良かった。病気の子供はいないんだ。
良かった。病気の子供はいないんだ。は、1998年の「ジョニー・ウォーカー 黒ラベル」CMにて印象的に用いられたフレーズである。騙されたにもかかわらず、不幸な人がいなかったことを喜ぶハートフルな返し方である。
このフレーズの元ネタは、プロゴルファーであるロベルト・デビセンゾ(Roberto De Vicenzo)のエピソードとして伝えられる小話である。
ジョニー・ウォーカー 黒ラベルCM
ユナイテッドディスティラーズジャパンの「ジョニー・ウォーカー 黒ラベル」1998年CMにて用いられた。コピーライターは阿部洋一郎氏[1]、神保悟志ほか出演。
S:この町には、ふたつのタイプの人がいる。
S:嘘をつく人と、つかれる人。
男A:よぉ、だまされたな。
今の人、病気の子供がいるって言ってただろ、
ありゃ、嘘なんだ。
S:すると友人は、微笑んだ。
男B:…良かった。
病気の子供はいないんだ。
S:深いところに灯がともった。
S+N:深くひろがる、まろやかさ。
ジョニーウォーカー黒ラベル
ロベルト・デ・ビセンゾ
ロベルト・デ・ビセンゾ(Roberto De Vicenzo、ビ「ン」センゾ/ビ「ン」センツォではない)は、元プロゴルファーである。1923年4月14日アルゼンチン・ブエノスアイレス生まれ。世界230以上のトーナメントで優勝し、その中にはPGAツアーで6回、1967年の全英オープンがある。
デ・ビセンゾは1968年のマスターズ・トーナメントでの不幸が有名である。パー4の第17ホールで、ロベルト・デ・ビセンゾはバーディーであったが、パートナーであったトミー・アーロン(Tommy Aaron)がうっかり3ではなく4とスコアに記入し、それを確認しないままサインしてしまったために、その数字で確定してしまった。このミスがなければボブ・ゴールビー(Bob Goalby)と同打数首位となっており、翌日18ホールのプレーオフに進んでいたはずだった。これに対して、後で「俺はなんてバカなんだ!(What a stupid I am!)」と言ったと報じられた。
彼の逸話としてこのようなものが流布されている。ただし、これは原文でもDe VicenzoではなくDe Vincenzoと表記されている。デ・ビンセンゾというゴルファーはいないので、デ・ビセンゾの名前をもじった創作小話であるということを暗に示しているのだと思われる。[2]。
アルゼンチンのゴルファー、ロベルト・デ・ビンセンゾはあるとき、トーナメントで優勝し、賞金の小切手を受け取ってカメラの前で笑顔を振りまいてから、クラブハウスへ行って帰る準備をした。それから一人で駐車場に歩いて行くと、若い女性が近寄ってきた。
女は「優勝おめでとうございます」と言い、それから「子供が重い病気で死にかけています。でも診察代や治療費を払えるかどうかわからないんです」と訴えた。
デ・ビンセンゾはその話に心を動かされ、ペンをとって優勝賞金の小切手がその女に支払われるよう裏書きした。それから、「少しでも赤ちゃんの役に立てば」と言って小切手を手に握らせた。
翌週、カントリークラブで昼食をとっていると、全米プロゴルフ協会の役員がテーブルにやってきた。「先週、駐車場にいた人たちから聞いたんだが、君がトーナメントに勝った後、そこに若い女がきたそうだね」。デ・ビンセンゾはうなずいた。役員は言う。「でね、伝えないといけないことがある。あの女は詐欺師だ。病気の赤ちゃんなどいない。結婚すらしていないんだ。君から巻き上げたんだよ」。
「死にかけている赤ちゃんはいないってことですか?」
「そうだ」
「それは今週聞いた中で一番いい知らせですよ」
参照
- ↑ TCC年鑑 コピー検索システム
- ↑ 原文は以下のとおり。
Robert De Vincenzo, the great Argentine golfer, once won a tournament and, after receiving the check and smiling for the cameras, he went to the clubhouse and prepared to leave. Some time later, he walked alone to his car in the parking lot and was approached by a young woman.
She congratulated him on his victory and then told him that her child was seriously ill and near death. She did not know how she could pay the doctor’s bills and hospital expenses.
De Vincenzo was touched by her story, and he took out a pen and endorsed his winning check for payment to the woman. "Make some good days for the baby," he said as he pressed the check into her hand.
The next week he was having lunch in a country club when a Professional Golf Association official came to his table. "Some of the boys in the parking lot last week told me you met a young woman there after you won that tournament." De Vincenzo nodded. "Well," said the official, "I have news for you. She’s a phony. She has no sick baby. She’s not even married. She fleeced you, my friend."
"You mean there is no baby who is dying?" said De Vincenzo.
"That’s right," said the official.
"That’s the best good news I’ve heard all week." De Vincenzo said.