比喩
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ナビゲーションに移動検索に移動比喩(ひゆ)は、物事の表現においてイメージしやすい別のものになぞらえて表現することである。
西洋の古典的レトリック用語では、修辞技法には「転義(trope)」と「転形(scheme)」の二大分野があるが、このうち「転義」が「比喩」に該当する。
比喩の種類
主要な比喩には以下の4種類がある。
- 直喩:比喩であることを明らかにした形で表現する。
- 隠喩:比喩であることを明示せずに表現する。
- 換喩:関連・近接・隣接していることがらで言い換える。
- 提喩:ある一部分で全体を表わす。または、全体を指す言葉で一部を指す。包含関係にある。
また、語・句・文単位ではなく、物語全体でたとえるものを寓喩という。
直喩
直喩(シミリ、Simile)は、「まるで~のようだ」「~のごとく」「あたかも」「さながら」など、たとえであることを明示する表現を伴う比喩である。
- 借りてきたネコのようにおとなしい。
- まるで高速電車のようにあたしたちは擦れ違う
- 海のように深い愛情を注ぐ
隠喩
隠喩(メタファー、metaphor)は、たとえであることを明示する表現を伴わない比喩である。隠喩の典型例として「○○は××だ」形式の文が挙げられる。本来の語義で解釈すると意味が通じないことから、比喩であることが判明する。
- 人生は旅だ
- 彼女は現代のナイチンゲールだ
- 男はオオカミなのよ
- 愛はかげろう
直喩と違って「ように」「まるで」などの表現を伴わないため、比喩であることがわかりにくい場合もある。これらの隠喩に「ようだ」を含めると、「人生はまるで旅のようだ」のように直喩になる。
換喩
換喩(メトニミー、metonymy)は、近接・隣接した概念によって言い換えるものである。一部の特徴的なことからイメージを引き出す。
- やかんが沸いた。(※実際にはやかんに入っている水が沸いている)
- 公園から笛が聞こえる。(※笛の音が聞こえる)
- 赤帽に荷物を運んでもらう(※赤い帽子がトレードマークの運送業者)
- 当店では長髪・茶髪・ピアスは雇いません。(※長髪・茶髪の人、ピアスをした人)
- 永田町と霞ヶ関が対立している。(※永田町=政界、霞ヶ関=官僚。国会や官庁街の場所で言い換えている)
- 稲荷寿司(※稲荷神の使いであるキツネの好物とされる油揚げを使った寿司)
- ちょっと耳を貸して(※物質的な耳ではなく「聞くこと」を意味する)
メトニミーの語源はギリシャ語μετωνυμία(メトーニュミア)「名前の変換」である。
提喩
提喩(シネクドキ、synecdoche)は、上位概念で下位概念を、あるいは下位概念で上位概念を言い換えるものである。これは部分によって全体を、全体によって部分を表わす場合も含まれる。
- コンサート会場に足を運ぶ(※「足」という部分で「体全体=自分」という全体を表わす)
- 人はパンのみにて生きるにあらず(※「パン」という部分/下位概念で「食べ物」あるいは「衣食住に必要な物質的なもの」という全体/上位概念を代表している)
- 花見の季節になった(※「花」という全体/上位概念だが、限定的に「桜の花」という部分/下位概念を表わしている)
シネクドキの語源はギリシャ語συνεκδοχή(シュネクドケー)「部分を全体と理解したり、全体を部分と理解したりすること」である。
提喩を換喩と同じあるいはその下位分類とする見解もある。