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==性差別主義におけるショーヴィニズム== | ==性差別主義におけるショーヴィニズム== |
2010年3月2日 (火) 10:48時点における最新版
ショーヴィニズム(Chauvinism、ショーヴィニスム、ショービニズム、ショービニスム[1])は、原義ならびに主要な意味としては、過大に好戦的な愛国心、自国の優越と栄光・尊厳への盲目的信仰を意味する[2]。
拡張された意味合いとして、自らの属するグループのための極端で理不尽な党派行動、特にその党派行動が敵対グループに対する悪意と憎悪を含む場合を指すようになってきている。日本ではこの言葉は「排外主義」と訳されているが、これはショーヴィニズムの限定的な一面であり、本来の用法はもう少し広いと考えられる。ジンゴイズム(好戦的愛国主義、主戦論)は、フランス語起源のショーヴィニズムに対応する英語の言葉である[2]。
英語圏では、この用語はmale chauvinim(男性優越主義)として使われることが多い。
語源
この言葉は、ナポレオン・ボナパルト麾下の伝説的な兵士ニコラ・ショーヴァン(Nicolas Chauvin)に由来する。この人物は、フランス革命とナポレオン戦争(1789-1815)に従軍したとされるが、最近の研究では実在しなかったとされている。
1815年からの王政復古フランスではボナパルティズムは人気がなかったにもかかわらず、ショーヴァンは熱狂的な支援者であり、襟の折り返しには退位させられた皇帝の象徴であるスミレを着けていたという。伝説によれば、貧しく、無力で、批判を浴びたにもかかわらず、熱狂的な忠誠を保ち続けたという。
多くの作家や歴史家が誤って、他のボナパルティストの事跡をショーヴァンのものとしている。ワーテルローの戦いでは親衛隊(Old Guard)をつとめたとされるが、その年齢と障害の重さを考えると、ありえる話ではない。親衛隊が包囲され、ラ・ベル・アリアンスで最後の陣を構築したとき、名誉ある降伏を呼びかけられたのに対して、ショーヴァンは反抗的に叫んだ。「親衛隊は死すとも降伏せず!(La Garde meurt mais ne se rend pas)」と。これは、自国(あるいは言及された集団)に対して疑問の余地なく盲目的に熱狂的傾倒していることを示している。この典拠のあやしい言葉は、実際には親衛隊司令官ピエール・カンブロンヌによるものとされるが、カンブロンヌが実際に発した回答は「Merde!(くそったれ!)」であったという。[3]
この起源と初期の用法は、「chauvinisme」という言葉が過剰な愛国心を記述するために作り出されたことを示しており、もともとのフランス語ではそのように使われ続けている。この用語は、Cogniard兄弟によるヴォードヴィル喜劇「三色旗帽章(La cocarde tricolore)」(1831)で人口に膾炙するようになった。[2]
過剰な愛国心としてのショーヴィニズム
「The Review of Politics 7.4,」誌(1945年10月号)p.457の「帝国主義、ナショナリズム、ショーヴィニズム("Imperialism, Nationalism, Chauvinism")」で、ハンナ・アーレントはこの概念を以下のように規定している。
「国家の使命」という古い考えから直接生まれ出たという意味において、ショーヴィニズムはおおよそ、国家という概念の自然な産物である。…… 「国家の使命」とは、「国家の使命」というものがなければ歴史から取り残されかねなかった比較的不幸な民族に光をもたらすもの、と解釈するのが正確であろう。この概念がショーヴィニズムというイデオロギーに発展せず、国家の領域やナショナリズム的プライドさえも比較的漠然としたものにとどまっている限りにおいては、それは取り残された人々の福利に対する責任という高い意識をもたらすことが多かった。
性差別主義におけるショーヴィニズム
Male chauvinism(男性優越主義)は、男性が女性より優れているという信念を記述するために使われる用語である。この用語は、女性は男性より劣るという信念あるいは態度を示したり、下位のものとして女性に語りかけたり、性別のみに基づいて女性を否定的に扱ったりする男性について記述するために、1960年代のフェミニズム運動において広く用いられた[4]。Female chauvinism(女性優越思想)は、女性が男性より優れているという対照的な態度を記述するために使われることはあまりなかった。
「female chauvinism(女性優越主義)」は、フェミニズムのあるタイプあるいは側面を批判する者によって使われた。指導的な第二波フェミニストであるベティ・フリーダン(Betty Friedan)はその典型例である[5]。これらの批評家はたとえば、すべての男性は妥協できないレイプ犯であり、妻を叩く畜生であり、女性のパートナーや子供の父親としては役立たずである、という一部のジェンダー・フェミニストの視点を論ずる[6]。
アリエル・レヴィー(Ariel Levy)は自著「Female Chauvinist Pigs(女性優越主義のブタども)」で、この言葉を別の意味で用いている。アメリカの多くの若い女性は男性優越主義と性差別主義ステレオタイプを複製し続けていると述べている[7]。
参照・注
- ↑ Wikipedia英語版では/ˈʃoʊvɨnɪzəm/と発音すると記されており、これに従えば「ショーヴィニズム」が最も近い表記となる。日本語ではヴィ/ビ、ズ/スのそれぞれの組み合わせによる表記がありえるが、2009年現在、Wikipedia日本語版では「ショービニスム」が採用されており、他の辞書でもショービニスム表記が採用されている。ここでは、まだ定着していない言葉であると判断し、原語の発音を採用してショーヴィニズムで項目立てする。
- ↑ 2.0 2.1 2.2 Oxford English Dictionary
- ↑ Paul F. Boller, Jr. and John George, "They Never Said It: A Book of Fake Quotes, Misquotes, and Misleading Attributions", 1989, Oxford University Press, New York
- ↑ Web Dictionary definition of 'male chauvinism'
- ↑ 「もし私が男であったなら、私は、女性が一つの階級として道徳的・精神的に何らかの優越性を持っている、という考え方には、強く反対するだろう。これこそが……female chauvinism(女性優越主義)である」 Friedan, Betty. 1998. It Changed My Life: Writings on the Women's Movement. Harvard University Press
- ↑ Wendy McElroy, Sexual Correctness: The Gender-Feminist Attack on Women; Guests: Camille Paglia & Christina Hoff Sommers Has Feminism Gone Too Far? Think Tank With Ben Wattenberg - aired: 4 Nov 1994
- ↑ Ariel Levy Female Chauvinist Pigs: Women and the Rise of Raunch Culture, 2006
※このページは、Chauvinism - Wikipedia, the free encyclopedia 2009年8月19日版をもとに翻訳したものを土台とし、独自の編集を加えたものである。