実用的文章の特質
- 幸田露伴『普通文章論』第7回
さて、今これから実用的文章がどういうものであるべきかということを説き、続いて、実用的文章はいかにして書くべきかを説こう。
実用的文章というものは、まず第一にその特質として、書かれるべき必要があって書かれるものなのである。
詩歌・小説の類の芸術的文章は、書かれるべき必要があって書かれるというよりは、むしろ作り出そうという希望があってから作り出されるといってもいい。あるいはまた清水がわき出たりとかするように自然に作り出されるものであるといってもよいものである。
しかし、実用的文章はそうではない。まずその文章の上に書かれるべき事柄があって、それから書かれるものである。自然に流出するものでもなければ、一つ文章を作ってみようという好事に近い願望から作られるものでもない。知らせようと思うある事情があるとか、論じようと思うある理屈があるとか、あるいはまた訴えよう、勧めようと思うある事柄があって、そして書き出されるのが実用的文章である。
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