTは非営利使用では無料だが、サーバーと、ドメイン名が必要だろう(※独自サーバー、独自ドメイン名がなくてもレンタルサーバーで大丈夫です)。サーバー代として月約10ポンド、ドメイン名の価格は異なるが、.comアドレスは最初の1年で30ポンドくらい。もしインストールが難しそうなら、Six Apartが40ドル(23ポンド)で代行設置してくれる。一度稼働すれば、現時点で稼働している最も強力で最適化されたウェブログシステムを手に入れることになる。しかし、多少基本的な技術力が必要となるだろう(あるいはそれを学びたいと思うことだろう)。(by Ben Hammersley)

Radio Userland

 ブログソフトの最大の問題は、その多くが初心者ウェブユーザーには難しすぎるという単純な点にある――プログラミング技術や、htmlの知識が充分にない上級コンピューター・ユーザーも含めて。
 UserlandのRadioブログソフトで、技術音痴でも基本的できれいにデザインされたブログを立ち上げて稼働させることがすぐにできる。私は、BloggerとMovable Typeは、それを使うにはつまらないと感じていた。これらを理解しようとして時間を費やすには、人生は短すぎる。しかし、Radioは私を楽しませ、設定は楽であった。もちろん、あなたが私よりもコンピューター技能を持っているなら、そしてあなたのブログのいじりかたについてもっとよく知っているなら、あなたのサイトはもっとよくできる。
 年に39.95ドル(23ポンド)でこのソフトとホスティングと広範なブログデザイン・テンプレートが手に入る。登録記事を公表するのにRadioは非常に単純なインターフェースを有している――箱に記入してブログに送るだけだ。 Radioのアグリゲーター機能はすばらしく、数百のサイトを登録して、それから1クリックでそこから記事を投稿することができる。Radioの欠点は、望まない読者コメントを編集したり削除したりできず、解説は非公式であり、FAQや使い方については技術的なことについてよく知っている人を想定してしまっているということである。(by Karlin Lillington)

LiveJournal

 LiveJournalはブログシステムの中で最もコミュニティ指向である。コメントを完全にオフにしてしまったり、投稿できる人を制限したりはできるけれども、デフォルト設定ではだれもがあなたの投稿にコメントをつけることができ、多くの人が投稿するコミュニティ・ジャーナルが存在する。
 LiveJournalには「友人」システムがあって、多くのLiveJournalアカウントや興味のあるRSS配給サイトを選択すると、一つのページに集めてきて読むことができる。友達システムを使って、特定の投稿を読んだり投稿したりする人を制限することもできる。
 LiveJournalは中心サイトから稼働していて、そこであなたの日記に投稿したり、スタイルをカスタマイズしたり、自分のどの情報を公開するかという選択を管理する。あなたの日記は、他のシステムを使っている人のためのRSS出力があり、これを自分のウェブサイトに埋め込むことができる(http://www.sandm.co.uk/mary/comjournm/comjournm.htmlはその一例)。ウェブサイトから投稿するだけでなく、Windows、Mac、PDA、携帯電話用のLiveJournalソフトがある。電子メールからでも投稿できるし、音声投稿では電話からでも可能だ(今のところは合衆国電話番号のみ)。
 http://www.livejournal.com/create.bml に行けばアカウントを作成できる。機能の少ない無料アカウントと、年間25ドル(15ポンド)の有料アカウントがある。LiveJournalでは、投稿をカテゴリー分けするにはあまり選択肢がなく、時系列順でしか見ることができない。しかし、これは単純明快で、他のブロガーとすぐにつながることができる。(by Mary Branscombe)

20Six

 20Sixは最近市場に登場したBloggerライクなものの一つである。技術的には、これは非常に進んでいる。決め手となる機能としては、SMS(ショート・メッセージ・サービス)やMMS(マルチメディア・メッセージ・サービス)によって携帯電話から写真を送れるというものがある。また、ホスティングとして10メガバイト使えるが、テキストブログには多いくらいだろう。
 現在サービスは無料であるが、ずっとというわけではないという。「現時点では20 sixのすべてのサービスは無料です。しかし、ずっとということはありません。いつ、どのサービスがいくらの料金制になるかは未定です。今のところ、できるだけ多くの人たちをブログの世界に導き入れることに専念しています」
 機能はよく、その結果できるウェブログは完全に機能する。しかし、何かが欠けている。特に実際にエントリーを造ろうとするときに、サイトデザインがわかりづらく、個人発行システムとしてよく考えられたものというよりは、子供向けにカッコイイものとして全体が見える。(あつかましいティーンエージャーのクリップアート写真は、銀行の学生向け広告のように見える)
 にもかかわらず、ここにはいくつかの本当に素敵な機能もあるし、ちゃんとしたサービスを提供するために充分な比率となるスタッフがいる。注目する価値があり、多分、使う価値もあるだろう。(by Ben Hammersley)

b2/Wordpress

 b2Wordpressの難解さは困るほどである。このシステムを使っているウェブログは千前後しかなく(Wordpressはbsの後継)、それは有名なソフトウェアの数としてはあまりにも少ない。
 Movable Typeのように、Wordpressは自分のサーバーが必要である。それはPHPとMySQLがインストールされていなければならないが、これは嬉しいことに通常は標準だ(※日本ではまだ標準的ではない)。そして、このためにおそらく、本当に必要としている人たちのためだけのものといえる。しかし、一旦小さなハードルを越えると、ユーザーに対して非常にきれいでプロフェッショナルなシステムを提供してくれる。
 WordPressと他の類似の上級ユーザーシステムのあいだで最も違っているのは、Wordpressは読者が必要とする時に直接ページを生成するということである。通常、ブログツールは新しいエントリーを登録されると、サーバーに固定ファイルとしてページを保存する。しかし、Wordpressはデータベースからその場その場でページを作る。
 これは、全サイトを再構築しなくてもテンプレートを変更するとすぐに見られるということである。もしあなたのウェブログが数千に及ぶ記事を有しているなら、ものすごく有用な機能となるだろう。
 それ以外に、TypePad のように、Wordpressは美しい標準準拠コードを生成する。ダウンロードと使用は無料で、活発な開発グループがある。Movable Typeプラグイン提供のような機能はないが、一見の価値はある。(by Ben Hammersley)

Blosxom

 もしウェブログ・アプリケーションが宗教的指導者だったら、Blosxom(ブロッサムと発音してください)は仏陀であろう。技術的純正主義者のためのものであるBlosxomは、Perlで150行以下で書かれており、データベースとしてサーバーのファイルシステムを使い、静的・動的生成をこなし、完全なプラグインAPIを提供している。
 もしこの文の意味がわからなかったら、Blosxomはおそらくあなたのためのものではない。もしわかるようなら、一見に値する。お好みのテキストエディタを使って投稿を書き、タイトルを1行目に載せておく。それからサーバーにアップロードすれば、Blosxomスクリプトがそれを整形してブログに表示してくれる。FTPかWebDAVかSSHでサーバーにアップロードすればいいし、それはコマンドラインからできる。Blosxomはテキストファイルがどのようにして送られてこようと気にしない。
 それだけ? そう。もちろん、自分のサーバーは必要だし、Perlがセットアップされていなければならない。Movable Typeと同様、Blosxomはプラグイン構造であり、追加機能はどんどん増え続けている
 Blosxomは、あなたがプログラムオタクならすばらしいだろう。しかし、平均的なユーザーにとってはあまりにもミニマリストすぎるように思えるだろう。もっとも、Perlスクリプトで遊ぶのが楽しい人なら、これはいいものだ。(by Ben Hammersley)

iBlog

 洗練されていて如才ないが、iBlogがマックユーザーだけのものであることは明々白々である。ほとんどのブログツールと違って、iBlogはデスクトップで稼働し、大規模に、勇ましく、美しく、Apple標準のiAppsに統合されている。
 すべてをなめらかに行なうのが好きなブロガーにとって、iBlogはいいものだ。自分のサーバーもいらない。Appleのリモートストレージ&バックアップサービスである「.Mac」に登録するのは悪い考えではない。実際、.Mac が11月24日までは無料でやっていた。
 だから、洗練されていて、統合化されており、使いやすい。オーケー、では何が良くないのか? まあ、 iBlog の結果としてできたサイトは非常にきれいであるが、サーバーベースの製品と同じ機能がない。他の第3者のサービスを使わなければコメントもトラックバックもできないし、テンプレートをカスタマイズすることもできない。サーバー上でスクリプトを走らせる必要がある機能は搭載できないし、長ったらしい迂回がなければ、ブログでのあなた自身のurlを示すこともできない。
 また、これは非常に高い。単独ユーザーライセンスは19.99ドル(12ポンド)で、.Macには年額68.99ポンド必要である。それはMovable Typeのためのサーバースペースを借りたり、TypePad基本コースに入るのと変わらない。(by Ben Hammersley)


●その他参考になるリンク集 ◎ARTIFACT -人工事実- | Weblog/blog/ブログ ツールリスト 必見。
◎StarChartWiki ウェブログツールリスト
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