ことのは
提供: 閾ペディアことのは
ナビゲーションに移動検索に移動ことのはは、「言葉」を意味する古語である。
辞書による定義
以下、広辞苑による定義である。
こと‐ば【言葉・詞・辞】
- 意味を表すために、口で言ったり字に書いたりするもの。語。言語。竹取「うち泣きて書く―は」。「やさしい―に言い替える」「日本の―」
- 物の言いかた。口ぶり。語気。浄、凱陣八島「少し―の弱りたる折を見て」。「―を和らげる」
- 言語による表現。古今序「その心あまりて―足らず」。「―を飾る」「あいさつの―」
- 言葉のあや。事実以上に誇張した表現。狂、箕被(みかずき)「塵を結んでと言うたは―でござる」
- 文芸表現としての言語。詩歌、特に和歌など。「―の道」
- 謡い物・語り物で、ふしのつかない部分。また、歌集などで、歌以外の散文の部分。
- 物語などで、地の文に対して会話の部分。
こと‐の‐は【言の葉】
- ことば。古今恋「思ふてふ―のみぞ秋をへて色もかはらぬ」
- 和歌。源桐壺「やまと―をも」
由来
以下、言葉(ことば) - 語源由来辞典からの引用である。
- 言葉の語源は、「言(こと)」+「端(は)」の複合語である。
- 古く、言語を表す語は「言(こと)」が一般的で、「ことば」という語は少なかった。「言(こと)」には「事」と同じ意味があり、「言(こと)」は事実にもなり得る重い意味を持つようになった。
- そこから、「言(こと)」に事実を伴なわない口先だけの軽い意味を持たせようとし、「端(は)」を加えて「ことば」になったと考えられる。
- 奈良時代の『万葉集』では「言葉」「言羽」「辞」の三種類の文字が使われ、「言羽」も軽い物言いを表現しているといえる。
- 平安時代の『古今和歌集』や『土佐日記』では平仮名の「ことば」、『枕草子』では「詞」が使われ、室町時代の『徒然草』では「言葉」が使われている。
- 複数ある「ことば」の中で「言葉」が残った理由として、『古今和歌集』仮名序の「やまとうたは ひとのこころをたねとして よろづのことの葉とぞなりける」でうまく表現されているとおり、「葉」はたくさんの意味で豊かさを表すためと考えられる。「言の葉」が多く用いられていくのに並行し、「ことば」にも「言の葉」の意味が含まれるようになり、「言葉」は言語を意味する最も一般的な語として定着した。
ことのはを含む和歌
いつはりのなき世なりせばいかばかり人のことのはうれしからまし(古今集 紀貫之)