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2007年12月1日 (土) 00:01時点における最新版

河内国(かふちのくに)。称徳天皇の神護景雲三年(769)に国を改めて河内職とし、光仁天皇の宝亀元年(770)に職を改めて国に復した。この国は五畿内の一であって、東は大和国、西は摂津国和泉国、南は紀伊国、北は山城国に接し、東西およそ4里、南北およそ13里ある。

この国は、むかし国府を志紀郡に置き、錦部・石川・古市・安宿・大県・高安・河内・讃良・茨田・交野・若江・渋川・志紀・丹比の14郡を管轄し、延喜の制で大国に列する。後、丹比を分けて丹南・丹北とし、また新たに八上郡を置いたが、明治維新の後、交野・讃良・茨田の三郡を合併して北河内郡とし、若江・河内・高安・大県・渋川・丹北の六郡と志紀郡の一部を合併して中河内郡とし、安宿・八上・古市・石川・錦部・丹南の六郡と志紀郡の一部を合併して南河内郡とし、大阪府に治めさせた。

国名

古事記伝

凡河内国造、すなわち河内国である。和名抄に河内(カフチ)とあり(カハウチのハウを縮めてフである。今、カハチというのは訛りである)、凡は書紀安閑巻・推古巻などに「大河内」とも書いて、大の意味である。名義は、倭の京から見て山代大河(淀川)のこちら側にある国だからである。もとは大河内と言ったのを、諸国名は必ず二字と定められてから大を除いたのであろう。さて、大と書かずに凡と書くのは、オホと言わずにオフシと言い習わしたためである。凡の仮字は、和名抄の郷名(丹波国加佐郡)に凡海をオフシアマとあるとおりである。

倭訓栞

かふち 河内を呼んだもの。「はう」が「ふ」になった。もと凡河内という。国に名付けたのは、大河が西北にあることから名付けたのであり、皇都が大和にあったころから言う。今「かはち」という。万葉集には、川の行き巡るところをいう。今も村里の名前に呼ぶところがある。滝津河内は吉野である。

諸国名義考

河内 和名抄に「河内(カフチ、国府は志紀郡にあり)」、古事記と国造本紀には大河内とある。姓氏録には凡河内(オホシカフチ)という氏もある。名義は古事記伝に「倭の京から見て山代大河(淀川)のこちら側にある国だからである。もとは大河内と言ったのを、諸国名は必ず二字と定められてから大を除いたのであろう」云々と有り、この意味であろう。万葉集に滝津河内云々と詠んでいるのも、川のこちら側をいっている。河内志に、「皇都が和州にあり、大河が州の西北をめぐれるをもってのゆえの名」とある。大河も山城の淀川であろう。日本書紀仁徳天皇11年の紀に、河内国茨田堤を作られたことが見え、延喜神名式に河内国茨田郡堤根神社などあり、姓氏録河内皇別に「茨田宿禰、彦八井耳命の後、男 野見宿禰、仁徳天皇御代茨田堤を造り、また仁明天皇嘉祥元年、茨田堤を築かしむ」とある。(中略)川にちなむ国名であることは疑いない。

建置沿革

  • 橿原朝(神武)御代、彦已曽保利命をもって凡河内国造となす
  • 反正天皇、丹比に都を置く。丹北郡松原荘植田村
  • 大化二年正月、初めて国司を置く。
  • 元正天皇、凡の字を取る。
  • 霊亀二年三月、和泉・日根二郡を割いて珍努宮に供させる。
  • 霊亀二年四月、大鳥・和泉・日根3郡を割いて初めて和泉監を置く。
  • 神護景雲三年十月、詔して由義宮を西京となし、河内国を河内職とする。
  • 神護景雲四年八月、河内職を元に戻して河内国とする。
  • 桓武天皇が長岡京に遷都し、その南郊の交野に郊祀壇を置いて天神を祀る。
  • 南北朝には南朝に属し、楠氏が守る。
  • 元中末、将軍足利義満が畠山義深に攻め取らせ、河内・大和の守護とする。
  • 義深の子の基国は国内の和田・隅屋・甲斐荘をくだし、古市郡高屋城にて治め、遊佐氏を守護代とする。
  • 基国の孫・持国の子、政長・義就は兄弟で争い、子孫互いに争う。政長の孫の稙長がついに河内を取る。
  • その後、高政に至り、永禄三年、三好長慶と戦って落城、長慶はその地を併せて飯盛城に入る。
  • 永禄十一年、織田信長が地を分けて、高政と、長慶の嗣子・義継に賜う。
  • 後、二氏とも滅び、豊臣氏は諸城を廃して、摂津から兼治。
  • 徳川氏の時、封を受ける者は丹南(高木正次)、狭山(北条氏規)の二藩。
  • 明治維新ですべて廃止、堺県から兼治。

  • 錦部郡 ニシゴリ
  • 石川郡 イシカハ
  • 古市郡 フルチ
  • 安宿郡 ヤスカベ
  • 大縣郡 オホカタ
  • 高安郡 タカヤス
  • 河内郡 カウチ
  • 讃良郡 サラ
  • 茨田郡 マムタ
  • 交野郡 カタノ
  • 若江郡 ワカエ
  • 渋川郡 シブカハ
  • 志紀郡 シキ
  • 丹南郡 タヂヒノミナミ
  • 丹北郡 タヂヒノキタ
  • 八上郡 ヤカミ

日本の旧国名

これらの項目の情報は主に『古事類苑』地部1~2を参考にしている。