フォトンベルト神話を打ち砕く

出典: 閾ペディアことのは

プレアデスの事実と虚構――フォトンベルト神話を打ち砕くThe Pleiades in Fact & Fiction -- Exploding the myth of the Photon Belt)』は、『フォトンベルト物語』が「ネクサス」誌に掲載されてから1年半後に発表された反論である。著者はクレア・ウィリアムス(Clare Williams)である。

これは『フォトンベルト物語』の誤りや矛盾点を正確に描き出している非常によい文章であると考えられる。以下、全訳して掲載する。

プレアデスの事実と虚構――フォトンベルト神話を打ち砕く

  • By クレア・ウィリアムス(Clare Williams)
  • UFORIC Communique 1992年10月号掲載

ネクサスマガジンの熱心な読者なら、「フォトンベルト物語」という記事が1991年2月号に掲載されたことを覚えているでしょう。

私は楽しんでその記事を読み、冗談として一笑に付したのですが、たくさんの人たちがこの記事を真剣に受け取って、何やら心配をしているようです。

この話はロマンチックかもしれませんが、まるで事実に基づいていないと言わざるをえません。これはおうし座(金牛宮)のプレアデス星団にまつわる現代の神話になったようですが、現代の科学知識とは反するものです。この神話は、疑似科学、宇宙存在と名乗る者からのチャネリング・メッセージ、聖書予言、無知、言いっぱなしが組み合わさってできあがったように思われます。学会への一般的な不信、科学的思考の誤った解釈によって焚きつけられています。

おそらくは一人の大学生のいたずらとして始まった物語によってこんなに多くの人たちがとらわれているのは、残念ながら、この社会の科学教育の程度を反映しているのです。


この記事を読まなかった読者のために、手短にまとめると以下のとおりです。


1961年、人工衛星に備え付けられていた装置が外宇宙にフォトンベルトを発見した。このフォトンベルトあるいはマナシック・リング(Manasic Ring)は、科学者が研究室で再現できないものであるが、プレアデスを取り囲み、太陽系まで400光年の長さで伸びている。ホセ・コマス・ソラという人物の言葉の引用によると、太陽はこの星系の軌道上にあり、この星系の星はすべて惑星を従えているという。太陽はこの星系を2万4000年かけて一周する。この間に地球は1万年の闇の時代と、2000年のフォトンベルトの光の時代をすごす。今、まもなくフォトンベルトに突入しようとしており、その上、人類は「瞬く間に」大気型存在(Atmosphereans)となり、夜は存在しなくなる。
記事に添えられた図はプレアデスの6つの星メローペ、アトラス、マヤ、タイゲタ、エレクトラ、セレノと太陽が、プレアデスに属するアルキオネをめぐる軌道上にあり、フォトンベルトに囲まれているというものである。


この物語について何人かの人から質問を受けましたので、事実と虚構を分別し、この記事の起源を追跡することにしました。

この記事は、オーストラリアUFO空飛ぶ円盤研究誌(Australian UFO Flying Saucer Research Magazine)に載った記事の再録でした。電話番号も添えられていました。その電話番号は、サウスオーストラリアの有名なUFO研究家のものでした。そして、その話は当時彼のグループのメンバーだった一人の大学生によって書かれたものだというのです。この学生は今は有名な核施設の物理学者となっているようです。しかし、このUFO研究家は、この学生がどこで情報を得たのかについてははっきりせず、ストロモ山天文台の天文学者とともにその話を確かめようとしたといいます。どの内容が実際に確認されたかはよくわかりませんでした。

幸い、名前の上がった天文学者を知っていたので、会いに行きました。その研究者と話をしたことはぼんやりと覚えているようでしたが、会話の内容の詳細を正確には覚えていませんでした。フォトンベルトの存在を確認したことはなかったが、プレアデスそのものについての話はしたかもしれない、と言うのです。ストロモ山はこれまでフォトンベルトについての質問を受けてきたが、私と同様、これはまったくの冗談だと受け止めている、ということです。

では、何が事実で何が虚構なのでしょう? まず最初に、1961年の人工衛星がここに書かれているようなフォトンバンドを検出するだけの装置を搭載していたという証拠をまったく発見できませんでした。その時代の人工衛星は、今の基準で言えばまったく粗雑なものであって、主にラジオ波長による遠距離通信用でした。

次世代の人工衛星や探索機はもっと精巧な機器を積んでおり、フォトンベルトも検出する能力があるはずですが、そのようなことはまったく報告されていません。これは科学者が秘密を隠しているというような話ではなく、単純に、今まで検出されなかったということなのです。

私が受け取った他の情報によれば、このフォトンベルトに先行して、電磁気のヌル・ゾーンがやってくるということになっています。このゾーンは、完全に電磁場の存在しないエネルギー的な真空であるといわれています。このヌル・ゾーンがもし存在したならば、近年の宇宙のマイクロ波背景放射に関する数々の調査で出てきたことでしょう。この背景放射が全天に均等に広がっていることは注目に値します。つまり、電磁気ヌル・ゾーンは存在しないのです。

また、フォトンベルトは「マナシック・リング」とも呼ばれ、「研究室での実験では再現できなかった現象」だといいます。「manasic」という単語の意味がよくわかりません[1]。mana(マナ)という単語から来たのでしょうか[2]。これが研究室で再現できなかったとしても驚くべきことではありません。だれもマナとは何か知らないし、辞書の定義でも「神秘的な力」としかありませんから。

それから、プレアデスそのものです。ホセ・コマス・ソラとは誰だかわかりませんが、間違ったことを引用したのか、引用するときに間違ったのか、どちらかです。太陽はプレアデス星系の一部ではありませんし、その軌道がプレアデスを2万4000年かけて周回しているということもありません。

プレアデスは太陽系から125パーセク=407.5光年のところにあります。太陽がこの軌道上にあるとして簡単に計算してみると、その軌道の速度は0.107Cつまり光の速さの10分の1以上のスピードとなります。これはおよそ秒速3万2000kmとなります。この速度がもし本当であったならば、天文学者だけでなくだれの目にも、生きている間に、空の星座が見た目にも劇的に変化していくことになるでしょう。

プレアデスはおよそ100の恒星のゆるやかな集まりで、その平均年齢はおよそ7800万年です。これは非常に若い星々です。50億歳と見積られるわが太陽よりもずっと若く、この惑星・地球よりもはるかに若いのです。

この星々はスペクトル・タイプBの非常に熱く明るい星であり、スペクトル・タイプGの太陽よりも10倍になります。この星々は星間ガス雲、星雲から生まれ、まだそこから遠ざかっていません。星雲の名残は星団の写真に見ることができます。このもやのような星雲状態は、内部の星の光で輝いており、これがフォトンベルト神話を生み出したものではないかと思われます。

この星々の固有の動きや、宇宙での進路の研究では、これが拡散過程にあることがわかっています。図解で描かれているように、この星々がアルキオネの周囲を巡っているということはありません。また、これらの星々のいずれにも惑星があるという証拠はまったくないといわざるを得ないのです。いくつかの星には惑星系があるかもしれません。しかし、これらの星は非常に若いもおであり、惑星ができるには星ができるよりもずと長い期間がかかるということは忘れてはならないことです。生命が存在しうる惑星がそこに育つだけの時間はなさそうです。7800万年というのは、宇宙論や地質学的なタイムスケールからいえば、非常に短い期間です。

この惑星が闇から出て光の中に入るということを考えると非常に楽しいけれども、夜行性動物はそうじゃないだろうなと思います。わたしたち一人ひとりが自分で悟りを求めるほうがずっといいことです。この悟りは、外部からの力によって果たされることはありえません。プレアデスからのフォトンの大洪水はこの惑星を救うわけでもなく、その惑星の住民を悟った大気型人類に変えることもないでしょう。自分の問題は自分で解決する必要があるのです。

訳注

  1. 「manasic」……リーダーズプラス英和辞典によると、manasは「【ヒンドゥー教・仏教】意《心の思量するはたらき》」とあり、その形容詞形がmanasicである。したがって「マナ」に由来するわけではない。
  2. マナ【mana】(メラネシアの土語で、「打ち勝つ」「勢力ある」などの意) メラネシアを始め広く太平洋諸島に見られる非人格的・超自然的な力の観念。精霊・人・生物・無生物・器物などあらゆるものに付帯し、強い転移性や伝染性がある。また、この観念に宗教の起源を求める学説をアニマティズムあるいはマナイズムという。(広辞苑)

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